ARTICLESApril/27/2014

Featured |「東京」特集 bo en & MEISHI SMILE

14042501MI

 5月5日、〈Maltine Records〉主催のイベントとしては過去最大規模であるパーティー「東京」が、恵比寿LIQUIDROOMとKATAにて開催される。鮮烈なメジャー・デビューを果たし、4月30日にはメジャー2ndシングル『ディスコの神様』をリリースするtofubeatsをはじめ、DJ WILDPARTY、Okadada、SeihoとAvec AvecによるユニットSugar’s Campaignといったネットレーベルから発展したカルチャーを代表するアーティストが一同に介する。そして、同時に、〈Maltine Records〉黎明期から過激なサンプリング作品をリリースしているPPS、ベースラインハウスの登場と同時に注目され、現在もGrimeやJungleといった音楽を発信し続けている若手アーティスト・Madmaid等も出演、インターネット上の音楽シーンの野心的な側面をも取り込んだ「東京」だが、一つの目玉は2組の来日アーティスト、〈Maltine Records〉から昨年リリースされた『Pale Machine』が爆発的な話題を呼んだbo enと、日本のポップカルチャーを受け継ぎながらサイバーパンク的な目線を持ち続けるMEISHI SMILEにあるであろう。

 bo enは、イギリスの作曲家。2013年、〈Maltine Records〉から『pale machine』をリリースし、その突出したポップ音楽のセンスと、英語と日本語が混ざり合った奇妙な温かさを感じさせる歌唱で一躍注目を浴びた彼だが、元々はCalum Bowen名義でインディースゲームの音楽などを制作している作曲家である。

bo enとしての音楽が一躍注目されたきっかけは、2013年の4月にリリースされた『FOGPAK #6』に収録され、後に『Pale Machine』にも収録された「miss you」。

ビートミュージックとポップミュージックが組み合わさったサウンドに、英語と日本語が奇妙に交わった歌詞を多重に録音されたボーカルがエモーショナルに歌いあげられる「miss you」は、当時非常に話題になった。「東京」の紹介文に「『Introverted MaximalistPop』=日本語で内向的で過激なポップという、ポップミュージックのキュートさを持ちながら、歌声と歌詞は感情的なスタイルを自称。」と記述される通りのサウンドはこの時点ですでに確立されていたのである。

その他、mus.hibaとの楽曲「winter valentine (with mus.hiba)」の制作、『ANODYNE REMIX ALBUM』への「friend」提供、Spazzkidに「Candy Flavored Lips (bo en イパネマREMIX)」を提供する等の活動を行う。そして、2013年夏、〈Maltine Records〉のSoundCloudアカウントにbo enの代表曲「my time」が公開され、大きな話題となった。

「my time」「friend」等8曲が収録されたbo enのファースト・アルバム『pale machine』は2013年9月にリリースされ、今年の2月14日には、10曲に及ぶ追加楽曲とリミックスが収録された『pale machine [EXPANSION PACK]』がCDでリリース(現在は売り切れ)。200枚限定のbo en手作りのCDパックが全世界に発信された。

 「東京」で来日するもう1組のアーティスト・MEISHI SMILEはアメリカ在住。J-POPなどの日本音楽に影響を受けたMEISHI SMILEは、デモ音源をきっかけに〈Maltine Records〉より『mYSTERIOUS sUMMER vACATION』を昨年2月にリリース。「DIGITAL PUNK ROCK SPIRIT」と題された彼のスタイルは、リミックス楽曲でありながら、原曲やそのカルチャーへの愛を感じさせる楽曲に表れている。

MEISHI SMILEのSoundCloudでは、中華スターFaye Wongをサンプリングした楽曲「享受」が話題となった。

彼のデジタルパンク的な側面は、楽曲そのものよりも、スタイル的なものに象徴されている。MEISHI SMILEがSPF420に提供したDJMIX「SCATMAN THE FRIENDLY GHOST ► INTO THE NIGHT(CORE) VOL. 1 ◄」は、彼自身の楽曲に加え、Scatman JohnやLinkin Park、CapsuleやKoRnなどといった雑多なアーティストを早回しにしてミックスをした、刺激的な内容になっている。

また、彼はレーベル〈ZOOM/LENS〉を主宰。同じく「東京」に出演するアーティスト・Yoshino YoshikawaのEP『Yumetatsu Glider』等、彼の感性に共鳴するポップで先鋭的な音楽をリリースしている。そして、〈ZOOM/LENS〉より今年1月にリリースされたMEISHI SMILEの1stアルバム『Lust』は、彼のポップネスで繊細な感覚と、シューゲイザーをシンセサイザー・ミュージックとして捉えたような、ざらついたエモーショナルな音像が光る作品。リミックスには、Yoshino Yoshikawa、Gigandect、mus.hiba、KOSMO KATといったアーティストが参加。

 東京という一つの仮想フィールドを舞台に、次世代のポップミュージック、そして次世代を担う音楽家が一堂に会する「東京」。UNCANNYでは開催までの2週間、引き続き「東京」に向けてアーティストの特集を行っていく予定だ。

Info: bo en, MEISHI SMILE, 東京

■イベント情報
Maltine Records presents 「東京」
@LIQUIDROOM + KATA
OPEN / START 15:00
ADV / ¥3,300(税込・ドリンクチャージ別)

出演アーティスト:tofubeats / Sugar’s Campaign / MEISHI SMILE / bo en / okadada / DJ WILDPARTY / PARKGOLF / Pa’s Lam System / ラブリーサマーちゃん / Fazerock / Gigandect / Carpainter / Tomggg / PPS / ACID WHITE HOUSE / Yoshino Yoshikawa / Qrion / Miii / 三毛猫ホームレス / パジャマパーティズ / Hercelot / MadMaid

TICKET: チケットぴあ [225-911] ローソンチケット [72527] e+ 楽天チケット,3/22 ON SALE
※未就学児童の入場不可
Info:HOT STUFF PROMOTION 03(5720)9999
MaltineRecords「東京」公式ページ: http://tokyo-0505.cs8.biz/

文:和田瑞生

1992年生まれ。UNCANNY編集部員。ネットレーベル中心のカルチャーの中で育ち、自身でも楽曲制作/DJ活動を行なっている。青山学院大学総合文化政策学部在籍。