INTERVIEWSSeptember/14/2013

【Interview】Hercelot(ハースロット)- “Wakeup Fakepop”

///この楽曲に参加したMav.はHercelotの学生時代からの友人であり、ベーシストとしても活動している。

__リミックス陣ですが、Milky-chuやMilch of sourceでの活動で知られるRyoma Maedaさんが参加していて非常に驚きました。ネットレーベル側からそのサイドへのアプローチは、ありそうで実はあまり無かった印象でした。

Hercelot: Ryomaさんにやってもらえたのは本当に嬉しいですね(笑)。僕は〈ROMZ〉が大好きだし、一方でネオ渋谷系も大好きで。ネオ渋谷系って言葉自体ダサいからあんまり使いたくないんだけど(笑)。初期のCapsuleとか、〈Usagi-chang Records〉とか、〈Contemode〉とか。音楽技術とか技量に凄くこだわりがあるんだけど、なぜか単純なギターポップじゃなくて、打ち込みを利用した変な音楽をやっていた人たち。

それは2003年くらいがピークで、一方(〈ROMZ〉周りの流れで)Kid606の『Kill Sound Before Sound Kill You』『Who Still Kill Sound?』がリリースされたのも2003〜04年の間で、日本では同時期にそれがあったんだけど、今思えばその2つの要素が自分の中で強いな、と思った時に、Ryomaさんはそれを両方やってるんだよね。EeLのプロデュースっていうのはネオ渋谷系の流れに入ってるから。だから凄い象徴的。

__実現に至った経緯を教えていただけますか。

Hercelot: 最初は、僕が茶箱(早稲田にある音楽喫茶。平日はバー営業、週末はクラブ営業を主に行なっている)に遊びに行ってた時に、そこにDIYZさんとかがいて、「今アルバム作ってるんですけど、milch of sourceさんとかにリミックスお願いできないですかね?」って言ったら「イケるよ!」って言ってくれて。その場に社長(tomad)も居たから勢いで……ぼんやり夢を語ったら現実になった、みたいな感じで(笑)。それで、Ryomaさん自身もフリーで音源を配るということに理解があったから、すんなり話も進んで。本当にやっていただけて感謝です。言うなればリスナーですから(笑)

__その他にも、Loctek(Lulickma)さんやFo0dさん、Yoshino Yoshikawaさんといった実力のある面子が参加しています。それぞれHercelotさんが直々に声をかけてリミックスが実現したのでしょうか。

Hercelot: 本当にカラーに合ってるな、っていうのを分かってもらえると思うんだけど。例えば、ブレイクコアで言うとLulickma(Loctek)がくるわけで。最初は「Happy ODMC2」のリミックスを頼んだんだけど、本人はマッシュ・コアをやりたかったみたいで。だから僕の曲全部渡して、そしたら全部混ぜたのを作ってくれたわけなんだけど。なんだか「Happy ODMC2」よりもハードコア的に価値が高いものを提示されてしまって「負けた!」って思って。「ミックスの面で勝たなきゃ!」って思って……結局勝てなかったんだけど(苦笑)。彼のリミックスのお陰で「Happy ODMC2」が引っ張りあげられた感じはありますね。元々LulickmaとはフランスのGangpol & Mitが好きって話で盛り上がって。だから、好きな音楽の方面に対する感覚ってのは一緒だったから、「間違いなく頼んでOKだな」って確信を持って(依頼を)出したら、凄いいいのが返ってきたっていう。

Fo0dさんとはMetropolisってイベントで初めて喋って、その後FOGPAKのリリースパーティーの時に正式にリミックスをお願いして。あの曲(「Happy ODMC2 (Fo0d Remix)」)は僕のアルバムの中でダントツに遊園地感があって凄い良くて、僕のライブで使ってるから(笑)。Yoshino Yoshikawaさんとは前に2.5Dで2人でライブをしてたりしてて、良く作曲の話もするんだけど。(「Technoballet (Yoshino Yoshikawa Remix)」では)僕がサンプリングで持ってきたピアノのフレーズを、ちゃんとした音色で弾き直ししたものをカットアップしてて。(アルバムで)ここに来るまでの流れで、みんな上下が激しくて、静と動がグチャグチャしたものが並んできた中で、ようやく一息つけるのが来た、と。一息つくには遅すぎるんだけど(笑)。

__確かに、ここで流れが変わる感じがありますね。

Hercelot: Fo0dさんのリミックスでようやくミッドテンポまで落ちてきて、12〜13曲目で最終的にしんみりします、っていう感じで流れをつくっています。まあ流れ無くてもいいんだけど、殆どの人は1曲目から聞くわけだから(笑)、ちゃんと考えないといけないんですよね。

取材・文:和田瑞生

1992年生まれ。UNCANNY編集部員。ネットレーベル中心のカルチャーの中で育ち、自身でも楽曲制作/DJ活動を行なっている。青山学院大学総合文化政策学部在籍。