INTERVIEWSApril/26/2017

[Interview]Geotic – “Abysma”

 BathsことWill Wiesenfieldによるサイド・プロジェクト、Geotic。彼はそれぞれのプロジェクトにアクティブとパッシブという位置付けをし、音楽活動を行ってきた。

 特に、Geoticは、アンビエント・プロジェクトとして2008年からスタートし、これまで自身のBandcampでセルフリリースの形式をとるなど、よりプライベートな側面を見せている。例えば、過去アルバム2作品『Morning Shore (Eon Isle)』(2014)と『Sunset Mountain (Eon Isle)』(2014)は、ギター及び声のみで制作されるなど、彼独特の、よりパーソナルな世界観が表現されている。

 〈Ghostly International / Tugboad Records〉からのリリースとなった本作『Abysma』は、Geoticとしては初のレーベルからのリリース作品となる。今まで謎の多かった、Geoticというプロジェクトについて、また、今作の制作背景などを中心に話を聞いてみた。

__今までGeoticの作品は、全てがセルフリリースとなっていましたが、今回のアルバムは〈Ghostly International〉からのリリースとなっています。そのきっかけを教えてください。

実は今作もセルフリリースの予定だったんだけど、僕のマネージャーが作品を聴いたときに、より大きな可能性を秘めていると思ったみたいなんだ。〈Ghostly International〉は僕に合っていると思ったし、何より彼らも僕のことを応援してくれていたから、とてもいい機会になったよ。今回Ghostlyからリリースできて、とても良かったと思っている。:)

__あなたがBaths とは別にGeoticのプロジェクトを始めたのは2008年ですが、その頃と現在では、このプロジェクトに対する姿勢は変化しましたか。また、現在あなたにとってこのプロジェクトはどのような存在ですか。

そんなに変化はないかな。なぜなら、Geotic名義で制作している音楽は未だに“パッシブ・リスニング(passive listening)”であると思っているし、これこそがBathsとプロジェクトを分けた理由だからね。最近ではGeotic名義でダンスミュージックを作るようになってきているけど、以前のGeoticがアンビエントの曲を作っていたように、これからもそんな制作を続けていきたいと思っている。

__(Bandcampには)「BathsはアクティブなリスニングでGeoticはパッシブなリスニングである」とありますが、実際にこのようにプロジェクトを分けたのはなぜですか。

自分をアウトプットする手段だよ。曲作りには試行錯誤しているけど、最終的にはいつもアクティブかパッシブかのどちらかになるんだ。パッシブな曲を作る時はあまり考えすぎず、ゆるくやるようにしている。そうすることで、Bathsとしての制作がクリティカルであるのに対して、Geoticではより開放的になれるんだ。

__これまで、Geotic名義では、ギターのみで制作された『Morning Shore (Eon Isle)』(2014)、ヴォーカルのみで制作された『Sunset Mountain (Eon Isle)』(2014)などを発表していますが、これらのアルバムにおけるコンセプトを教えてください。

そのままだよ! その時は一つの楽器だけで構成された作品を作りたいと思っていたんだ。今度、ピアノだけで構成された『Evening Sky』という作品を作る予定だけど、今はまだ環境が整っていない気がする。

__「Laura Corporeal」の制作背景について教えてください。Lauraとは実在する人物ですか?

Lauraは特に誰かの名前ということではないよ。このタイトルをつけることでフェミニンさとか、自然な感じを出したかったんだ。ずっとこのタイトルが頭の中にあって、曲ができた時にLauraという名前がぴったりだと思った。僕は曲を作る時に、雰囲気を大事にしている。それが何かっていうのを的確に言えなかったとしても、タイトルはその雰囲気を出すのに重要な役割があるんだ。

__先日公開された「Actually Smiling」のミュージックビデオは脚本、監督、編集までご自身で務めたということですが、この難解なストーリーのテーマを教えてください。

これは、まったくもってフィクションで、完全なおふざけで作った映像だよ。基本的には、Chorginは海に入るのに髪の毛の長さが足りないから髪の毛を集めに出かけて、ようやく海に入ることを許される、というストーリーになっている。とっても馬鹿げているよね。

__今作のアートワークを手がけたKyttenjanaeにはどのような経緯で依頼することになったのでしょうか。また、バーチャライズされた人間を映し出す彼女の作風についてはどのように感じますか。

以前彼女と仕事をしたことをしたことがあって、その時から彼女の作品のファンなんだ。とっても好みだしね。僕の今回の作品には、バーチャルでありつつクリーンな雰囲気があるから、彼女の作風がぴったりだと思った。

__アートワークと本作のテーマにはどのような関連性があるのでしょうか。

明確には言えないけど、エモーショナルな雰囲気がある今回の作品を想起させるようなアートワークだと思っていて、アートワーク含め、作品自体がいい意味で曖昧なものだと思っている。

__(Bandcampでは)「音楽を聞くことは、自分自身であること」(So much of my experience listening to music is being by myself)と述べていますが、その意味を詳しく教えてください。

普段から僕は車の中や家、あとは運動中にヘッドフォンで音楽を聴いているんだ。こんな風に、僕にとって音楽を聴くということは孤立した行為であって、ダンスミュージックっていうものは、普通は大勢で楽しむものかもしれないけど、僕にとってのそれは一人で聴くもの。だから、僕と同じような考えのリスナーのために音楽を作っている。

__今後の活動予定を教えてください。

Bathsの新しい作品が完成したから、今はそのリリース準備をしているところだけど、ちょっと先になりそう。Geoticとしても曲作りをしている。年末にかけてライブを行いたいとも思っている。今はLAの自宅で仕事に励んでいるところ。:)

__最後に、Geoticという名前の由来を教えてください。

ファンタジーゲームとかそういう漫画に出てくる土の魔法(earthen magic)の呪文が元になっていて、多分人間とかそういう類の呪文を音楽として表現したかったんだと思う。馬鹿げているけど、この名前を思いついたのは10年も前のことだよ。:)

Abysma:
1. Sunspell
2. Actually Smiling
3. Nav
4. Billionth Remnant
5. Laura Corporeal
6. Vaulted Ceiling, Painted Sky
7. Perish Song
8. Valiance

Photo by Mario Luna

インタビュー・文:池田礼
1996年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。電子音楽を中心に幅広い領域で音楽を楽しむ。