INTERVIEWSFebruary/16/2018

[Interview]tofubeats – “ふめつのこころ” 『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』

 アンドロイドは、電気羊の夢を見るのだろうか。例えば、「私」が猫を飼っていると仮定する。人間である「私」と猫は、お互い共通の言語による会話ができない。猫に言語という概念があるのかすら不明だが、互いに意思の疎通を図ろうと試みる。抱き上げればお互いの体温を感じる。室内での猫の生活様式は、基本、食べる、寝る、遊ぶ、命令する、を繰り返す。「私」は、彼の従者のようでもあるが、猫が「私」をどう思っているかはわからない。ただ、「私」が猫に強い愛情を抱いていることだけは確かである。では、それが、限りなく人間に近い人工の「ヒト」なら、どうなのだろうか。

 ドラマ『電影少女 -VIDEO GIRL 2018-』は、1990年前後に連載された漫画が原作となっている。そこでは、ビデオガールという限りなく人間に近い存在として、人間に奉仕することを使命とした少女が登場する。全体がコメディでありながら、サイエンス・フィクションでもあり、古典的な道具的理性の在り方、ポスト労働的な加速主義の是非や、人間の本質そのものを問う作品でもある。

 本作のドラマ化にあたり、tofubeatsは、今回の劇伴、および書き下ろしとなる主題歌を担当している。インタビューでは、主題歌「ふめつのこころ」の制作背景について、彼の呼びかけにより、同じく楽曲を提供した、パソコン音楽クラブ、in the blue shirt、ゆnovation、ドーナッツ 梶、本田たくと、Le Makeupについて、また、制作を通じて思考したビデオガールについての自身の見解など、その詳細を語ってくれている。


__『電影少女』は、今回のオファーの前から知っていましたか。

知ってはいたけれど、ちゃんと読んだことはなかったです。『I”s』とかの方が僕らの世代では有名で。『電影少女』は、話の筋はなんとなく知っているくらいで、そういえば床屋とかで読んでいたな、みたいな。でも当時、有害図書に指定されていたことは知らなかったです(笑)。

__『電影少女』は、1989年から1992年まで連載された漫画です。今回楽曲を担当されるうえでリサーチされたと思うのですが、tofubeatsさんはリアルタイムの世代ではない中で、作品に対してどのような印象を持ちましたか。

お色気漫画だけど、読む前にほかの人に、「この漫画はすれ違いをテーマにした漫画だ」みたいなことを聞いていたので、色眼鏡で読まずに済みました。思春期の子が読んだらそこにしか目がいかないだろうな、というものも、大人になってから読むとまた違ったものになるというか。だから自分は、恋愛漫画だなあと思いながら読むことができました。自分も大人になったなあ、と(笑)。

__テーマ曲に関しては、まずどのような楽曲を制作しようと思いましたか。

最初の会議で、「すれ違い」「号泣」「メタ構造」という、作品の核になる要素を渡してもらったんです。「すれ違い」は作品のテーマなので、もちろんそれは外せない。そして、方向性としては、この楽曲が最終話で違った聴こえ方になって、泣けるものにしたい。なので、ドラマのサウンドトラックと同様の、エモーショナルでメロウな曲が欲しいというオーダーがありました。

あとは、西野さん(乃木坂46)がアイドルという立場でありながら、ビデオガールを演じるという、遠いようで近いような、自分のパーソナリティがある中で一歩引いている、という「メタ構造」。こういった要素を入れ込みたいというところから始まったので、この三つの要素を軸にスタートしました。それにプラスして、最終話が卒業式のタイミングなので、桜とか入れちゃおうかとか。それは結局入れられなかったんですけど(笑)。

__今回のテーマ曲は、どのようなプロセスで歌詞を書きましたか。

今回の楽曲は、歌詞にすごく力を入れて、他の方に提供する曲に対していつも使う手法を自分の楽曲で使って書きました。なんとなくメロディを作ってから、要素を紙に書き出して、そこから絞っていくやり方です。 Cherryboy Functionの「The Endless Lovers」を聴いたときの気持ちに、1分で持っていけるような楽曲を目指して。『電影少女』の漫画をKindleで読んでいたら、“Endless”とか、“不滅”とか“Eternal”って言葉に鍵がありそうだって思って、それとすれ違いがテーマだから、自分と他人というものがあって、そこから走り出す、みたいなイメージで思いつく言葉を書いて表にしていったんです。

原作を漫画で読んだ時と、Kindleで読んだ時に同じように感じた感情とか、漫画では固定電話がよく出てくるけど、それとドラマに出てくるLINEの共通する部分みたいなものを洗い出していこうと。『電影少女』の、時代が変わってもコアになる部分を掴めたら何話でかかってもハマるし、最終話でかかってもグッとくるだろう、と思って作っていったので、今回はかなりロジカルな進め方をしました。

この作品って、人に奉仕するっていうのが問題として取り上げられて話が進んでいくんですけど、西野さんもアイドルとして、本心をあまり言ってはいけないみたいなルールがある中で、それがすれ違いを生んでいく、みたいなことを曲にしていこうと思いました。

ドラマをより良い作品にすることが自分の仕事だし、作品のきれいなところを切り取って、よりきれいに見せるようにしないといけない。そういう意味では、今回は迷いなく突き進んでいけたと思います。そして、ドラマの中の台詞も歌詞に入れていきたいとのことだったので、ドラマでの決め台詞みたいなものも使った曲になりました。

__普段、歌詞を作る上で何かルールはありますか。

小学生のとき、日能研に行っていて、そこの国語の先生が大好きで。「一文読解法」っていうのをずっとやっていて、「下線が引いてある部分の意味を答えなさい」みたいな。その先生は、とりあえず問題になっている文章に答えが隠されていないかまず探して、わからなかったら次にその前後の文を読め、と。それでもわからなかったらその段落、そして全部、と範囲を広げていけばいい、と教えてくれて。つまり、文章問題の答えって、絶対その文章の中にあるんだということを、受験勉強中ずっと叩き込まれたんですよ。

ということは、今回のドラマでも、ドラマの中に答えがあるということ。あとは、恋愛の中の、25年前も今も変わっていない部分、というゴールに還っていく文章を作ればいいということです。だから、ゴールが決まっていれば文章も勝手に決まっていくはずだ、という考え方で歌詞を書く、というのがひとつの決まりです。

たとえば、アイドルの歌う曲を書くんだったら、アイドルのパーソナリティが答えになる。そのパーソナリティが深まって聞こえる、というのがアイドルソングの正解だとすると、アイドルのブログを読むところから始めて、そういったものを洗い出していけば、その中に答えはあって、その答えに結びつくような歌詞になっていくんです。

でも、自分の曲の場合はそんなことは考えない。そのとき思ったことを文章にしながら、あとから整合性を取っていく。『FANTASY CLUB』も、そういう始まりでした。あれはそうでないと作り出せないもの。けれど他の方が歌うものって、歌った人に還ってくるし、今回の『電影少女』のテーマ曲も、ドラマそのものに還ってくる。自分が歌うんだったら適当に作ったものでも自分で責任を取ればいいけど、他人に渡すものにはすごく気を遣う。考えるときはEvernoteを使ったり、走り書きみたいな感じで紙もたくさん使って書きます。

__では、今回の歌詞制作には、どのくらいの時間がかかったのでしょうか。

ひとつの仕事だけではなくて、他の仕事と並行してやっていたんですけど、ワンコーラス目を作るのに3日間かけて、ツーコーラス目とかそれ以外は他の仕事の合間にやって1ヶ月くらいですね。細かい言い回しとかが最後まで決まらなくて。

__今回の仕事は作家としての仕事という意味合いが強いと思うのですが、そういった仕事をする上で大事にしていることは何ですか。

基本的には、アーティストとしてやる仕事とは違って、作品が良くなることが一番の目的。ドラマの雰囲気に即したものになったり、作品が良く見えるようになったり。怖く見えるとか、可愛く見えるとか、その作品の機能を生かすものにしたい。たとえばCMの曲の制作だったらインパクトを大事にしたり。スミノフのCMは自分の楽曲とのタイアップの企画だったけど、ちゃんと曲をそれ用に作り直していて、音の立ち上がりを早くするとか、CMに合わせて工夫しているんです。アイドルの曲だったら、歌う子に還ってくるので、その子のパーソナリティを代弁するという結構エグい仕事になってきます。そういう意味では、やはりすごく気を遣っていますね。

__パソコン音楽クラブ、in the blue shirt、ゆnovation、ドーナッツ 梶、本田たくと、Le Makeupと、様々な作家と共同で今回のサウンドトラックを制作されていますが、それぞれどのようなことを期待して依頼したのでしょうか。

まずパソコン音楽クラブは、今回のドラマの話が来た時に真っ先に思いついて、当初は半分くらい曲を作ってもらおうと考えていたんです。彼らはずっと90年代のハード縛りで曲を作っているから、今回も彼らの曲だけヒスノイズが入っていて、それによって曲がかかる前に彼らの曲だってわかるんですよ。90年代っぽい要素が欲しいと言われていたので、90年代の音楽を現代にアップデートしたような彼らの作風は今回のドラマにぴったりだと思って即決しました。そこから、関西発の自分より若手の作家を起用しようっていう風になっていったんです。

パソコン音楽クラブは、人の血が通っていないような、硬質な音を作るから、それがピリッとして緊張感のあるシーンにハマる。in the blue shirtは、自分の他の仕事にも参加してもらっているし、楽器が全部弾けるので生音が欲しいというオーダーにもバッチリ応えられるから、どんな曲でも対応できるのでドラマ音楽にはすごく向いていると思いました。この2組には明るい曲も暗い曲も、いろいろ書いてもらったんです。

ドーナッツ 梶は、曲は良いんだけど音量レベルを含めミックスに調整が必要なので、そこをフォローしてあげればとても良い曲になるということで。そこで彼の既発曲を起用したり、デモをもらって自分がピアノを弾いたりしています。

本田たくとは鍵盤が得意なのでキーボードを中心にお願いして、あとは元々彼の持っていたデモ曲の中で、アーティスト曲としては使えないけどドラマ音楽としては使える、みたいなものが結構あったのでそれを選びました。彼は予想以上にいい働きをしていて、80年代感みたいなものもしっかり出せていて。実は、彼とは中高大と一緒なのですが、彼は、自身の音楽活動に加え、Opus Innっていう関西を拠点としているバンドのサポートをしたりしています。

ゆnovationは、地元は埼玉なんですけど、大学は大阪で。彼女は鍵盤ハーモニカを弾くんですけど、打ち込みで曲も作って、歌もラップもやるんです。ドラマ音楽を作るうえで、日常のコミカルな曲を作るのって結構難しいんですけど、彼女の曲はカラフルな感じで、明るい曲が多いので、そういう曲を作って欲しくてお願いしました。実際、彼女の作った曲がドラマの音響効果スタッフの間ですごく受け入れられて。一曲しか作ってないのに、その曲が頻繁に使われている。自分のコミカル曲は唯一ボツになったのに、先輩として肩身の狭い……(笑) 。サザエさんっぽすぎるって言われて。でも1話を観たら、ちゃんと自分の曲が半分くらい使われてたので、そこはとりあえず良かったです(笑)。やっぱりみんなの方が、曲数も少ないし気合も入るので、ちょっとこっちが引くくらい良い曲ばっかりなんですよね。ゆnovationは特に、1曲だけの参加だったので一曲入魂的な感じで。

Le Makeupは、大学の部活の後輩で、Seihoさんとも仲が良くて。卒業するまであまり関わりはなかったんだけど、去年くらいからすごくいいなと思う曲が増えてきて。今回のドラマでも、名前はあがってはいたけど、コミカルなラブコメに合わないかなと思って最初は候補から外していたんです。でも、途中でドラマ制作サイドから、シリアスな曲も欲しいというオーダーがあったので、彼に依頼しました。音響効果スタッフからも評判が良くて、追加のリクエストをもらったくらいです。彼は2月のJacques Greeneの来日公演にも出演するし、いいポジションにいるなと思います。

今回のドラマ用に作った曲は、20曲が自分で、20曲を彼らにお願いしました。関西勢でやろう、というのは初めから決めていて、パソコン音楽クラブとin the blue shirt以外は、ドラマの音楽を作ったことがないので、そこをフォローできるように面識もあって、会って一緒にできる人を選んでいます。そういうのもあって自分の同級生とか、後輩とかがメンバーに入っています。会ったことがない人とか、もっと若手の人たちとかもお願いしたかったけれど、今回は特にテレビの仕事なので、納期が遅れたり問題が起きたりするのは絶対に無しということで、メンバーはかなり慎重に選びました。

__今回集まった楽曲をサウンドトラック盤としてリリースすることは考えていますか。

それはもちろん、デジタルでもいいので出したいですね。みんなの答え合わせとして(笑)。この曲もこの曲もtofubeatsじゃないのかよ! みたいな(笑)。今はドラマの中で聴いている曲が、それぞれの作家の名前で聴いたときに、若手すごいなって思ってくれたら嬉しい。あとは、フル尺がカッコイイのでそれを聴いてほしい、という気持ちもあります。でも、ドラマ音楽ってサウンドトラック盤として世に出ないのが普通というか、もったいないとは思うけど、ドラマのDVDも出るのでそれも嬉しいな、と。人気絶頂の西野七瀬さんと、自分たちオタクの音楽が一緒に残っているという事実が、ありがたいことだなと思います(笑)。

__『電影少女』の主人公・アイは、いわゆるバーチャルですよね。今、AIやVRが出てきている中で、現実の世界で、そういうものが実現しつつありますが、そういったバーチャルなものに対して人間が感じる愛情をどう考えていますか。

この仕事をいただいてから、最近そういうことを考えることが増えました。あと、関和亮監督と去年も一緒に仕事をしていて、そのドラマもテーマが人工知能だったっていうのもあって。そもそも、自分たちの仕事ってそういうものとすごく近いところにあるんじゃないかと思っていて、DTMとか、そういうものを含めて、音楽もすぐそういうものと取って代わってしまうんじゃないかと思うときがあります。特にEDMとかヒットチューンって、もう、すぐそういう風になるだろうな、と。なので、不安を感じてよく調べています(笑)。

人工知能みたいな話って、どこからが人工知能でどこからが違うのか、ということが結構鍵になると思っていて。ビデオガールもそうだけど、あれって現実に本当にあったらもうそれ人やん、みたいな。だから、むしろ人間性みたいなものの方に興味が向いてしまいます。今回のドラマの曲を作るうえで、どこまでが自分でどこまでが他者か、人工知能と人間性とは、みたいなことと向き合いながらやっていて。自分と他者を分けるときに、どこからが内でどこからが外か、みたいな。まあ答えがあるわけじゃないんですけど。

千葉雅也さんの『勉強の哲学』(文藝春秋)っていう本があるんですけど、それを読んでいるタイミングでこのドラマの話がきて、その本の中でも自我とはなにかという話があって。たとえば、それこそアイドルとは自我がない、あってはいけないものだったりもしますよね。そういうところからビデオガールを紐解いていきました。芸能人は人のためにあるものだけど、一般の人は自分のために生きる、みたいな、そういう区切りを考えながら、歌詞を作っていったんです。あとは、YouTubeとビデオ、連続と離散とか、そういうところまで考えて。

國分功一郎さんの『中動態の世界』(医学書院)も読んでいたのですが、それは、失われた態として中動態という言語の形式についてのもので。今は能動態と受動態として捉えられているものが、昔は能動態と中動態しかなくて、存在する思考や意志と実際の行動に関して、能動態とも受動態とも説明できないことがあるっていう話で。たとえば恋に落ちるときとか、自分が恋をしようとしてそうなったのではなくて、その状態になってしまう、みたいな。本の内容はもっと複雑ですが、そういった考え方や概念も歌詞を作るうえで重要なヒントになったと思います。

__例えば、CG女子高生の「Saya」というキャラクターがいますが、それについてどう考えますか。

Sayaに関しては、背景にいるSayaを作った人たちの存在が明らかになりすぎているように思います。だから、SayaはSayaを作った人たちの自意識だということ。全然独立しているものとして捉えられなくて、ツールっぽく、みんながかわいいって言うように作られていて、かと言って『エクス・マキナ』(2015年公開のイギリスの映画)みたいな、徹底的に合わせてくる感じでもない。だからもうあれは作った人の自意識で、まさに「ミスi-D」的なもの。技術的にはすごいと思うし、本当にかわいいとは思うけれど。

でも、もっと技術的に進んできてしまうと、ビデオガールもそうだけど、ほとんど人なので、人として扱わなければいけないんじゃないか、みたいな問題が出てくる。ダイバーシティとか、ポリティカル・コレクトネスのような議論が活発になってきている中で、AIだったら侮蔑していいのか、そんなはずはないと思うんですよね。

ビデオガールという存在は、一般的なアイドルの概念に近い。でも、僕は話題のために人に負担を強いるのはあまりやりたくないことだと思っていて。それで言うと、つんく♂氏は、ポジティブなことを言わせて、できるだけ歌い手にそれが還ってくるような、願いを込めるやり方をしている。自分もそれがいいと思っていて、今回の曲も本心を扱うことで。ももいろクローバーZの有安杏果さんも僕としては卒業したらいいと思っているし(笑)。話を戻せば、今回はそういうような気持ちを込めました。メタ構造を要素として入れる、というオーダーもあったので。

__では、tofubeatsさんの認識では、『電影少女』のアイにも、人としての心があるということになるのでしょうか?

人としての心があるというか、インディペンデントな存在として劇中のキャラクターたちも認めているし、そういう未来であってほしいと思います。そういう気持ちがタイトル「ふめつのこころ」にも表れています。最初にCherryboy Functionの「The Endless Lovers」を参考にしていたこともあって、“Eternal”とか、そういう言葉をたくさん案として書き出していたのもあって、最終的にはリズムによって歌詞が決まってくるので、三文字の「ふめつ」になったんです。

__今、タイトルの話が出ましたが、「ふめつのこころ」のタイトルの背景について、詳しく教えてください。

まず、このドラマの音楽を制作することになったとき、Kindleで『電影少女』の漫画を読もうと思ったんです。なぜKindleを選んだかというと、アップデート版だったし、自分もアップデートされた状態で読みたかったからです。そういう安易な動機で読み始めたんですけど、それが面白いと思うようになって。小綺麗なカフェで読んでるけど、要は少しエッチな漫画を読んでいるのと同じなので、人目をちょっと気にしながらこっそり読む、みたいな(笑)。

作中に共感や理解のできない部分もあるし、そもそも紙の漫画で読む前提なのに、それをKindleで読んでも感じるものがあるな、と。しっかりと機能を果たしていて、この隙間をつないでいるものは何なのか、という発想から曲作りがスタートしました。2、30年間残っているもの、続いてきたものは何かを考えながら。漫画からドラマになって、キャストとか設定が変わっても、それがはっきりしていれば良いんじゃないかと思ったんです。

そこで“Eternal”とか、“永遠”とかっていう言葉で表せるような、ずっと続いてきたものの正体ってなんだろう、と考えて。それで曲が出来てきたときに、そういった意味をきちんと組み込みながら、曲のリズムに合うもの、ということでこのタイトルになりました。

あとは、ドラマの最終的な落としどころとして、アイが最後どうなるのか、というところにもつながるタイトルになるようにしました。彼女のパーソナリティとか、存在みたいなものを「こころ」という言葉に置き換えられるだろうと思って。そのイメージから、漢字じゃなくて、敢えてひらがなにしているところもあります。

__最後に、主演の西野七瀬さんの印象を教えてください。また今後、乃木坂46の楽曲を手がけてみたいと思いますか。

実際に撮影の見学などもしたんですけど、前に松井玲奈さんに会ったことがあって、そのときに感じた、自分たちよりも100倍くらいいろんな経験をしているオーラとか、落ち着きみたいなものは西野さんに対してもすごく感じました。そういう存在感みたいなものはやっぱり違うな、と。あとは造形的にも、普段普通に生きていたら見ることのないような美しい造形でした(笑)。 だから自分からしたらちょっと人として見るのも時間がかかってしまうというか。

自己主張が全然ないので、不思議な子だなあと思っていました。思っていたアイドルっていうものと全然違うっていうか。前に出てきて喋るタイプの子では全然ない。今一番売れている子ってこういう感じなんだ、と衝撃を受けました。

乃木坂46の楽曲に関しては、もちろんやってみたいです。作るとしたら、乃木坂46はユニゾンの曲が多いので、ハモりのある曲を作ってみたい。自分の普段やっている音楽と乃木坂46の曲は全然違うと思うので、秋元康さんの歌詞と自分の書く楽曲とか、そこのコラボレーションは自分でも楽しみになると思います。今回のドラマの音楽も、乃木坂46のファンの方々にこういう曲も良いな、と思ってもらえたら嬉しいです。

(2018.1.17, ワーナーミュージック・ジャパンにて)

■リリース情報
Artist: tofubeats
Title: ふめつのこころ
https://lnk.to/Fumetsunokokoro

■番組概要
タイトル: 土曜ドラマ24『電影少女 -VIDEO GIRL AI 2018-』

放送局: テレビ東京系列(TX、TVO、TVA、TSC、TVh、TVQ)

放送時期: 2018年1月13日(土)深夜0時20分スタート 毎週土曜深夜0時20分
原作 : 桂正和『電影少女』<集英社文庫(コミック版)>
出演 : 西野七瀬(乃木坂46) 野村周平 飯豊まりえ 清水尋也 大友花恋 ・村上淳 戸次重幸
主題歌: tofubeats(unBORDE)

音楽 : tofubeats
(参加アーティスト) tofubeats/パソコン音楽クラブ/in the blue shirt/ ゆnovation/ドーナッツ 梶/本田たくと/Le Makeup
脚本: 喜安浩平 山田能龍 真壁幸紀 室岡ヨシミコ

監督: 関和亮 真壁幸紀 桑島憲司
チーフプロデューサー: 浅野太(テレビ東京)
プロデューサー: 五箇公貴(テレビ東京) 倉地雄大(テレビ東京) 巣立恭平
制作 : テレビ東京 ROBOT
製作著作: 『電影少女2018』製作委員会
公式 HP: http://www.tv-tokyo.co.jp/videogirl2018/

インタビュー・文:T_L

アシスタント:志田麻緒
1996年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。和声やソルフェージュ、楽典などを学びながら幅広いジャンルの音楽を楽しむ。