INTERVIEWSMarch/16/2016
[Interview]The fin. – “Through The Deep” (Part.2)
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(Part.1からのつづき)

“例え価値観が違っても伝わるものがある。そこに希望があると思った”

__なるほど。では他の曲のイメージについても伺っていきたいと思います。

Y(Yuto Uchino):まず作った順番をいうと、「Divers」、「Anchorless Ship」、「White Breath」、「Through The Deep」、「Heat」なんです。この順番で話してもいいですか?

__是非お願いします。じゃあまず「Divers」から。

Y:えっと、この曲は1st Album作ってから結構すぐに出来た曲で。だから1年以上前とかにデモは出来てた曲なんですよね。この時はなんかこう、確かに自分の中でもエレクトロニカっていう表現方法をちょっと1つやってみようと思っていて。冷たさというか……、どちらかと言えばつるっとした感じ、テクスチャーで言うと。木材とかよりもプラスチックみたいな。このEPは正直結構自分の自由にやれていたっていうのはあるので、何でも気にせずに作れたんですよね。だからやってみようと思ってこの曲を作ったんですけど、いざ作ってみたら、自分の中にプラスチックみたいな質感のものがあんまりなくて。俺が使ってるシンセサイザーって、使ってても結構ざらっとした音色なんですよね。

__電子音は使っていても、あんまり無機質な音というか、例えばピコピコした音とかってないですよね。

Y:そうなんですよ。打ち込みを使ったとしても結局なんだかざらっとしたところに行き着くんですよね。どうしても。

__なんだろう、完全な無資質ではなく、微かに暖かみのある、それこそ木材のような。

Y: そう。あとは冬の朝、みたいな。例えば雪国に住んでる人がいて、朝起きて外に出てみると雪が一杯で、真っ白でピュアやけど、意外とざらっとしてるな、みたいな。リアルって、パソコンの中みたいにつるっとしないなっていう。そういう非現実のつるっとしたところを追い求めるのも面白いんですけど、自分の中ではそれは違ったんですよね。もっとリアルな空気感とか、なんかそれこそ海外で感じた空気のざらつきとか、そういうものが意外と自分の中で大事やったんやなっていうのに気付けたんですよね、この曲を作って。打ち込みも使ったし、シンセもアルペジエーターで弾いてたりするけど、なんか全然人間ぽかったというか、もっとリアルな音が出たというか。

__1st Albumを作った結果、次は新しいことをやろうと思って作った曲ってことですよね。

Y:そう、実験みたいな。

__「Through The Deep」を聞いた時に、エレクトロニカ色が強くなったというか、そのバンドサウンドの変化を特に感じたんですよね。でもThe fin.の音楽は、これはこういう曲だ、みたいな、その曲を固定するイメージがつきにくいというか、どのようにもとれる解釈の余地があるんですよね、コードにもメロディにも歌詞にも。良い意味で作られきっていない、凝り固まっていないというか。だからどんな日常にもはめることが出来るし、その中でリアルに感じられるような気がするんです。

Y:いや俺、それすごく大事だと思っていて。何に関しても思うんですけど、リアルなものって閉じてないんですよね、出口が。例えば俺が好きな映画って大体最終的にほっぽり出されるんですよね。起承転結がしっかりしてて、結果的にこうなりました、良かったですねっていうのはすごく分かりやすいし、評価しやすいとも思うけど、俺が追い求めてるリアルってもっと散らかってるし、一つの答えが出るわけでもないし。ただそこに時間が流れていて、そこに真実味があるというか。なんて言うんだろう……、例えばThe fin.の音楽を再生した時に、一旦そのリスナーをThe fin.の音楽の中に連れ込んで、その音楽が止まったら手放しにしてその人達を自分たちの世界に帰すわけじゃないですか。その後でその人達が何を得たり思ったりするかっていう自由というか、そこにあえて空白を与えることが作品の懐の深さに繋がるんじゃないかと思うんですよね。

最初は正直そういうの全然意識してなかったんですけど、村上春樹の『雑文集』を読んで最近気付いたんです。元々作品は読んでいたけど、村上春樹という人物にはあんまり興味なかったんですよね。でも、何かを生み出す哲学というか、そういう部分は影響を受けていたんだなっていうのを『雑文集』を読んだ時に気付いて。だからさっきサウンド面でも空白があるっていう話があったけれど、その空白には意味があるというか。ドーナツの穴は存在するのか、みたいな哲学というか。アートにはそういう面がどこかに必ずあると思うし、だから皆そのアートに対して色々な解釈をして色々なことを言って、でも実は全然そうじゃなかったりする、みたいな。

__音がないのではなく、そこにゼロが存在する、みたいな。すごく変な言い方になってしまうんですけど、多分音楽を作って楽器を演奏することに拘りがあるというより、The fin.を表現するその方法が自分たちにとっては音楽だった、という気がするんですよね。

Y:なんかそこって多分全部にあって。俺は音楽が大好きやったから今音楽をやっているけど、根底にあるものは多分全部一緒やん。映画も本も絵画も。もしかしたらこうして人に話すという行為もどこかで繋がっているかもしれん。でもその方法、ジャンルが俺にとっては音楽やった。だからこれを極めて、ここで表現をしていこうと思ったし。だからなんだろう、あんまり音楽に拘りがないと言われると語弊が生まれるからね、俺音楽めっちゃ好きって言うのは言いたい(笑)。

__ごめんなさい、言い方が悪かったです(笑)。音楽を作ることを目的とするというより、その好きな音楽を通して自分たちの世界観を表現するっていうことですよね。

Y:そうそう(笑)。

__すみませんでした、ありがとうございます。『OTOTOY』さんのインタビューで、Yutoさんは絵画を見るのが好きだとお話されていましたが、その作品におけるテーマを抽象化して解釈の幅を広げるという点では通ずる所があるなと思うんです。

Y:絵画を見るのは好きですね。ほんまにただの趣味なんですけど。

__例えば歌詞とかも結構抽象的じゃないですか。(同じく『OTOTOY』さんのインタビューで)歌詞はパーソナルな部分を書いたものが多くて、皆さんもそこが反映されているのが分かると仰っていたかと思うんですけど、そういう自分の心情を抽象化して表現するというのもリアルさの一つなのかなと思います。

Y:その時に頭の中にある最近の考えとかあるじゃないですか。最近自分はこういうことをこういう風に感じている、とか。全体的にも歌詞にも言えることなんですけど、そういう頭の中にあるものをピュアに出すっていうのが自分の中のテーマなんですよね。変に格好付けたりせずに、さらっと出してみる。そこに意味があるんちゃうかなっていうのがあるんですよね。結構自分も音楽を聞いたり本を読んでいる時に、ふと自分の中に入ってくる一節っていうのがあるんですよね。勿論全体のストーリーもあるけど、ふとある一文にガッと心を動かされる。その経験に自分は良さを感じるからこそ、自分もそこに向かって歌詞を書いているというか。素直な視点で、リアルに考えていることをふっと出す、みたいな。

人間って、思ったことを一生懸命に言おうとした言葉より、日常生活していてふと出た言葉の方が、意味ありげやったり素の自分が出ていると思うんですね。自分の足で立って、自分の心で感じたことや目で見た景色を素直に出すことに価値があるんかなって思います。で、それで海外に行った時に、すごく響いたって言ってくれる人がいてほんまに嬉しかったんです。

俺は一応英語で歌ってはいるけど、こんなに社会のカルチャーが違って、育ってきた言語も違って、子供の頃にしてた遊びも観てたテレビも違うし、目の色も違えば肌の色も違って、多分見えている色も違って、それなのにその壁を越えて響くものがあるんやなって。そこに希望があると思ったんですよ。でかい話をすれば、こんなに皆価値観が違って、殺し合いもしてるのに、こうやって日常でふと思ったりすることが響いたり伝わったりするんやなって。なんかこう、手応えがあったんですよね。これが俺に出来ることかなって。

__1曲が起承転結の決まったストーリーではなくて、その中のワンシーンなんですよね、風景画というか。ふっと入ってきたこの瞬間っていうのを切り取って曲として表現していると以前仰っていたかと思います。

Y:そうですね。俺映画でもそういうの良いなと思うんですよ。生きてると絶対に俺たちは時間の流れに逆らえなくて、でも映画とかって大事なシーンがスローモーションになったりとか綺麗な音楽が流れてきたりとかして、現実ではないやんそんなことって。でもアートならそれが出来るし、そうやって残すことができる。だから自分がほんまにぐっと来た瞬間を3分にも4分にも残しておけるし、意外にそういうことって非現実的でもないんかなって思ったりもする。実はそれが意外とリアルだったりするのかなと。

__ありがとうございます。では曲の話に戻りたいと思うんですけど、「Divers」は1st Albumとは違うことをやるための新しい試みとして作ったものの、サウンドが変わってもやはり根本には変わらないリアルな質感があったことに曲を作ってみて気付いたというお話でした。ではその次に作った「Anchorless Ship」はどんなテーマがあったのでしょうか。

Y:これはすごく分かりやすくて。例えばこれ、どちらかと言えば俺は一番最初のEPの『Glowing Red On The Shore』に入ってても良いと思うのよ。うん、だからそういうことです。

一同:(笑)。

Y:多分、「Divers」を作ってみて、自分を見直せたんかなっていう。だからその後この曲を作った時に歌詞的にも自分に対して腑に落ちたところがあったというか。ある種原点回帰的なところはあるかなって思いますね。まあサウンドの変化はあるやん、そりゃあ。けど、何かを作るっていうことに対してだったり、音を表現するとかに関しては分かりやすいかなって思いますね。で、これをライブでやった時にウケたんですよね。その時に、ああやっぱり皆そういうのが欲しいんかなってね(笑)。

__ビートははっきりしていてノリやすいですよね。

T(Takayasu Taguchi):俺は嫌いじゃないけどね(笑)。

Y:うん、まあやっぱね、自分の中では色々あったよ(笑)。

__ありがとうございます。では次は「White Breath」をお願いします。

Y:この曲は、サウンド的に言えば自分の中のオーガニックな部分を全面に押してて。あとリズムを少しとっ散らかせたかったというか。

__何だか浮遊感があるなとは思いました。

Y:そう、なんか音楽的なところで言えばそういうのがあって。でも曲を作るっていうところで言うと、これすごく冷たい。「White Breath」っていう位やから。で、俺的にはアイルランドに行った時の感じがあんねんけど、この曲は。アイルランドってめっちゃ田舎やったやん。で、人とか野暮ったいんですよね。めっちゃ訛ってるし、その訛り方も決して格好良くはないし。なんかこう、皆クールじゃないねんな。で、多分街とかずっとあんな感じやん。そこで人が生活してて。でも確かに自分と共鳴するところもあるんですよね、そういう野暮ったさとかが。で、遠い国で感じるある種の孤独感とかがあって。やっぱりさ、この4人で行ってても絶対に孤独感はあるやん。それが海外でも、もしかしたら東京でも感じるかもしれんし。何やろう、その時はそこがテーマやったんですよね。だからサウンド面でもオーガニック的な部分を出したり、心情的な部分でもアイルランドに行ったときに感じたそういう気持ちがマッチしたっていうのがあって。

あと、ここは面白いなと思ったんやけど、意外とドラムとベースは暖かいんよな。それこそオーガニックというか。でもシンセとギターと声はすごく冷たいねん。ミックスしてておかしいなと途中で思ったんやけど。ドラムもベースのフレーズもかなりドライで泥臭さもあって、その割にボーカルはガンガンにコールドやし。そこのアンバランス感って、自分が海外にいる時の気持ちと似ているというか。例えば、ここに皆で来れたっていう前向きな気持ちとその裏にある不安や孤独感というか。人間って案外相反する気持ちが共存している生き物やと思うんですよね。ミックス作業を進めるうちに、案外自分にもそういうところがあるんやなって気付いて。結構ね、俺そういうことが多いんですよね。多分そこまで意識的に作ってないから、ミックスして客観視した時に初めて、ああ俺こういうことしてるんやなっていうのが分かったりする。

あとは皆にデモ聞かせて皆で録った時にそれがより分かりやすくなってたりとかして。それはミックス作業を自分でやってて面白いなと思いますね。多分全部誰かに任せてしまうと全部出しっ放しになってしまうかなと思うんですよ、自分が。今までの自分の生き方とかって結構そうで、いつも自分を出しっ放しやったんですね。基本的には皆そうだと思うんですけど、自分を振り返って顧みられることってあんまりなくない? 例えば昔の記憶を辿ってもさ、誰かが自分に言っていたことの方が覚えてるやん、自分が誰かに言ったことよりも。誰かから、お前あの時こういうこと言ってたよって言われて初めて、ああ確かになって思い出すというか、そういう感じ。だから自分にとってミックス作業って、作品を作っていくと同時に、自分がどこにいて何をやっているのかを振り返るっていう一つのプロセスでもあるんですよね。それがまた自分の次の作品にも繋がっていたりするし。

__そうですね。ミックス作業という曲をまとめる作業を他の人に頼むことで、その曲に対して客観視した違う解釈が入るのが良いって仰る方もいますよね。自分の作品に信頼する誰かの手が加わることで、自分の想像の範疇を越える新たな作品の一面が見えたり、それによって自分の作品を客観視することが出来たり。多面的に考えるというか。

Y:確かに他の人にお願いして、また違う一面を混ぜる良さってあると思うし、多分その方が良いねんな。自分を嫌いにならずに済むと思う。変な話さ、段々自分が薄れていくわけやん。それで良い部分というのが入ってくる。それって単純に自分の嫌な所見なくて済むってことなんよね。自分の作品を自分で作ってミックス作業までやると、自分をまじまじと見つめないといけないし、その中で自分の嫌な面っていうのを沢山見るから、技術面とかだけじゃなくて。多分それって精神衛生上あんまり良くないんですよね。

でもそれって、多分芸能人の多くにもある問題やと思ってて。すごく自分のことを見つめてるやん、あの人らって。で、その上で、完璧に違うキャラクターを作る人と、本当の自分でそのまま戦っていく人の2種類の人がいると思ってて。で、仕事の為に作った自分と本当の素の自分との間に距離を作ることで、多分本当の自分を守っているんだと思う。でも、アートってそれが全然出来なくて。出来るのかもしれないけど自分に嘘ついてるみたいできついし、俺は自分のリアルなところを表現したいから出来ない。だからその方が自分には合ってるんかなと思う。

例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチのこととか俺あんまり知らんけど、あの人は「モナ・リザ」を元の絵がなくなる程に何度も何度も書き直していたんやって。それって多分、自分と向き合うための行為やったんじゃないかなって思う。自分は本当に何を出したいのかっていうのを何十年もかけてやっていくうちに、気付いたら最初とは全く違う絵になっていたっていう。それってすごく人間らしいなと思うんですよね。俺にとってミックス作業ってそういうところがあって。何回もやり直すし、自分が出していた音でもやっぱり違うなと思ったりもするし、でもその中で自分を見つめることが出来るというか。

__そうすると、「Divers」で新しいことをやってみて気付きがあって、「Anchorless Ship」で一旦原点回帰して自分を見つめ直したところで作ったのが「Through The Deep」でしょうか?

Y:そうですね。だからこの曲は今作の中で一番素直かもしれない。これと、あと「Heat」も割と新しい曲なんですけど。でもそこから作った曲はほんまに素直に出せている面が多くて。だからなんて言うか、今までの過程はここに辿り着く為の道やったんですよね、完全に。……こんなこと言って大丈夫かな(笑)。

一同:(笑)。

__大丈夫だと思います。「Heat」とか、多分今まであった曲の中でも特にシンプルですよね。

Y:そうですね。俺この曲すごく好きなんですよ。ちゃんと素直に表せている気がして。

__ありがとうございます。では次に「Night Time (Petite Noir Remix)」についてお伺いしたいんですけど、どうしてこの方にリミックスをお願いしたんですか?

Y:これはね、Jamesっていう元アイリッシュの超良いイギリス人がいるんですけど、今その人と一緒にイギリスで色々やってて。その人に紹介してもらったんですよね。

T:それでお願いしたっていう、ただそれだけかな(笑)。まあリミックスやからね。

__かなり原型を留めていないリミックスだなと思いました。

Y:そうなんですよね。だからこういうのすごく楽に聞けるんです。もう自分じゃないんで。

T:その方が良いんちゃうかなとも思うし。

__どうしてこのEPにリミックスを入れたんですか?

Y:イギリスで昨年末にEPをリリースしたんです。で、向こうってEPを出す時に、少し畑が似ているけどちょっと違う感じのアーティストのリミックスを入れてリスナーの幅を広げるんですよ。それって結構向こうでは常套手段なんですよね。だからその一環というか、副産物って感じです、正直な話。でもそれはそれで面白いからね。

__なるほど。日本でも音源にリミックスが入っていたりもするけど、これはなんかこう、思ったよりも別物になっていたから、ああこう来たか…っていう(笑)。

Y:多分ね、初めて聞いた時にはてなが浮かぶよね(笑)。

__やっぱり「Night Time」って日本で広がり始める火付けとなった曲だと思うから、あえてそのイメージを壊すじゃないけど、こんなことも出来るんですよっていうことなのかなと思ったんですよ。

Y:いや実は全然そんなことないんですよ(笑)。ただここは彼が自由にやったらこうなったっていう。

R(Ryosuke Odagaki):多分リミックスに対する考え方がこっちと向こうじゃちゃうねんな。

Y:うんうん。彼アフリカの人なんですけど、このリミックスにもアフリカの自由な感じが出てるよな。縛られてないっていうか。

T:それは彼の表現やから、それはそれで良いと思うしな。

__ありがとうございます。では次に、自分はこの曲が聞いていて好きだとか、制作時の思い入れがあるとか、演奏していて楽しいとか、何でも良いんですけど、印象が強い曲をお一人ずつ挙げていただきたいです。ではまずNakazawaさんからお願いします。

N(Kaoru Nakazawa):そうですね…「Anchorless Ship」がね、すごく難しいですね。

一同:(笑)。

N:1人でやってる分にはそこまで苦労感とかもないんやけど、バンドで合わせるときはね。

__じゃあこの曲を聞くときは是非ドラムにも注目して欲しいですね。

N:いやそんなことはないです。全部聞いてください。

__わかりました、ありがとうございます。では次にRyosukeさんお願いします。

R:僕が曲として普通に好きなのは「Divers」ですね。うーん、なんか後半が良いなっていう。

一同:(笑)。

R:でも思い入れがあると言えば「White Breath」ですね。なんか思い入れがあるんです。理由は正直分からないんですけど。理由はないんだけど、思い入れがあります。

__わかりました、ありがとうございます。では次にTaguchiさんお願いします。

T:まずレコーディングの面で、「Divers」は歪みを使ってみたりだとか、「White Breath」では指で弾いてみたりだとかっていうのはあるけど、結構僕はどの曲も好きで。俺の思うThe fin.の良さやけど、エレクトロニカの要素が強くなってもその中にThe fin.の暖かいところというか、そういう部分がちゃんと入ってる。

特に「Divers」や「Anchorless Ship」はそれが上手く出来たんやないかな。ちょっと哀愁のあるというか。でもサウンドはそこをコテコテにやっているわけではないし、そのバランスの良さがThe fin.の良さなんじゃないかと個人的には思う。でもこれって、多分一番最初の頃からあったものだと思うんですよね。俺は一番最初にYutoの曲を聞いたときからそれを感じたから。だからサウンド面やその表現方法としての変化や広がりはあるけど、このThe fin.らしさっていうものは多分今までもこれからもずっと変わらないと思う。だからまあ、全部おすすめです。

Y:そうね、今の聞いて俺も思った。なんかもうこれまとまっちゃったね(笑)。

T:ごめん(笑)!

Y:えっと、でも俺はやっぱり「Through The Deep」かな。そりゃあまあ全部好きだし思い入れもあるし、全部自分やねんけど、この曲はさっきも話したように、色んな変化をしながらここにきて自分の中にあるものを素直にすっと出せたかなっていうのがあるから。やし、この曲が一番2nd Albumに向かってるし、一番今の自分に近いのは「Through The Deep」と「Heat」です、っていう。

 

“2nd Albumでは一つの何かがちゃんと見えるかなって思ってます”

__わかりました、ありがとうございます。2nd Albumのテーマやディレクションについてはもう具体的に決まっているんですか?

Y:もう曲もほとんど全部出来てます。あとは俺が可能な限り、時間のある限り書くっていうね。でももう10曲以上は出来てます。レコーディングももう始めてて、昨日はドラムを録ってたし、あとは録音して完成させるっていう段階ではありますね。自分の中で2nd Albumは、さっき話したところの1つの到達点ですよね。それを示したいかな。乞うご期待! っていう感じです。

T:まだ出てないけどな(笑)。今はEPを推さなあかん(笑)。

Y:でもなんかもうその位先に行っちゃってるよな。

T:でもほんまにそれを期待出来る作品になると思う。

__不確実性を受け止めて、良い意味でもがいていた1st Albumから、もがきながらも自分を見つめて見つけた微かな光に向かって進んでいる過程としての今作、そしてそこの光の先の到達点を表すのが次の2nd Albumですね。

Y:そうですね。2nd Albumでは一つの何かがちゃんと見えるかなって思ってます。

__ありがとうございます。では最後にEPリリース後の活動についてお願いします。

Y:EPをリリースしてツアーを回るんですけど、今回は日本とアジアでの発売になるので結構アジアも回るんですよね。だから日本というよりアジア圏内でツアーを回って、今年の後半くらいに2nd Albumを出せたら良いかなって思ってます。で、それとは別に平行して、今年の後半位からヨーロッパやアメリカを回るっていうのはやっていこうと思ってますね。

__昨年もアジアやヨーロッパでのライブを行ってましたよね。

Y:そうですね。でも今後は多分ヨーロッパでの活動が本格的になっていくかなって感じですね。

__日本やアジアに留まるつもりはないんですね。

Y:そうですね。もうちょっと海外でやっていきたいなと思ってます。だからもしかしたら今後日本でのライブも減るかもしれないし。だからそういう意味でも来れる時にライブに来てください、って感じです(笑)。もしかしたら本当に、今やってるような、月何回とかの細かいライブが出来なくなるかもしれない。こういうツアーっていう形で回ることになるかもしれないから、そこに来て欲しいよね、やっぱり。そこで俺らが見せることが出来るものって沢山あると思うから。

__ライブの話もそうだったと思うんですけど、日本と海外での活動を両方してみて、やっぱり海外での活動の方が、手応えがあったのでしょうか。拠点地を海外に移すという可能性はありますか?

Y:そうですね。海外に住むっていうのも、必要があれば有効な手段やと思うし可能性はあります。でも俺らはもうどう足掻いて日本人なので、どこにいようと日本のバンドとしてはやっていきますね。

T:それが日本でもどんな国でも隔たりなく、普通にライブをするっていう。

__じゃあ、今後は観れる時に観れる場所で、といった感じですね。

Y:そうですね、それはどこにいたって同じやと思うから。

__ありがとうございました。

インタビュー・文:成瀬光
1994年生まれ。UNCANNY編集部員。青山学院大学総合文化政策学部在籍、音楽藝術研究部に所属。

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■リリース情報
Artist: The fin.
Title: Through The Deep
Release date: 2016年3月16日
Price: ¥1,500(税別)

1.White Breath
2.Divers
3.Through The Deep
4.Heat
5.Anchorless Ship
6.Night Time (Petite Noir Remix)

■ライブ情報
Through The Deep Tour
2016年4月01日(金) 心斎橋 Music Club JANUS
OPEN 18:30 / START 19:00

2016年4月02日(土) 名古屋 CLUB UPSET
OPEN 18:30 / START 19:00

2016年4月09日(土) 渋谷 CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00

2016年6月10日(金) 台北 THE WALL
OPEN 19:00 / START 20:00

2016年6月16日(木) 仙台 CLUB SHAFT
OPEN 18:30 / START 19:00

2016年6月21日(火) 広島 4.14
OPEN 18:30 / START 19:00

2016年6月22日(水) 福岡 The Voodoo Lounge
OPEN 18:30 / START 19:00

チケット
ADV ¥3,000 / DOOR ¥3,500(Drink代別)
※台湾公演 ADV NT.1100 / DOOR NT.1300