INTERVIEWSApril/29/2016
[Interview]Travis – “Everything At Once”
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 今年で活動20周年を迎える名実ともにUKを代表するバンドのひとつ、Travis。彼らの楽曲は、他者に向けた感情を吐き出すような鬱々としたメランコリックな歌詞とは相反し、時には衝動的で、時にはどこか前向きになれるような透明感のあるメロディを響かせ、これまでその実績通り多くの聴き手を魅了してきた。8作目のスタジオアルバムとなる最新作『Everything At Once』からは、20年の活動を経た中で、メンバーの変わらない部分や彼ららしさと共に、彼らの人生における様々な変化の影響を感じ取ることができる。そして、それらが巧くミックスされたような、ベテランバンドとは思えぬ軽やかな新鮮さがアルバム全体に表現されている。

 今回、その最新作『Everything At Once』のリリース直前の開催となった「Hostess Club Presents Sunday Special」出演のために来日したTravisから、ダギー・ペインとニール・プリムローズのメンバー2人に話を聞いてみた。

ダギー・ペイン(bass / back vocal)
ニール・プリムローズ(drums)


__約2年ぶりの来日公演ということで、昨日のTokyo Dome City Hallでのライブはいかがでしたか?

ダギー:とても素晴らしいものだった。僕たちにとっても新しいものを披露したりして、興奮と同時に緊張もしていたよ。キーボードプレイヤー抜きでライブをしたのは初めてだったし、新しいセッティングに新曲、それに時差ボケもあったしね(笑)! とにかく、日本に来る時はいつも楽しんでいるよ!

__今夏にはフジロックフェスティバルへの参加が決定していますが、このような短いインターバルでの来日はTravisでは珍しいことではないでしょうか?

ダギー:いつもは2年くらいの間が空いちゃうんだけど、今回は偶然が重なってとてもラッキーなんだ! あと、もしできたら今年中に単独公演で帰ってこれたらといいなとも考えていて、とてもワクワクしているところだ。

__新しいアルバムが発売されるということで昨日のライブのセットリストはどのように決めたのですか?

ニール:セットリスト含めて今回のセッティングなどすべてが決まったのがライブのほんの1週間前だったんだ。

ダギー:今回のアルバムの曲のいいところは、ほとんどのものが短いということだね。だからたくさんの新曲を披露することができたし、皆が知っているようなこれまでのシングル曲とか、昔の曲も演奏することができたんだ。本当にほとんどのシングル曲をね! バンドとしてプレイしたいということはもちろんだったけど、観客のみんなにも僕たちと一緒に歌って欲しかったんだよ。

__日本では4月29日に新作『Everything At Once』の発売が決まっています。アルバムのテーマやタイトルに込められた意味を教えてください。

ダギー:これはNYの街を歩いていた時に思いついた曲なんだけど、歌詞とか何よりも先にメロディが頭の中を流れていて、どんな歌詞になるかも全く考えていなかった。だけど、その時脳裏に浮かんだのが“Everything at Once”という言葉だったんだ。思わず「ファック!」って叫んじゃったよ(笑)。その上に色々な要素を思いつきすぎて、なかなか1ヶ月間まとまらなくてイライラすることもあった。ずっとメロディが頭の中を流れていて、それが途切れたり、終わることなんてなかったんだ。それをどうやったらこれを解決できるか考えていたんだけど、最終的にはフレーズを短くしたりして、どうにか歌えるような長さにしたんだ。こんな風に「もう全部を1つに入れることが不可能だ!」ということからこのタイトルをつけたんだよ。

自分が当初思いついたメロディは自分でもとても気に入っていたんだけど、それが息継ぎが出来ないくらい長くて。でもそのままだと歌うことも出来ないから、各所でぶつ切りにして、それに、押しつぶされるくらいの沢山のものを詰め込んで、自分のコーラスに来た時に一気に想いを吐き出すような形にしたんだ。

“Everything at Once”を曲だけじゃなくてアルバムのタイトルにしたのは、この言葉が、曲はもちろん映像を作ったり、他にもこのアルバム作りの過程で起こったすべてのことを反映しているから。他にも色々候補はあったんだけど、色々なことが全部一度に起こっているということを表現したくて、この曲名をアルバムタイトルに起用したんだ。

__前作に引き続きプロデューサーにはMichael Illbertを起用したということですが、2回目の彼との制作はどのように進んだのでしょうか?

ニール:Michaelとの制作は他のプロデューサーと比べてリラックスできるし、ドイツに彼のスタジオがあるっていうのが自分たちにとってもとてもいい環境だったよ。

ダギー:彼はスウェーデンのスカンジナビア出身のプロデューサーで、もともとスカンジナビアの人々はポップに対して良い要素を持っていて。これまでにKaty PerryやTaylor Swiftなどのアーティストもプロデュースしているから彼の持つキラキラ感というか、そういう雰囲気をサウンドにもたらすことができたんだ。今回はロックバンドとしての要素と彼のポップな部分が融合して、面白いコンビネーションになったと思うよ。彼には才能があるし、何より僕たちTravisっていうバンドに好意を持ってくれているから、やりやすかったし、とても良いものが出来上がったと思う。

__今回Travisとしてはおそらく初めて、楽曲にゲストシンガーを起用したということで、「Idlewild」ではJosephine Oniyama、また、「3Miles High」ではバックコーラスにノルウェイ出身のシンガーの方が参加されているようですが今回この2人のアーティストとコラボレーションするに至った経緯を教えてください。

ダギー:Martinっていうスカンジナビア出身のプロデューサーがいて、彼がベルリンでライブに行った時に、それにJosephineも出演していたらしい。そこで彼女が歌っているのを聴いて感動したMartinが僕に電話をかけてきたんだ。「3Miles High」ではバックコーラスにノルウェイ出身のシンガーとコラボしているんだけど、もともと彼が歌うはずだったパートが高すぎて彼が歌えなかったから、MartinがJosephineにコンタクトを取ってくれて、それで今回のコラボレーションが実現したんだ。彼女の歌声は素晴らしくて、スタジオで彼女が歌った時は皆驚いていた。

ニール:もちろん、素晴らしいシンガーは沢山いるけれど、彼女が持つジャズっぽさとか、歌声の中に彼女の経験だったり、人生が表現されているような、そんな力を感じて、Nina Simoneに通じるものがあると思ったんだ。彼女は特別なシンガーだよ。

__今回3分以内の曲が多数収録されており、その件に関してフランは「4分間も必要ない」とコメントしていますが、バンドがそのような考えに至ったきっかけはありますか?

ダギー:これはある事件がきっかけになっているんだ。ラジオで曲を流す時って、通常曲は短くあるべきなんだけど、前回の作品で長い曲を作ってしまったがために、僕たちが試行錯誤して完璧に完成させた素晴らしい曲を「半分以上短くしてくれ」と言われたんだ。納得して素晴らしい作品ができたと安堵していた時にそんなことを言われて僕たちは、「何を言っているんだ? 誰がそんなことを?」と愕然としたね。それで、編曲する際に毎日メールで何度もやり取りをしたり、それが本当に悪夢のような出来事だったし、ラジオで流すにはいいかもしれないけど、それは僕たちがせっかく完成させたものを妥協したということになるから、今後ラジオでそういうことがないように、3分以内に抑えようと話して、こうなっていったんだ。

__これまで前作の『Where You Stand』以前はフランがほとんど独りで曲を書いていたと聞きました。本格的に曲作りを分担するようになって2作目となりましたが、1つのバンドとして、なにか大きな変化はありましたか?

ダギー:以前から僕もアンディも曲を書いたりしていたんだけど、Bサイドのものが多かったり、やっぱりフランが中心的に書いていていたりして。でも3年以上かけて完成させた5枚目のアルバム『The Boy with No Name』の頃から色んなことを試すようになっていったんだ。6枚目のアルバムは皆で集中して作ったからこれまでよりも早いペースで制作を進めることができたんだけど、2週間で曲を書いて皆で集まって2週間でレコーディングとかをしていく中で、よりメンバーが互いにコラボしているような感じになったんだ。だからこのアルバムはよりヘヴィでバンド感のあるアルバムに仕上がっているんだと思う。

その後2年間の活動休止をきっかけに、それぞれが曲を書くようになっていって、各々が作ったものを持ち寄った時に、その一つ一つがシングルになり得る可能性を持ったものだったから、これからも積極的に作っていこうってことになったんだ。だからこれを皆で話し合って決めたとかではなくて、オーガニックな、自然の流れでこうなっていった感じかな。

__それによってバンド自体が大きな変化を迎えたという感覚はありますか?

ダギー:僕たちは25年間友達という感覚でやってきたから、特に大きな変化が起こったということはないよ。僕は94年頃から自分でも曲を書き始めていて、99年頃からそれらが起用されたりということもあったし、突然誰かが「やりたい!」って声をあげたりしたわけでもないから、自然な流れだったのかな。17歳の頃からみんながダギーの部屋に集まってギターを弾いたり歌を歌ったり、楽しみながらやってきたのは、25年たった今でも変わらないし、やっていることはあの頃と変わらないんだ。僕たちは別にプロのバンドではなくて、何かの繋がりでこうなった、ただの友達同士(”We are just Pal!”)だよ。僕たちの基礎は“友達”というところにあるからね。

(2016年4月11日、ホステス・エンタテインメントにて)

インタビュー・文: 池田礼
1996年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。電子音楽を中心に幅広い領域で音楽を楽しむ。

通訳:原口美穂

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■リリース情報
Artist: Travis(トラヴィス)
Title:Everything At Once(エヴリシング・アット・ワンス)通常盤
Release date: 2016/4/29(金)
Label: Red Telephone Box/ Hostess
Price: 2,400円+税

Title: Everything At Once(エヴリシング・アット・ワンス)DVD付限定盤
Release date: 2016/4/29(金)
Label: Red Telephone Box/ Hostess
Price: 3,300円+税

1. What Will Come
2. Magnificent Time
3. Radio Song
4. Paralysed
5. Animals
6. Everything At Once
7. 3 Miles High
8. All Of The Places
9. Idlewild (ft. Josephine Oniyama)
10. Strangers On A Train

*日本盤はボーナストラック(2曲)、歌詞対訳、ライナーノーツ付(予定)
*限定盤にはボーナスDVD(約30分のミュージック・ビデオが付属