- EVENT REPORTSOctober/23/2012
【Live Report】ポール・ウェラー ジャパン・ツアー2012 at Zepp DiverCity
今回の来日公演は、ポール・ウェラーにとって3年ぶりである。この公演は、今年3月(国内盤は4月)にリリースされ全英1位を記録したソロ通算11枚目のアルバム『Sonik Kicks』を引っさげて行われたものであると同時に、自身のデビュー35周年という記念すべき年でもあるので、来日前から公式サイトなどでもキャリアを総括するようなセットを披露するというアナウンスがされていた。実際今日は、そのような期待を裏切らないセットを披露してくれたのだが、今回のジャパン・ツアーはスペシャルゲストとして各公演に日本のバンドをゲストとして迎えるという対バン方式が取られている。この点は多くのポール・ウェラーファンが気になる部分もあると同時に、ポール・ウェラーよりもスペシャルゲストの方が目当てだという人にも大きな悩みの種になっているのではないか。実際今回の公演はスペシャルゲストの知名度が高いため、多くの人が気になる点であろう、対バン形式について感じたことをまず書いていこうと思う。
結果を先に言ってしまえば、今回の公演に関してはこの対バン形式をとったことは大正解であるといえるだろう。今日のスペシャルゲストはOKAMOTO’Sというストレートなロックンロールを鳴らすバンドで、メンバー達の親と言ってもおかしくない客層相手に怯むこと無く圧倒的な演奏力で集まった観客の心を掴んでいた。そして、OKAMOTO’Sのこのつんのめるような勢いはThe Jamに通じるところがあるように筆者は感じた。つまりポール・ウェラーのファンは、ポール・ウェラーという人物が日本のロックに与えた影響を感じることができ、OKAMOTO’Sが好きで来た人達は、現在の日本のロックにポール・ウェラーの影響を垣間見ることができるということだ。この後も、the HIATUS、くるりなどの対バン形式が続くが、公式サイトのコメントにあるように、どのアーティストもポール・ウェラーにリスペクトを持っており、国は違えど、ロックの歴史、繋がりを感じることができるのではないだろうか。また、ポール・ウェラーファンの中には、対バン形式になることによって演奏時間が減ってしまうのではないかという心配をする人もいるかもしれないが、そこはがっつり演奏してくれるのでご心配なく。
そして、メインアクト、ポール・ウェラーのライブだが、The Jam、Style Councilの曲を惜しげもなく織り交ぜたセットで、文句のつけようがない圧巻のステージであった。また、キャリアを振り返るセットリストのおかげで、時代によって様々なジャンルの音楽に挑戦しているために、人物としての確固たるビジュアルイメージとは裏腹にいまいち掴みどころがなかった彼の音楽性について理解できたような気がした。以前、小西康陽がライナーノーツにおいてポール・ウェラーと言う人物を「ロック・ミュージシャンにならなかったとしたら、パブで大酒を飲み、サッカーの応援で喉を潰し、たぶん若くして結婚し、やがて昼の間はひとことも口を利かない生活をしていたかもしれない男」と評していたが、かなり的を射ていると思った。彼は音楽というものを、世間が思うポール・ウェラー像に当てはめて作るのではなく、自分のその時興味があるものをなりふり構わずがむしゃらに、そして不器用に形にしているのだ。だからポール・ウェラーの音楽は愛情に溢れていて、たとえ音楽性が全く違っていてもその芯は全くズレていないのだ。
たまたま今回のライブで隣に居合わせた人の良さそうな中年の男性はThe Jamをリアルタイムで聞いていたThe Jam至上主義らしく、ポール・ウェラーが出てくるまでStyle Councilのファースト・アルバムを聞いた時に自分がいかに落ち込んだのかを延々と話してくれたのだが、「My Ever Changing Moods」が始まった瞬間にっこり笑って筆者の方を見て握手を求めてきた(そしてその後ビールを5杯もごちそうしてもらった)。
ポール・ウェラーの音楽への愛情という一貫した姿勢と、それを35年間続けられる才能がライブという空間で浮き彫りになっていた。そのような部分が、多くのファンや同業者から兄貴分的存在として慕われる理由であるし、ポール・ウェラーファン、音楽ファンとしてそういった瞬間を生で見られるほど幸せなことはない。そしてThe Jam、Style Council、ソロと表現形態が変わってもそれは同じことである。そして、音楽性だけでなくビジュアル面においても「太らない」、「ハゲない」というロックスターの条件を現在も維持し続けていて彼はどの側面から見てもロックスターだった。
来日公演は今回が初日。まだ迷っている人は是非足を運んでみてはいかがだろうか?
<PAUL WELLER JAPAN TOUR 2012>
10月22日(月) Zepp DiverCity(OPEN:18:00/START:19:00)
Special Guest:OKAMOTO’S
10月23日(火) Zepp DiverCity(OPEN:18:00/START:19:00)
Special Guest:the HIATUS
10月25日(木)Zepp Nagoya(OPEN:18:00/START:19:00)
Special Guest:The Birthday
10月26日(金) Zepp Namba(OPEN:18:00/START:19:00)
Special Guest:藤巻亮太
10月27日(土)Zepp DiverCity(OPEN:17:00/START:18:00)
Special Guest:くるり
1F 立見・2F 指定席:¥8,000
2F 立見:¥7,000(Zepp DiverCity公演のみ)
■ チケット情報
イープラス http://eplus.jp/
チケットぴあ
0570-02-9999 東京 Pコード: 172-538 / 名古屋 Pコード: 172-539 / 大阪 Pコード:173-435
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東京 0570-084-003 Lコード:71718 / 名古屋 0570-084-004 Lコード: 42216 / 大阪 0570-084-005 Lコード: 51308
CNプレイガイド 0570-08-9999 (大阪公演除く)
■ オフィシャル・サイト
http://www.hipjpn.co.jp/pw/