ARTICLESOctober/26/2013

Featured | Artist File 3 : Madegg

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 開催まで1ヶ月を切った<UNCANNY LIVE SHOW 2013>。そしてそのイベントに先駆け、始まったArtist File特集。第三弾は京都のアーティストであるMadeggの紹介だ。Madeggは、Kazumichi Komatsuによるソロ・プロジェクトである。エレクトロニカ・アーティストとして定義されるMadeggの音楽は、その定義よりもはるかにオーガニックで、むしろ私たちの日常や自然、人間が生きている空間に根ざしている。その稀有なセンスと世界観によって、彼は国内外問わず非常に高く評価されている。彼の作品、そして人間性についてはUNCANNYでも度々取り上げている通りだが(関連:『kiko』reviewinterview)、今回は改めて、彼の遍歴に触れていきたい。

 彼は、1992年、四国の高知に生まれる。16歳の時に音楽活動を開始。当初はSoundCloudとBandcampで自主的に作品を公開していたが、2011年、彼の作品が〈分解系レコーズ〉主宰であるYakoの目に留まる。当時18歳だったMadeggは、大学進学を果たし、京都へと拠点を移していた。
 Madeggの初めての作品集『PLAYERS』は2011年7月に、〈分解系〉よりリリースされた。「子供の頃の集団での遊びを、楽しさだけでなく驚きや、恐怖心、不思議さなどの視点からイメージ」した作品集は、Madeggが既に只者ならぬ存在であることを存分にアピールしていた。続けて、彼は関西のネットレーベル〈Vol.4 Records〉より『atul』をリリースする。

 2011年から2012年にかけてはMadeggのリリースが立て続けに行われている。2012年初めに〈Day Tripper Records〉よりリリースされた『Sea』は、カセットテープ媒体で発表された。同年2月、「日常のBGMに根ざした音楽」を提供することをモチーフとしたネットレーベル〈On Sunday Recordings〉からはEP『Toe』がリリースされると、日本の名門エレクトロニカレーベルである〈flau〉からMadeggのリリースがアナウンスされる。

 過去の作品をコンパイルしたEP『Teach』、『Bluu Form』の後に発表された〈flau〉からのアルバム『Tempera』は、国外でもあまり例を見ない「Tシャツ」媒体でのリリースだった。リスナーは、各CDショップでTシャツを購入すると、そのデザインに書き込まれたURLとDLコードを打ち込むことで作品をダウンロードすることが出来る。また、『Tempera』自身、彼の故郷の高知のベッドルームにおいて、わずか2週間程の期間で作り上げられたコンセプチュアルなアルバムであり、彼のディスコグラフィーから見ても少々特異なものであると筆者は認識している。

 2012年下半期、Madeggの活動は多忙なライブ活動と、2ndアルバムの制作に捧げられた。<Out of Dots>@渋谷WOMBや<neutralnation 2012>@新木場STUDIO COASTへの出演等、大きなイベントへの出演も度々行われた。2013年2月には、Madeggのより実験的な一面が確認できる作品集『Alone Breath To My Family EP』が彼のBandcampよりリリースされた。そして2013年4月、遂に待望のセカンドアルバム『Kiko』が、CD形式で〈Day Tripper Records〉よりリリースされる。

 『Kiko』は、まさにMadeggのアルバムと言うべき、珠玉の15曲が詰め込まれた作品集だ。2step調のビートを持つ「Cobalt」や、前衛的なダンスチューンとも言うべき「The Central, Dogs and Plastic Friends」等、Madeggの幅広い音楽性が詰め込まれている。そして、ageHaにて開催された<SonarSound Tokyo 2013>への出演や、〈Duennlabel〉からカセットテープ形式で『cute dream』がリリースされる等、現在も躍進を続けている。

 最後に、Madeggは音楽家としての側面だけではなく、デザイン・映像等もその手でこなすマルチアーティスト・Kazumichi Komatsuとしての側面も持っている。自身の楽曲「Kiko」のofficial MVにディレクターとして名を連ね、鴨川で撮影された「Throwing A Floating Gum (Slow Lips) Official MV」の制作にも関わっている他、京都造形大学で結成された学生グループ「B_(Brinc)」との共同インスタレーション作品の制作も行なっている。そして最近では、フリーペーパー『yonige』に参加、デザイン等を手がける等、多彩な活動を行なっている。

 Madeggの世界は更に深化を続けている。その音楽を聞いた人々は、自身の中の新たな目線が拓ける感覚が得られるだろう。11/24の<UNCANNY LIVE SHOW 2013>では、Madeggのライブアクトも予定されている。是非とも、彼の次なるサウンドスケープを自身で体感して欲しい。

文:和田瑞生

1992年生まれ。UNCANNY編集部員。ネットレーベル中心のカルチャーの中で育ち、自身でも楽曲制作/DJ活動を行なっている。青山学院大学総合文化政策学部在籍。

■イベント情報
Title: UNCANNY LIVE SHOW 2013
Date: 2013/11/24(Sun)
Open/Start: 4pm (-10pm)
Place: KATA + Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
Price: 3,000yen(Adv)* | 3,500yen(Door) | 3,000yen(Door/Student discount)**

*LAWSON(Lコード:77852)、イープラス、DISK UNION(SHIBUYA CLUB MUSIC SHOP/SHINJUKU CLUB MUSIC SHOP/SHIMOKITAZAWA CLUB MUSIC SHOP)、JET SET TOKYO、PLANCHA、LIQUIDROOM

**学生の方は、受付で学生証の提示で特別料金当日券3000円となります。ただし、前売りチケット購入のお客様の入場を優先しますので、会場のキャパシティ上、当日ご入場出来ない場合があります。当日は、事前に公式Twitter等でご確認ください。

*イベント特設サイトはこちら

Live Act:
Teen Daze
tofubeats
Madegg
The Wedding Mistakes
Carpainter

Opening DJ:
Toyo D(MAC)
Funky Fresh Watanabe(MAC)

Artwork by buna

主催:UNCANNY
企画制作:UNCANNY/LIQUIDROOM
お問い合わせ:UNCANNY, LIQUIDROOM(03-5464-0800)