INTERVIEWSFebruary/20/2013

【Interview】 Unknown Mortal Orchestra(アンノウン・モータル・オーケストラ) – “Ⅱ”

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【Interview】
Unknown Mortal Orchestra(アンノウン・モータル・オーケストラ)
Interview by Natsuho Nagata (2013.2.2)

2013年2月2日の<Hostess Club Weekender>のために初来日を果たした、アメリカ・ポートランドを拠点に活動するUnknown Mortal Orchestra(アンノウン・モータル・オーケストラ)。サイケ・ロック・サウンドにR&B、ファンク、ソウルの要素を取り入れた、現在のインディ・ロック・シーンの中でも異色なバンドである。

過去、特に60年代、70年代のロック、ソウルといったいわゆるポピュラーミュージックは、社会背景に影響を受け、その時代の社会を直接的に反映したものが多い。しかし、90年を過ぎたころから音楽は社会をダイレクトに映し出すというより、より複雑な側面を見せるようになってくる。

21世紀では、実際、ブルースだの、パンクだの、60年代や70年代、80年代の社会を経験していない人間がそれらをそのままの形で再現することはもはや不可能であり、当時のカルチャーを携えて現代を生きている自分たちを表現することは極めて難しい。今は、ギターを上達させるために悪魔に魂を売る時代でもないし、「ノー・フューチャー」と叫ぶ時代でもないのだ。

しかし、過去の音楽は、確実に今の音楽に影響を与え続けている。つまり、いまや過去の音楽は社会との直接的な関わりを絶ち、音楽それ自体が自律性を取り戻し、それそのものとして再解釈されていると考える方が自然だろう。

先に述べたように、Unknown Mortal Orchestraは、様々な音楽的要素からの影響を伺えるバンドだ。彼らは、古いレコードからの強い影響を公言するが、それらオリジナルだけが持つ感覚を彼らは鋭く汲み取とり、自らのサウンドへと鮮やかに消化している。宅録からスタートした彼らは、古ぼけたレコードから聴こえてくる物語をまるで今に表現しているようだ。

ボーカルのルーバンとベースのジェイクに、セルフ・プロデュースにより制作されたニュー・アルバム『Ⅱ』について、そして、その独特のサウンドが生まれる彼らの独自性の秘密を伺うべく、インタビューを行った。

Unknown Mortal Orchestra
ルーバン・ニールソン(Vo.&Gt.)
ジェイク・ポートレイト(Ba.)
グレッグ・ロゴヴ(Dr.)

_始めに、今回のニュー・アルバム『Ⅱ』についてお聞きしたいと思います。前作と今回のアルバムでは心境的な変化はありましたか?

ルーバン(以下R): 前と結構変わってきたのは確かだね。一つ一つの曲にかける時間が断然長くなったこともあるし。というのも、このアルバムを作る前に僕はジェイクや弟と一緒に他のアルバムを手掛けたりして色んな人と作業をしていたんだ。そのあと自分たちのアルバムを作ろうってなった時に、確かに前回のアルバムは自分が楽しければいいやって思っていたんだけど、今回は、例えば家で一人で自分用に料理をするよりも、家族のために料理をするような心構えになった。きっと僕らの音楽を楽しんで聴いてくれる人がいるんだというのが頭にあったんだと思う。

_実際に音楽的な変化はありましたか?

ジェイク(以下J): 歌詞を読むと、ここ一年間のツアーの出来事とかがにじみ出ているよね。

R: そうだね。さらに自分に正直に詩を書きたいと思ったんだよ。一年間のツアー生活を経て、人生っていうのをもっと詩や音楽に描き出したいと思うようになったんだ。また、今回ツェッペリンのようなバンドのように、アコースティックギターから作り始めて、他の楽器を重ねていくような音作りっていうのをやってみたんだ。前回のアルバムの曲は少し繰り返しが多くなってしまっている気がしたからね。今回はその分幅が広がっているんじゃないかな。

_今回セルフ・プロデュースという形をとったのもそのような変化があったからでしょうか?

R: 前に絵をかいていたこともあって、僕は何でもかんでも自分で全部やるのが好きなんだよ。もちろん自分に正直にっていうこともあるね。一人でコツコツって作業が僕には合っているんだ。

_音作りに関して、特に意識していることはありますか?

R: 基本的に夜に作業をするのが好きで、一人で時間をかけて色々音をつくるんだ。これだっていう音を見つけるには時間がかかるときもあるけれど、ちまちま作業するのが楽しいんだ(笑)。意識していることと言えば、好きで聴いているレコードが60年代から70年代頭くらいまでのものが多くて、自然とそういう音を求めてしまうんだ。ノスタルジックにということでは決してなくて、あくまで今の音をフレッシュな音として届けたいんだけど、やっていくうちに、やっぱり60年代から70年代頭くらいまでの音楽が自分たちの参考になるということに気付いてしまう。録音機材はテープマシーンも使うし、ラップトップも使う。機材に関してはモダンなものももちろん多く使っているよ。

_なるほど。例えば、その中でも特に気に入っているレコードは?

R: Sly & The Family Stoneの『Stand!』や、Pink Floyd の『The Piper At The Gates Of Dawn』 、Loveの『Forever Changes』、Frank Zappaの『Mothers of Invention』、それに Beatlesかな。

J: 自分は、ルーバンと趣味が全く一緒ってわけではないんだけど、かなり似ているよ。移動中の車の中や飛行機の中ではいつも同じ音楽を聴いているからね。僕らは車に乗っていようが、飛行機に乗っていようが音楽の話ばっかりしているよ。音楽について書かれた本もよく読むから、お互いに貸し合って読んだりするんだ。そしてその後お互いに感想を延々と話し合うっていうようなことをしているよ。例えばLove の『Forever Changes』なんかは、ルーバンから薦められて聴いて、お互いに感想をずっと言い合っていたね。

R: 僕が思うに、僕らはいわゆる音楽オタクだね(笑)。

_それでは、意識して60年代、70年代の音楽を再現しているのでしょうか?

R: どうなんだろう。はじめは自分が楽しむためにやっていただけだから。ジェイク、どう思う?

J: でも昔の音って、やっぱり演奏のクオリティが問われるよね。今みたいにコンピューターで作ってしまうのではなく、ミュージシャンが自分の腕で演奏して、録音する。だから聴きごたえのある音楽になっているんじゃないかな。そういうところが昔の音楽の魅力だと思うな。でも、実際作っていて思うのは、そういう理屈じゃないんだっていうことだな。

R: そうだね、60年代、70年代の音楽の何が良いから、じゃなくて、ただそのころの音が好きだから、そういう音を出したいだけだと思う。作っているとどうしても、テクノビートじゃなくて、60年代、70年代の音が頭の中に自然と鳴ってきちゃうんだよなぁ。

_60年代、70年代と現代の音楽シーンの違いをどう感じていますか?

R: 今の状況の方がいいかなって思うことがあって、というのは、たしかに音楽業界は今、お金がない状況だけれど、お金がないからこそ、昔のように手っ取り早く儲けようとするお金目当ての人がいなくなって、本当に音楽をやりたいっていう人たちが多くいるように感じる。また、機材が進化して、大きなスタジオを使わなくても自分で作りたい音楽をつくれる、っていう意味でも、僕としては現代の状況の方がいい気がしているよ。

_それでは、現在のインディ・ロック・シーンで好きなバンドはいますか?

R: いっぱいいるよ。

J: 例えばFoxygenやWampireは新人なんだけど、僕らが良いと思って、ツアーに連れ出すことにしたんだ。

R: 僕らも同じようにして大好きなDirty ProjectorsやGrizzly Bearなどの先輩のバンドにツアーに連れ出してもらって、支えてもらったんだ。今度は僕らが新人を支える立場なんだ。

J: Liarsなんかも好きだな。僕らが彼らを好きで、一緒にツアーをすることになったんだ。彼らの今回のアルバムもすごく良いよ。

R: 本当に嬉しく思うのは、最近僕たちの音楽を気に入ってくれる人が多くいて、その人たちを通して新しい音楽や人と出会ったり、自分たちのヒーローであるバンドに会えたりすることだな。新しいバンドが僕らに影響を受けました、って言ってくれるのもすごく嬉しいよ。

_では最後に今後の見通しについて教えてください。

J: 今回初めて日本に来ることができて、日本も気に入っているし、また日本にも来たい。こうやってツアーでいろいろな土地に行っていろいろな人に会いたいな。

R: 当分はツアーで忙しくなりそうだけど、今までも先のことは決めずに、一日一日頑張っていたら幸運がついてきたし、これからもそんな感じでやっていくんじゃないかな。あ、もう一つ話したいことがあるんだ。ニュージャージーのアートスクールで出会った、マスダコウスケっていう日本人の友達がいてね、彼は家が神道の神主さんで今は実家で神主をやっているんだけど、彼がアートスクールを卒業するときに、使っていたフェンダーのギターをくれたんだ。実はそれがきっかけで僕は音楽を始めたんだ。そうして自分はライブをするために日本に来られたし、何か一巡したって感じなんだ。せっかく日本に来たからこのことを話しておきたくて(笑)。

取材:永田夏帆
1992年生まれ。UNCANNY編集部員。趣味はベースと90年代アメリカのポップカルチャー。青山学院大学在籍の現役大学生。

 

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Artist: Unknown Mortal Orchestra
Title: Ⅱ
Lebal: Jagjaguwar/Hostess
Number: HSE60149
Release Date: 2013.1.30(日本先行発売)
Price: ¥ 2,490(tax in)
※日本盤ボーナストラック、歌詞対訳、ライナーノーツ付

<トラックリスト>
01.From the Sun
02.Swim and Sleep (Like a Shark)
03.So Good at Being in Trouble
04.One at a Time
05.The Opposite of Afternoon
06.No Need for a Leader
07.Monki
08.Dawn
09.Faded in the Morning
10.Secret Xtians
11.Two Generations of Excess (日本盤ボーナストラック)
12.Waves of Confidence (日本盤ボーナストラック)