- EVENT REPORTSApril/28/2014
【Live Report】King Krule – Hostess Club Weekender 2014.FEB
King Krule(キング・クルエル)は19歳のアーチー・マーシャルによるプロジェクトだ。彼は2010年にZOO Kid名義でファーストシングル「Out Getting Ribs」をリリースしていた。その後改名し、2011年に〈True Panther Sounds〉からデビューEP『King Krule』をリリースし、ロックンロール、ブルース、ポストダブステップなど多様な音楽性と若者が持つ独特な憂鬱としたダークな世界観が評判を呼び話題となった。翌年2012年にはデビューアルバムをリリースするより前に「TAICOCLUB’12」にて初来日を果たした。2013年には「BBC Sound Of 2013」にもノミネートされ、待望のデビューアルバム『6 Feet Beneath The Moon』がUKのレーベル〈XL〉から同年9月にリリースされた。そして今回の来日はデビューアルバムのブレイク後、はじめての来日となる。
最近では若いミュージシャンが多く輩出されるようになり、ミュージシャンが特に年齢のために注目されるようなことは少なくなっている。しかし、彼に関しては敢えてその若さに触れておきたい。あどけなさを残したルックスに不釣り合いな渋い声と多様な音楽性をミックスさせた完成度の高い楽曲……、そのように紹介されることが多い彼であるが、確かに彼の音楽にはロックンロールやブルースなど60年代の音楽から70年代パンクや70年代後半から80年代にかけてのポストパンク、90年代ヒップホップ、00年代のダブ、ポストダブなど、多様な影響がみられる。しかし、それらの音楽的背景に加えて、彼の音楽の根底には、若い者にのみ持つことを許される〈闇〉がある。その〈闇〉とは自分や他人に対して抗う術のない苛立ちや、社会の理不尽と向き合う猜疑心、まるで先の見えない将来に対する底なしの不安感のようなものだ。
ライブでは、ギターの繊細な動きと細かい構成、ドラムとベースの息の合った細かいリズムが曲全体に波を作り、気持ちいいグルーヴを生み出し、その絶妙な構成と小回りの利いたテクニックで見る者を巻き込んでいった。それは確かに彼の若さには不釣り合いにも見えるが、見る者はそのギャップに魅了される。そして、特に私の心を奪ったのは、少しの気怠さと共に苛立を吐き出すような低音のヴォーカルだった。その歌声は、若者独自の不安定さが鬱蒼とした気分を伴って乱暴に、それでいて丁寧に吐き出されていた。楽曲の完成度の高さやクールな彼の表情は、まるでベテランのようでもあるが、その鬱々としたヴォーカルは、まさにその若者のみに許される〈闇〉を見事に表現していたのだった。
文:永田夏帆
1992年生まれ。UNCANNY編集部員。趣味はベースと90年代アメリカのポップカルチャー。青山学院大学在籍の現役大学生。
写真:古溪 一道
■ライブ情報
Hostess Club Weekender
出演: HIGHASAKITE / THE BOHICAS / SOHN / JOAN AS POLICE WOMAN / CLOUD
NOTHINGS / PERFUME GENIUS / SIMIAN MOBILE DISCO performing WHORL / BLONDE REDHEAD and more…!
日程: 2014/6/21(土)&22(日)
場所: 新木場スタジオコースト
オフィシャルサイト: www.ynos.tv/hostessclub
チケット:
特典付2日通し券 13,900円(税込/各日1ドリンク別)
※1日券他詳細、近日発表予定