- INTERVIEWSDecember/14/2012
【Interview】16Flip (ジュウロクフリップ) (We Nod Records × UNCANNY)
We Nod Records × UNCANNY
【Interview】16Flip (ジュウロクフリップ)
Interview by Yuya Mori (2012.11.26)
これまでに、ISSUGI、仙人掌、S.L.A.C.K.(5lack)、MONJUなどDOWN NORTH CAMP/DOGEAR RECORDSを中心に、多くの作品をプロデュースし、数々のトラックを世に送り出してきた東京を拠点とするビートメイカー、16FLIP。自身初のCDアルバムとなるビート集『Smokytown Callin』が12月5日にリリースされた。このアルバムは、まさに現在の東京のストリートシーンを映し出す黒くて重いビート・アルバムだ。
DOWN NORTH CAMP のトラックメイカーとして活動し、同クルー所属のMONJUの第4のメンバーでもある氏のトラック制作に対する考えや、東京の最重要クルーのひとつと知られていながらも、その実態がいまいち掴めないDOWN NORTH CAMPの活動についてインタビューを行った。氏の持つ独特の雰囲気をそのまま感じて頂きたい。
-早速となりますが、はじめに今回のアルバム『Smokytown Callin』のテーマを教えてください。
テーマは、「今、自分が気に入っているビート、好きなビート」って感じになると思います。
-17トラックというヴォリュームですが、収録曲を作った時期はいつ頃ですか?
半分くらいが今年入ってからで、後は今まで作ったビートの中で好きなやつを選びました。
-16FLIPさんの音は「煙たい」と表現されることが多いと思います。それはキックやスネアの質感、タイミングによるものではないかと感じたのですが、何かこだわりはありますか?
昔から結構自分の音を「煙たい」とか「黒い」とかいってくれる人いるんですけど、自分で気にしたことは一度もなくて。気付いたら周りの人がそういう風に言ってくれていたって感じなんです。キックとかスネアも自分がただ好きな音っていうだけで、こだわりは自分が好きなことをやる、っていうことですね。
-楽曲によって印象は異なりますが、ベースラインがそれぞれの楽曲のコアになっている気がします。ベースについてはどうお考えですか?
ベースがかっこいい曲が好き、っていうのが無意識のうちにあるからかも知れないですね。だから自分が作る曲も自然とそうなっているのかもしれないです。
-収録曲の「Riddim come from refugee」ではレゲエをサンプリングしながら響きはヒップホップになっています。このバランスがすごく心地よいのですが、ヒップホップとレゲエのバランスはどう考えていますか?
多分自分がトラック作ったら全部ヒップホップになると思うんですけど、この曲も自分の好きなものの中にレゲエがあるからだと思います。なんて言えばいいんだろう……、レゲエも好きなんで自然とそうなるのかもしれないです。
-多くのラッパーやシンガーのChiyoriさんにもトラックを提供されていますが、インストの曲を作るときと、ラップや歌を乗せる曲を作るときで曲作りへの意識は変わりますか?
特に変わらないですね。出来たものをその人に渡して、好きなようにやってくれたらそれが一番嬉しいですね。でも、もしかしたらビート集の方が誰もラップ乗せないかもなっていう曲を使っているかもしれないです。
-最近トラックを制作している映像をYouTubeで公開されましたが、あの映像は基本の制作スタイルですか?
基本その映像の感じです。そこを基本に、そこから何かやるかやらないかっていう感じですね。だいたいやらないですね(笑)。
-使用している機材を教えてください。
一応MPC3000すね。
-ネタのレコードはどのように掘っていますか?
地方で買うことが多いですね。あとは友達から貰ったレコードを使うことも多いと思います。俺とは違う角度から俺の好きなものを提示してくれるから、自分のイメージにプラスされたものがつくれますね。
-『Smokytown Callin』というタイトルについて、他のインタビューで「DOWN NORTH CAMPだからつけた」と仰っていましたが、それはどういった意味合いでしょうか?
結構そのままなんで、そのままの意味ですね。DOWN NORTH CAMP のビートメーカーだからのもあるし今までずっと一緒に曲作ったり遊んだりしてるんで、自分らの音楽っていうか。
もしかしたら自分が下北沢に行きたくなるときに聞きたい音なのかもしれないですね。
-DOWN NORTH CAMPについてお聞かせください。ヒップホップ好きな人ならみんながDOWN NORTH CAMPというクルーの重要性を理解していると思うのですが、その反面DOWN NORTH CAMPの情報というのはあまり出てきません。それは何故でしょうか?
多分情報が回っていないっていうのは単純に情報を出すやり方を知らないからですね(笑)。わざと出していないんじゃなくて出せないっていう。
-6周年を迎えた<Dogear Records>とDOWN NORTH CAMPの関わりはどういったもなのでしょうか?
一体化してると思うっすよ、リリースしてレフジーでリリパやったり。
-6年前に<Dogear Records>を立ち上げたきっかけを教えてください。
その時、音源を『Concrete Green』とかに入れてくれたりしてて、それでちょうど昔から同じイベントに出てたJUSWANNAとかSWANKY SWIPEだったりがリリースするようになって。俺らも自分達でCD作って音源出そうっていう感じでした。それこそWe NodとBOOT STREETとHarvestの三店舗ぐらいしか最初置いてなかったと思いますね。最初は流通とか会社とかもよくわかんなかったので、置けるお店に置いていただいたっていう感じです。
-We Nodなどのショップの存在はかなり重要だったのですね。
We Nodには本当に感謝しています(笑)。音楽始めたときから自分が作ったものを形にしたいとずっと思っていたので、そういうきっかけがあって本当に良かったです。
今とはまたちょっと違ってダウンロードっていうよりはCDRでリリースなら誰でもできるって感じだったので。
-6年前に始まった<Dogear Records>はその後どのように発展していったのでしょうか?
最初はMONJUとかがリリースしていたんですけど、そこからDOWN NORTHのみんなのリリースをしているうちにBuda君だったり、S.L.A.C.K.だったりヤバいなって人達に出会ってリリースしたり、っていうのが続いて、気がついたら今になっていた、という感じです。
-DOWN NORTH CAMPの雰囲気とかノリとかに憧れている人達も多いと思うのですが、音源が送られてくることはありますか?
いるんすか?? 音源はたまにですね。でも、クラブとかでCDで渡してくれる人はいますね。
-そこからクルーに加入した人はいますか?
自然と仲良くなるのが普通なんじゃないすかね、加入とかじゃないんすよね多分。S.L.A.C.K.のときは、PUNPEEから「弟ラップやってるんですよ」って感じでCD貰って。それ聴いてやばいなって思って知り合ったって感じです。
-普段集まるのは下北沢界隈ですか?
DOWN NORTH CAMPのまとめ役っていうか(笑)、その人が下北に住んでいるのでみんなで集まるとしたらそこが多いっすね。
-東京で一番好きな場所はどこですか?
いろいろ好きっすよ、移動してる時が好きかもしれないっすね。
-ピンポイントであげるとしたらどこになりますか?
池袋から下北を経由する場所すかね。
-あまりイコールで結ばれない街だと思うのですが、何故その2カ所なのでしょうか?
まあ単純に自分が行く場所は友達がいる場所っていう感じなんです。
-日本のなかで興味のある人、クルーはいますか?
Budamunkくんと、あとflashbacksも楽しみです。
-Budamunkさんから受けた影響はありますか?
ノリとかすかね。
-海外で気になっている人はいますか?また、ヒップホップやレゲエ以外で最近聴いて好きだと思ったアーティストを教えてください
Lee Bannonっていうビートメイカーですね。ヒップホップやレゲエ以外だと、ロジャー・ニコルズ & ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズかな。あとはDorothy Ashbyっていうハープ奏者がやばいっすね。
—最後に、例えばビートメイカーでこの人が好き、とかきっかけはこの人、という人はいますか?
きっかけは多分人っつーよりもヒップホップにやられちゃったんで気づいたらやってたっすね。あとは自分の世界っていうのをバシってあるやつがかっこいいなと思います。
俺プレミアとか好きでネイト・ドッグが死んだときとか、普段ネイト・ドッグかけなそうなのに最初っから最後までネイト・ドッグかけてて。伝わってくるものがすげーやばかったっす。
音から感じる部分ですね。ブレる事を知らない人の音からでるパワーってすごくて。そういう所でガツンとくるものがあって「俺は絶対これだから」みたいなものが不思議とある人が好きですね。
取材:森優也
1991年生まれ、埼玉県草加市出身。UNCANNY編集部員。POPGROUP所属のESMEを実兄にもつトラックメイカー見習い。
取材協力: P-Vine Records , We Nod Records
*16FLIPの最新アルバム『SMOKYTOWN CALLIN』は、2012年12月5日より、<P-Vine Records/DOGEAR RECORDS>から発売中
Find it at: We Nod Records, Amazon, iTunes