- INTERVIEWSAugust/14/2014
【Interview 】 TOY – Hostess Club Weekender 2014.JUNE
TOYはイギリスのブライトンで2010年にTom Dougall(vo/g)、Dominic O’Dair(g)Maxim “Panda” Barron(bass)、Charlie Salvidge(drum)、Alejandra Diez(key)の5人で結成されたインディ・ロックバンドだ。結成後ロンドンに拠点を移し〈Heavenly Records〉と契約、翌年1000枚限定でリリースしたデビューシングル「Left Myself Behind」は即完売したという。心地の良いリズムにノイジーなギターサウンド、幽玄なヴォーカルにオシレートするシンセサイザー、そして、クライマックスにかけての疾走感が彼らのサウンドの特徴だ。バンドメンバーそれぞれが違った個性を持ち、アートワークやサウンドにおけるTOYの世界観は複雑で美しく、強いエネルギーを持っている。
2012年には、ファーストアルバム『TOY』をリリース。主要メディアで高い評価を獲得した彼らは、続くセカンドアルバム『Join The Dots』を昨年リリース、結成から短期間で自分達の音楽を確立し、さらに成長し続けている。彼らは、サイケデリック、シューゲイザー、クラウトロックなどと評されるが、型にはまらない様々な要素をミックスさせた繊細かつ大胆なサウンドは、UKインディロック界に人々が長く待ち侘びていたひとつの新しいスタイルと言えるのではないだろうか。
そんな彼らは、二度目の来日で6/21(土)、6/22(日)に新木場STUDIO COASTにて開催されたHostess Club Weekenderに出演し、二日目の午後会場満杯のオーディエンスを沸かせた。ミュージックビデオでのどこかシュールでダークな雰囲気からは想像もつかない程パワフルでエモーショナルなパフォーマンスは人々を興奮の渦へと巻き込み、彼らの音楽を初めて聴く者から熱狂的なファンまで、会場内に響き渡るTOY独特の感性から引き出された五感に響くサウンドの虜になったに違いない。
今回、ライブ終了直後のメンバー全員にインタビューを行った。
_今日のパフォーマンスはとてもエキサイティングでした。日本のオーディエンスの印象はどうでしたか?
アレハンドラ(以下A):ありがとう。日本に来たのは二回目だけど、日本のオーディエンスは素晴らしくて毎回楽しんでいるわ。
トム(以下T):それに、今回は自分達の音楽ややりたいこと、伝えたいことを他の国よりも日本のオーディエンスは分かってくれているということを強く感じたよ。
_バンド結成以前はトム、ドミニク、マキシムは元Joe Lean & the Jing Jang Jongのメンバー、チャーリーもバンドにいたそうですが、そのような経験はTOYとしての活動に活かせている部分はありますか?
マキシム(以下M):確実に今につながっていると思うよ。自分達の好きな音楽をやるという点では前のバンドでの経験が活かされているね。でも、当時はとても若かったということもあって、自分たちの音楽をさらに追求するためにTOYを結成したんだ。
_楽曲制作についてですが、どのようなプロセスで曲を完成させていますか?
チャーリー(以下C):決まったやり方はむしろ決めないようにしていて、毎回色々な手法で試しているよ。皆でアイディアを出し合って、自分以外の楽器を担当したりもしているよ。
M:そう。チャーリーがギターを担当したりね。
T:お互いに言葉で話すことはあるけど、音を一斉に鳴らすことはなくて、二人ペアになって楽曲制作したり、色々試しているよ。あとは、バンドメンバーと一緒にいる時間を大切にしているね。
_私の印象では、ファーストアルバムのシューゲイズやサイケデリックを全面に出したサウンドに比べ、『Join The Dots』 では様々なテイストが混じったサウンドへと変化したと感じたのですが、セカンドアルバム制作時に何か意識したことはありますか?
D:いつも自然に任せているから特に意識したことはないんだけど、バンドとして成長したっていうこともあるね。
T:その時に感じていたムードが自然とこういう形でアルバムになった感じだね。
A:自分達に限界をつくらないで、色んなことを試したいと常に思っているわ。その時感じた素直な気持ちを自然に表現していて、何が起こるかはその場でしか分からないの。
_楽曲やミュージックビデオで表象されるバンドの世界観から強くアート性を感じましたが、例えばどのようなものからインスピレーションを受けていますか?
T:アートからは強く影響を受けているよ。アートワークやミュージックビデオに関して自分達がインスピレーションを受けたことを実験的にやってみたり、影響を受けたものから自分達の世界観を創り出しているんだ。
D:この前顕微鏡でクリスタルを覗いてみた時に、自然の光がライトショーみたいに光っているのを見たんだけど、そういう物からもインスピレーションを受けることも多いんだ。プロジェクションとかライティングが好きで、そういう日常におけるナチュラルな発見を自分達のアートワークに反映させていっているよ。
A:ミュージックビデオを作る際には、音楽を聴きながら作りたい映像を意識してつながりを大切にしているの。
T:それと、最近音楽のシンセサイザーがあるようにビデオのシンセサイザーがあることを知ったんだけど、僕たちはそんなデジタルな機材よりもアナログな機材、日常的であったり、オーガニックなエフェクトが好きで、そういうものにも影響を受けているよ。
_The Horrorsのサポーティングアクトを務めた経験もあるようですが、やはり彼らとは共通点が多くあったり、互いに影響し合っている部分があるのですか?
M:彼らとはもともと仲が良くて6、7年の付き合いなんだ。同じような音楽が好きだから共通点は多いね。自分達が本格的な活動を始める前に、一緒に音楽を聴いたり演奏したりととても近い存在で、彼らのライブに出させてもらったことで活動のスタートを切らせてもらって、そういう意味でサポートしてもらったし、何よりも仲が良くて、いつもお互いに刺激し合っている存在であることには間違いないね。
_ステージでのパフォーマンス時にオーディエンスに対して特に何か意識していることはありますか?
M:ライブは感情の反映だから自分達が楽しんでやらないとオーディエンスに伝わってしまうんだ。自由にエネルギーを放出することでオーディエンスに対して真摯でいれると思うよ。あとは、ステージ上ではやりたいことをしっかりと出し切って、エナジーを送ることを大切にしているよ。自分たちが上手くいくことで、皆にとっても良い結果になるからね。
_最後に、これからの活動展望、アルバム制作予定についてお聞かせ下さい。
D:これから3枚目のアルバムを作るのがとても楽しみで、いつもそのことは自分達の頭の中にあるし、それに向けて新たな音楽的挑戦をしようと思っているよ。
M:9月までは夏フェスで毎週末ライブの予定が入っているから、平日に楽曲制作を進めているよ。ロンドン以外の場所でもレコーディングを進めて新たな挑戦をしてみたいね。
取材・文:佐藤里江
1994年生まれ。UNCANNY編集部員。主にアート、映画分野を得意とする。青山学院大学総合文化政策学部在籍。