INTERVIEWSDecember/19/2013

【Interview】Tomad(トマド)ー “山”

13121901MI

 12月20日、渋谷WWWにて遂に2013年最初で最後となる〈Maltine Records〉主宰のクラブイベント<山>が開催される。「メインルート」にはゲストに「山塚アイ」ことEYƎを迎え、tofubeats、DJ WILDPARTY、Okadada、Sugar’s Campaign(Seiho & Avec Avec)といったマルチネお馴染みの実力派アーティストがそれを迎え撃つ。「サブルート」にはPa’s Lam System、PARKGOLF、Carpainter等といった、2013年に脚光を浴びることとなった若手アーティストが多数出演する。また、今回のイベントでは、会場に山口俊郎氏による「山」にまつわる絵画作品を多数展示する、という新たな試みに挑戦している。

 もはやクラブイベントというよりも一つのカルチャーの象徴でもあるかのような〈Maltine Records〉のイベントだが、今回は<歌舞伎町マルチネフューチャーパーク>の様な全てを詰め込んだ狂乱のパーティーというより、〈Maltine Records〉が本来持つ、音楽に対する飽くなき探究心、ソリッドな姿勢がより一層前面に出ているように感じられる。そして今回は、<山>の開催にちなみ、〈Maltine Records〉の主宰であり、<山>の総合オーガナイザーであるTomadにインタビューを実施した。今回のイベントを企画し、<山>を登るに至った背景を是非掴みとって欲しい。

_今回開催される<山>ですが、2013年では唯一のマルチネ主催のクラブイベントになります。開催に至った背景を教えて頂けますか。

今回のイベントはボアダムズのEYƎさんにマルチネのイベントに出て欲しいというのが一番でした。
EYヨさんが前々からちょくちょくマルチネを聴いているという話を小耳にはさんでいて、2012年5月に行われた<マルチネ就職説明会>にEYヨさんを呼ぼうとブッキングしていたのですが、スケジュールが合わずにその時は断念したのですが、再度このタイミングでブッキングして出てもらう形になりました。なので、イベント自体は今年の6月ぐらいから計画していました。結果として一番面白いタイミングに出てもらえたかなと思ってます。

_<山>というネーミングの由来を教えて下さい。

EYヨさんがマルチネを聴いてるという話を聞いたのが、オカダダからだったので、オカダダっぽい名前にしたかったということもあり。彼が時々ツラくなったときにTwitter上でなる「山」という人格があり、それを持ってくるのがいいかなと思いそうしました。

_<山>は、<マルチネ就職説明会>などでも運営に携わった森下孝さんとの共同オーガナイズになります。今回、この2人でオーガナイズを行うこととなったきっかけは何でしょうか。

一人でイベントをオーガナイズするのもなかなか大変なので、森下さんがちょうど上京してきたこともあり共同オーガナイズという形になりました。そもそも、上記の<マルチネ就職説明会>での経緯などもあり丁度いいかなと。

_Tomadさんは、自身のTwitterでの発言の中で「山は過去のマルチネイベで言うならばMP7に近いです」とコメントをしていましたが、どういった点でどのように近いポイントがあると考えていますか?

2012年の歌舞伎町マルチネフューチャーパークから大ネットレーベル祭という拡大路線を経て、2013年はマルチネの原点を見直そうということであえてリリースに注力してきました。イベントに関してはそれに連動して、渋家の地下室である「クヌギ」などでSEAパンクOFF海やPARKGOLFを呼ぶなど外の箱ではやりにくいコアな交流の機会を作ってきました。コアなイベントが<おいッ!パーティーやんぞ!>(2009年2月)に近いとするならば、<山>は2回目のイベントである<MP7>に近いかなと思っています。<MP7>もJunkMaとの共同オーガナイズで、かつ外部のDJを呼びたかったという目的があります。

_<山>では、メインフロアにゲストであるEYƎ氏の他、〈Maltine Records〉の顔とも言えるtofubeats、Okadada、DJ WILDPARTY等、名だたるアーティスト達が出演します。そしてサブフロアには、Pa’s Lam SystemやPARKGOLF、Carpainterと言った2013年に〈Maltine Records〉からリリースをし、頭角を現したアーティスト陣が集まっています。全体で見ると、今までのマルチネのパーティーと比較して、とてもシンプルな構成であると感じられたのですが、ブッキングにそういった意図はあったのでしょうか。

それぞれが強度のあるパフォーマンスとさらにそれに伴う集客ができるようになったので他のメンツは特に呼ばなくても大丈夫になったということですかね。

_<山>では、山口俊郎氏による絵画作品の展示がありますが、クラブイベント内での画廊の展開に至った経緯を教えてください。

これは共同オーガナイズの森下さんが発案しました。もともと彼はアートに造詣が深くて、今回Tシャツを作ってくれた「梅ラボ」が所属するギャラリーでもある「CASHI」と繋がりがありました。いろいろとイベントを盛り上げるアイデアをそのギャラリーのオーナーさんと話しているうちに「CASHI」に所属しているアーティストでGoogleEarthで見た山を油画で描く作家がいるということで、山繋がりで丁度いいかなということで展示してもらうことにしました。

_<山>以降の〈MaltineRecords〉の展開について、どういった構想がありますか?

構想はありすぎますが、話すとあまり面白くないのでリリースで示していきたいです。あとは山に来るとちょっとヒントがあります。

_Tomadさんは、クラウドファンディングサービス「PICNIC」の企画に携わる他、様々な分野での活動を広げていますが、今後、また新たな路線に進む考えなどはあるのでしょうか?

面白いことならばいろいろやりたいですね。私鉄とかに興味があります。

_最後に、<山>に登ろうとする人々に一言お願い致します。

「目の前の山に登りたまえ。山は君の全ての疑問に答えてくれるだろう」



■イベント情報
『山』
日程 2013年12月20日(金)
時間 23:30 OPEN 24:00 START
会場 渋谷WWW
チケット 前売3500円 当日4200円
【Exhibition】
山口俊郎 powered by CASHI

【Artist】
<メインルート(北側斜面)>
EYヨ、okadada、tofubeats、DJ WILDPARTY、 Sugar’s Campaign(Seiho/Avec Avec)

<サブルート(東側斜面)>
Carpainter、Fazerock、Gigandect、PARKGOLF、Pa’s Lam System、Miii、Hercelot、Tomggg

特設サイト:http://yama.cs8.biz

【チケット】
e+
受付期間は12月19日(木)18時まで

ローチケ.com
受付期間は12月18日(水)23時59分まで

※共に先着受付順のため、先行受付予定枚数終了次第、受付終了

インタビュー・文:和田瑞生
1992年生まれ。UNCANNY編集部員。ネットレーベル中心のカルチャーの中で育ち、自身でも楽曲制作/DJ活動を行なっている。青山学院大学総合文化政策学部在籍。