INTERVIEWSNovember/05/2015

[Interview]Nitemoves − “Themes”

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 Nitemovesは、Tycho、Com Truiseのドラマーとしても知られるRory O’Connorによるソロ・プロジェクト。Roryはマサチューセッツ州ウェストフィールド出身で、現在ワシントンDCを拠点にプロデューサー/ドラマーとして活動している。

 Roryは、ワシントンDC在住時に〈Ghostly International〉のJakub Alexanderと知り合い、彼の運営するレーベル〈Moodgadget〉から2012年に1stアルバム『Longlines』を、2013年に2ndアルバム『Themes』をリリース。『Themes』は、2014年に〈PLANCHA〉より初のCD盤として国内リリースされた。

 Nitemovesは今回、Shigetoと共に「PLANCHA 7th Anniversary SHIGETO × NITEMOVES」に出演することが決定しており、同公演は11月9日、代官山UNITにて開催される。Tycho、Com Truiseのドラマーとしても活躍するRoryであるが、彼のソロ・プロジェクトであるNitemovesにおいて、彼はどのような音楽を目指しているのか。来日公演の期待が高まる中、来日直前のNitemovesへのインタビューを試みた。

__自身のソロ・プロジェクトをNitemovesと名付けた理由を教えてください。

なぜ虹を虹と呼ぶかって聞いているのと一緒だよ。説明しないのがベストだ。

__Nitemovesではどのような音楽を作ろうと意識されていますか?

それぞれのアルバムで僕は、必ずしもプライベートでなく、だからといってはっきりと定めることもできないような寓話的なトピックを選ぶようにしてる。そしてその音楽の美学はそのトピックによって指し示される。だからジャンルは何の影響も持っていなくて、僕は単にイメージや、感情、シチュエーションを呼び起こしているだけなんだ。だから多分僕は言いたいことを説明しなくてもリスナーに伝えることができる。音楽こそがストーリーを語るべきで、その音楽にヴォーカルがないときには特にね。

__〈PLANCHA〉より、アルバム『Themes』をリリースしていますが、タイトルの意図はどのようなものですか? また、作品のコンセプトを教えてください。

『Themes』という名前は、僕がとても長い間取り組んでいた曲の集まりから来ているんだ。その曲たちは正確に僕のキャリアや影響を断面的に表しているような感じがした。それらは僕の経験してきた思い出たちの不完全な音(ソニック)の写真で、ゆえに曲のタイトルのつづりの多くは間違っている。それらは僕の経験のテーマであり、序曲であり、反復なんだ。

__また、ミニマルなアートワークが印象的ですが、どのようなイメージでデザインを決めましたか?

僕の友達のJakubが1stアルバムのアートワークをデザインしてくれて、2ndアルバムはのNewportのタバコを元に僕がデザインしたんだよ。いいアートワークだよね?

__Tycho、Com Truiseのバンドセットのドラマーとしての活動が、自身の作品にフィードバックされることはありますか?

僕が音楽を続ける上で、経済的な安定を与えてくれたよ。物事をできるだけ分けるのがベスト。今は彼らと一緒に音楽を作っているけど、僕たちは音楽の美的感覚に対する考え方が全く違うんだ。でもこの違いを認め合うことは素晴らしいことだし、そのことが僕たちを人間たらしめている。

__高校時代に音楽制作の理論や技術を学んだとのことですが、元々ドラムを中心に学んだのでしょうか?

ドラムは小学校4年生のときから独学でやり始めた。大学に入るまで音楽を学問的には学んでいなくて、そのときでさえほんの少し学んだだけだよ。

__バンドのライブメンバーであることと、ソロ・プロジェクトで自分の楽曲を制作することの違いについて教えてください。

前者は君主政治で、後者は民主政治。何かに責任を持ってやる方がいつも楽しい。

__今回の来日公演で共演するSHIGETOには、同じドラマー、プロデューサーとして、どのような印象を持っていますか?

僕より才能がある人だよ。人間としてもミュージシャンとしても僕のお手本となる人だね。僕らは長い付き合いで、もし仮に僕が牢屋に入れられたら真っ先に連絡するし、彼も僕を出してくれるだろうね。この類の仕事をしていたら、そういう友達がいることはいいことだよ。

__今回の来日公演は、どのようなライブセットを予定していますか? 教えられる範囲でお聞かせください。 

逆に教えてほしいよ! 実はまだ取り組んでいる最中なんだ。遠い場所でのコンサートにどれだけ楽器を持っていくかっていうのはいつまでたってもわからない。あと3日で決めなきゃ……。

__新曲のリリースやTychoでの活動など、来日公演後の今後の活動予定を教えてください。

いつも新しい曲には取り組んでいるよ。Tychoは来年新しいアルバムをリリースする予定だから、その前に自分のを終わらせられるといいね。僕は妥協はしない、その音に満足したなら小さな世界でもそれをシェアするつもりだよ。

取材協力:PLANCHA

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■公演情報
PLANCHA 7th Anniversary
SHIGETO x NITEMOVES

日程:2015年11月9日(月)
会場:代官山UNIT
OPEN 19:00 / START 20:00
前売 4,500円 / 当日 5,000円 (共に+1ドリンク)
ぴあ(Pコード:275-834) / LAWSON(Lコード:75142) / e+

出演:
SHIGETO
Nitemoves (from TYCHO)
Special Opening Act: submerse (new!)
VJ: DEJAMAIS (new!)
企画制作:PLANCHA

インタビュー・文:小林香織
1994年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。インディ、ポップ、アメリカのカルチャーなどを担当。