ARTICLESDecember/31/2022

The Best Albums of 2022

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Alex G『God Save the Animals』

1993年生まれのフィラデルフィアを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサーのAlex G。普遍的な信仰心を象徴するものとしての神の姿を描いたという本作では、過去の諸作品やFrank Oceanの名作『Blonde』『Endless』で見せた才覚あふれるソングライティングやアレンジが存分に披露されている。

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Beyoncé『Renaissance』

前作『Lemonade』から6年ぶりとなるアルバム。90年代のハウス・ミュージック、Robin S.の「Show Me Love」やBig Freediaの「Explode」をサンプリングしたリードシングル「Break My Soul」が象徴するように、全曲が実験的でありながら力強いメッセージ性を備えた、極めて完成度の高いアルバムに仕上げられている。

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Charli XCX『Crash』

Charli XCXのメジャー契約最後の作品となるアルバム。デヴィッド・クローネンバーグ監督による1996年の映画『クラッシュ』からインスピレーションを受けて制作されたという本作では、ハイパーポップの要素が色濃い前作『How I’m Feeling Now』と比べ普遍的なダンスポップでありながら、今の空気感を掴んだ洗練された楽曲が並んでいる。

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COMPUMA『A View』

COMPUMAのソロ名義として、初のアルバム作品。本作は、2021年秋、北九州の演劇グループ〈ブルーエゴナク〉からの依頼によって制作された演劇『眺め』のための楽曲を素材に、共同制作者のhacchi(Urban Volcano Sounds David Soul)とともに作り直されたものだという。物語を紡ぐように音の粒子が広がる楽曲群は、一つ一つが聴く者をその未来へと没入させるような世界観を描く。ダブミックスに内田直之が参加。アートワークは五木田智央、デザインは鈴木聖が手がけている。

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Desire『Escape』

2009年の『II』に続くセカンド・アルバム。〈Italians Do It Better〉からリリースされた本作は、Johnny Jewelがプロデュースを手がける他の諸作品同様に美しいシンセポップで彩られ、Jewelが思い描くロマンチックなインディーズ映画のような空間が演出されている。

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Florist『Florist』

Floristは、Emily Spragueを中心とする、Jonnie Baker、Rick Spataro、Felix Walworthの4人によるバンド。そのバンド名を冠した本作は、バンドの10年にわたるキャリアにおいて、「コラボレーターとして、長い友人として、そして家族としての私たちの姿を描いた作品」であり、彼らの旅の集大成として人間の関係性や自然がもたらす安らぎなど、さまざまな風景を描き出している。

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Huerco S.『Plonk』

Brian Leedsのプロジェクト、Huerco S.による6年ぶりとなるアルバム。Anthony Naples、Jenny Slattery主宰のレーベル〈Incienso〉からリリースされた本作は、Leedsの視点から捉えた世界を表象する未来的、先鋭的かつ実験的な楽曲が並ぶ。

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Kazufumi Kodama & Undefined『2 Years / 2 Years in Silence』

こだま和文とダブ・ユニットUndefinedによるアルバム。オリジナルの『2 Years』とアンビエントの『2 Years in Silence』で構成された本作は、ダブという一つのジャンルを軸にしながらも、極めて高い実験性と文学的な物語を作品のなかに内包した作品に仕上げられている。

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Kelly Lee OwensLP.8

2020年の『Inner Song』に続くアルバム。アヴァン・ノイズ・アーティストのLasse Marhaugとのスタジオセッションによって制作された本作では、インダストリアルなサウンドにケルトの神秘的なサウンドを組み合わせることで、美学的な深みを持ち合わせた、極めて独創的な作品の完成に成功している。

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Lucrecia Dalt『¡Ay!』

コロンビア出身、現在はベルリンを拠点とするLucrecia Daltによる〈RVNG Intl.〉移籍後3作目となるアルバム。本作では、ボレロ、マンボ、サルサ、メレンゲなど、自身の幼少期に聴いたルーツとも言える音楽を実験音楽として再構築。母国語であるスペイン語による歌詞が綴られるSF神話を描いた圧巻の作品。

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MJ Lenderman『Boat Songs』

WednesdayのメンバーでもあるJake Lendermanのプロジェクト、MJ Lendermanのアルバム。ごくありふれた日常から充実感と幸福感を追い求める楽曲を中心に収録したという本作には、遊び心に満ちたインディーロックの楽しさが詰まっている。

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Noah 『Noire』

〈FLAU〉からリリースされた、北海道出身の音楽家、Noahの作品集。同作は、ファーストアルバム『Sivutie』発表後から最新EP『Etoile』以前の5年間に制作されていた楽曲をまとめたコンピレーションという位置付けとなっている。霞がかったようなミニマルなサウンドに囁くような歌声が重なり、Noahが抱く幻想的な美しい世界が見事に描かれている。

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Oren Ambarchi 『Shebang』

オーストラリア出身の音楽家、Oren Ambarchiによるアルバム。4つのパートに分かれた1つの作品となる本作には、Johan Berthling、BJ Cole、Sam Dunscombe、Julia Reidy、Joe Talia、そして、Jim O’Rourkeといった音楽家たちが参加している。

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Steve Lacy『Gemini Rights』

The Internetのギタリストとしても知られる、Steve Lacyのセカンドアルバム。プロデューサーとしてもさまざまな作品を手がけるLacyが紡ぎ出すそのサウンドは、R&B、ロック、ジャズ、ファンク、ヒップホップとさまざまなジャンルの音楽を巧みに取り入れたポピュラーミュージックとして、極めて美しい輝きを見せている。

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Raum『Daughter』

GrouperことLiz Harrisと、Jefre-Cantu Ledesmaによるプロジェクト、Raum。全7曲収録の本作は、一続きの楽曲として捉えられる長編の作品のように制作されたという。アートワークに描かれる海や光のモノクロの世界のように、本作には、美しさとノイズが絶妙な緊張感で共存している。

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Salamanda『ashbalkum』[Interview]

韓国、ソウルを拠点に活動するSala(Uman Therma)とManda (Yetsuby)によるプロデューサー/DJデュオ、Salamanda。〈Human Pitch〉からリリースされた本作は、「夢の世界のバスタブで眠ってしまった人が、楽しくてカラフルな夢を見るという物語」を描いたものだという。幻想的で楽しげなアレンジにミニマルなサウンドが心地よく響く。

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Shygirl『Nymph』 

ロンドン出身のアーティスト、Shygirlによるデビューアルバム。共同プロデュースや共同作曲に、Sega Bodega、Mura Masa、Arca、Kingdom、BloodPop、Vegynなどが名を連ねる。Shygirlの類稀なる個性が際立つ、ロンドンのクラブシーンを象徴するようなトラックがそろう。

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Tess Roby『Ideas of Space』[Interview]

カナダ、モントリオールを拠点とする音楽家/写真家、Tess Robyのセカンドアルバム。本作の多くの曲は、トラウマや生きた経験から得られる、癒しや成長から生まれたという。壮大で煌めくようなサウンドに包まれながら、彼女のパーソナルな側面が描き出されている。

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tofubeats『REFLECTION』[Interview]

フルアルバムとしては『RUN』以来3年半ぶりとなる本作は、「鏡」をテーマに制作されたという。楽曲には、コロナ禍や自身に起きた突発性難聴などのネガティブな状況をポジティブな方向へと向けた希望が描かれる。また、同時に発売された著書『トーフビーツの難聴日記』には、本作の制作時を含むさまざまな心情が綴られている。

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Whatever The Weather『Whatever The Weather』[Interview]

ノースロンドン出身の電子音楽家、Loraine Jamesによるプロジェクト、Whatever The Weather。〈Ghostly International〉からリリースされた本作は、楽曲名がすべて温度で名付けられた幻想的なアンビエント・アルバム。マスタリングをTelefon Tel Avivが手がけている。

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by UNCANNY