INTERVIEWSApril/05/2014

【Interview】The Wedding Mistakes — “Virgin Road”

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1993年1月生まれのLASTorderと、1992年生まれのMiiiによる新世代ユニット、The Wedding Mistakesが作り出す音楽は、ふたりの持つ独特の〈想像〉の世界に満ちあふれている。その21才の青年たちから見える風景──美しい旋律と規律や躍動する破壊的な激情といった、彼らがクリエーターとして持つ繊細な想像の世界が音像となって表現されたのがこの『Virgin Road』というアルバムだ。そして、このアルバムは、ぇゎモゐのおじぎによるアートワークと、Hercelotによるボーナストラックによって、さらにその世界観を増幅させ、それぞれのクリエイションが見事に融合した、まさにThe Wedding Mistakesにしか表現できない幻想的な物語を紡ぎだすことに成功している。

そして今回、4/6(日)にアルバムのリリースパーティー「ウェディング・セレモニー」(注:誰の結婚式でもない)を控えるThe Wedding Mistakes のメンバー、LASTorder、Miiiの両者に、アルバムについて、また今後の活動についてのインタビューを行った。

The Wedding Mistakes
L: LASTorder
M: Miii

_まずはファースト・アルバムのリリースおめでとうございます。SoundCloudで一曲目の「Preface」を発表したのが7月下旬で、それから半年以上が経過し、ようやくフルアルバムをリリースしたわけですが、今の率直な感想はいかがでしょうか?

L: アルバムをリリースする中で、アートワークを作ってもらったこと等も含めて改めてThe Wedding Mistakesのイメージ像が固まった感じです。

M: 当初は「とりあえずゆったりと活動していこう」という気持ちだったのですが、アルバムの反響が良かったのもあり、自分たちの中で、この先に繋げていく自信というか、『Virgin Road』以降のサウンドを作っていく気負いが出来てきました。

_前回のインタビューでもお聞きしましたが、改めまして、The Weddding Mistakesという名前の公式な由来を教えてください。

L: ユニットを組んだ時にポストロックバンドっぽい英語のバンド名を考えようと言っていて、MiiiとLASTを組み合わせたMistという単語をMistakesという単語に拡大した所まで考えたついたのですが、ただ横文字の小洒落た名前にするのも性に合わないなと思ったので、そのMistakesという言葉自体がジョークになるようなイメージで、なんとなく、Weddingをつけました。

M: 名前は結構難産でした。色々考えた結果、最終的にはお互いの名前から発想して作っていきました。

_今回のアルバムについてお聞きします。デビュー・アルバムとしては、やはり完成度が高いと感じました。特に、アルバムとしてひとつのストーリー性を感じるのですが、その辺は意識しましたか?

L: 曲順はどちらかというと僕が拘ってこうしてほしいとMiii君に注文しました。ストーリー性に関して僕は意識したつもりはないですが、バランスを良くしようと3つの激しい曲をアルバムの3本柱として散りばめています。

M: 僕の場合は、LASTorderが提示した世界観を、その都度ビートで補強したり、違うニュアンスで壊したりしていったので、全体のまとまりというのはあまり意識しませんでした。ですが、そういった何が起こるかわからない化学反応含めThe Wedding Mistakesだと思っているので、そういう意味でのストーリー性はあると思います。

_アルバムでは、「Dramatic Behavior」や「So Hot」、「Through All Eternity?」のように、激情的な曲と、「Virgin Road」や「Her Mistakes」のように、静寂を表現したような、静と動の組み合わせが印象的でした。それぞれの楽曲に意味合いがあると思うのですが、こういった全体のテーマと、もし個別の楽曲でエピソードがあれば、教えて頂けますか?

L: 「So Hot」「Dramatic Behavior」などはなんとなくMiiiの激しいドラムが入ることを想定してウワモノだけのループのデータを渡しました。僕が普段作らないということもあるんですけど、このように彼のドラミングでイメージががらっと変わった曲がいくつかあるので、その制作が面白かったです。

M: 曲によって僕がかなり手を加えたり、逆にLASTorderが投げてきたところからほとんど音を変えなかった曲もあったりします。「Dramatic Behavior」の中盤の展開は僕のオリジナルで、「I do’s」なんかはLASTorderのデモからビートを足したり、一部音を歪ませたりした以外何も触らなかったです。「静と動」の感じは、僕が昔からWorld’s End Girlfriendを聞いて青春を過ごしてたので、あの節操ない感じをとても意識してますね。特に『Dream’s End Come True』辺りが大好きでした。

_The Weddding Mistakesというバンドは「ポストロックプロジェクト」と銘打っていますが、バンドにとってのポストロックとは、どういった定義と捉えていますか?また、シンパシーを感じるポストロックのバンドはありますか?

L: 曲を作っている中で何か閃きがあること。シンパシーを感じるバンドは分かりません。バンドをやっているという意識があまりないので……。

M: 文字通りロック「以降」のサウンドをやっていきたいという気持ちがあるので、そういう意味でポストロックと言わせて頂いています。僕もバンドのポストロック感というより、World’s End Girlfriendの感じ、それと2000年代中〜後あたりのエモーショナルなブレイクコアが好きなので、そっちに近づいて行きたいです。

_Hercelotさんのリミックスが、非常に秀逸だと思いました。また、ボーナストラックながら、The Weddding Mistakesの今後の可能性すら感じました。今回、Hercelotさんにリミックスをオファーした経緯はどのようなものですか?

L: 僕とMiiiと、両者とはまた違った雰囲気や音を作る人が良いなと考えていて、Hercelotさんが真っ先に思い浮かびました。

M: Herclotさんは元々知り合いだったのと、The Wedding Mistakes的に近くにありながらちょっとニュアンスの違ったものを取り入れたいと思い相談してみたのですが、想像以上に素晴らしいものが返ってきてとても嬉しかったです。

_同じく、ジャケットのデザインは、ぇゎモゐのメンバー、おじぎさんによるものですが、オファーした経緯と、イラストの詳細や意味を教えて頂けますか?

L: 以前からおじぎさんの作るコラージュが格好いいと思っていて、お願いできないかなあと思っていました。ジャケットデザインはほぼ完全にお任せしたので意味は僕の口から語れるものでもないですが、繊細な曲の雰囲気と女性的な花柄の背景がマッチしていると思います。

M: おじぎちゃんは当時TwitterとかTumblrにだけコラージュをアップしていて、その独特な感覚がすごく気になっていたのでお願いしてみたのですが、アルバムがリリースされた後になって渋谷のGalaxxxyでおじぎちゃんのコラージュ展示が始まったので、先見の明があったのかなと思いました(笑)。制作に関してはほとんど時間がかからず、最初に送られてきたオブジェクトをそのまま採用して、さらにいくつか背景のパターンを出してもらって、その中で一番フェミニンなものを採用しました。

_次の段階として、The Weddding Mistakesとしてやってみたいことはありますか?

L: ドラマーを入れてライブをやってみたいです!

M: 僕たちしかやれないような感じの歌ものがやりたいです。わざわざボーカリストを招いて曲を作ってるのに、歌詞がギリギリわかるようにカットアップしてメロディも再構築されてる、みたいなのを(笑)。あとはLASTorderの言うとおりライブをもっと楽しくやりたいので、ギターをもっと練習します。

_ちょっと横道にそれますが、Cashmere Catがちょうど同じ時期に『Wedding Bells EP』をリリースしました。タイトルも含めて、サウンドも親和性が高いと思うのですが、Cashmere Catについてはどう思いますか?また、気になっているアーティストや、対バンしたいと思うバンドはありますか?

L: リリースの時期も近かったですよね(笑)。気になっているアーティストはangel 1.というたぶんUSのトラックメーカー。

M: Cashmere Catのリリースは普通に素晴らしかったですね。対バンしたいです。The Wedding Mistakesイベント企画の妄想を2人でとか、自分一人でしたりするのですが、折角微妙にバンドに近いことをやってるので、そっち寄りのアーティストと共演してみたいですね。あと、佐伯誠之助さんとも一緒にやりたいです。

_また、関西では、Seihoさんやtofubeatsさん、4/6のリリースパーティーにも出演するMetomeさん、同世代ではMadeggさんなど、たくさんのアーティストが出てきていますが、東京発でそういったイベントのメインとなれるようなアーティストが正直少ない気がします。そういった現状をどのように思いますか?

L: そうなんですね。頑張りたいものです!

M: それこそLASTorderなんかは国内シーンでも誇れる素晴らしい楽曲を作れるアーティストだと思うんですが、東京というフィールドだと埋もれてしまいますよね。横浜のCarpainterもtofubeatsさんの公式リミックスや海外リリースなどが控えていますし、実力があってもまたそれほど認知されていないだけのアーティストも沢山いると思うので、現状についてそれほど心配はしていないです。

_それぞれ、ソロとしての今後の活動予定があれば教えてください。

L: 詳細はまだですが今のところ4月半ばに楽しみな出演が2つほどあります。

M: 5月くらいに日本のレーベル〈Murder Channel〉からミニ・アルバムCDを出します。それ自体の楽曲制作はほぼ全て終わったのですが、それに合わせて4月〜5月は色々と出演があるので新曲を作ったりしています。その他にも、同人音楽の制作やリミックスから、ネットアイドルとの楽曲共作まで、今までどおり幅広くやっております。是非僕たち個別の活動にも注視して戴けたらと思います。

_最後に、言い残したことがあれば、ぜひお願いします。

L: 不定期ではありますがこれからもライブ活動を行っていきたいと思っていますので、今後ともThe Wedding Mistakesを何卒よろしくお願いします!

(2014.4.3)

インタビュー・文:T_L
UNCANNY編集部員。主にプルーフリーディング、その他雑務全般を担当。

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Artist: The Wedding Mistakes
Title: Virgin Road
Release date: 14 February 2014
Jacket: ojigi

1.Preface
2.Dramatic Behavior
3.Virgin Road
4.Her Mistakes
5.So Hot
6.I do’s
7.Marriage for Dance
8.Through All Eternity?
9.Bluemoon
10.Dance for Marriage (Hercelot Remix)

*購入はこちらから
The Wedding Mistakes『Virgin Road』特設サイト

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■イベント情報
ウェディング・セレモニー
-The Wedding Mistakes “Virgin Road” Release Party-

Live Act:The Wedding Mistakes, Go-qualia, Metome、Hercelot, mitsushige
VJ: VIDEOBOY, Taiyo Yamamoto
Time Out Cafe & Diner DJs:aoidots, andrew, lluiin, AYA, LASTorder(“Wedding Mistake” J-Pop Selection BGM)
Tarot:あわい

日時:2014.4.6 sunday open/start 17:00-22:00
場所:KATA + Time Out Cafe & Diner [LIQUIDROOM 2F]
door 2,500yen(with 1drink)
*アルバム購入者 2,000yen(with 1drink), U-20 2,000yen(with 1drink)
(上記2つの割引は併用出来ませんのでご了承ください)

お問い合わせ
KATA http://www.kata-gallery.net/
Time Out Cafe & Diner 03-5774-0440 http://www.timeoutcafe.jp/
LIQUIDROOM 03-5464-0800 http://www.liquidroom.net/

企画・制作:LIQUIDROOM / The Wedding Mistakes
制作協力:UNCANNY