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INTERVIEWSAugust/22/2016
[Interview] Baauer – “Aa”
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 Baauerの音楽は、あらゆるレッテルを避けるように、軽やかにダンスフロアを駆け巡る。そして、そのサウンドの印象が、私にとってそのままBaauerというアーティストに対する印象となっている。新作『Aa』の登場は、彼にとってだけではなく、ダンスミュージック・シーン全体にとっても大きなブレイクスルーとなった。骨太なダンスビートとオリエンタリズムが全体を包み込むこの作品では、多彩なMCを招き制作され、固定化された”Baauer”という枠に囚われない、彼の音楽に対する寛大で幅広い姿勢を見せつけている。

__『Aa』のテーマは?

「普通は混ぜようと思わない色々なものを一つにすることがテーマだった。M.I.A.やG-Dragonの組み合わせもその一つ。反応はいい感じだよ。『Aa』が出たことで、俺が一つのタイプだけではなくて様々な音楽が好きってことを皆が理解してくれたからね。それが嬉しかったな」

「Temple (feat. M.I.A. & G-Dragon)」からにじみ出る彼のオリエンタル的思想は、まさに「色々なものを一つにする」というテーマそのものの音楽である。同様に、日本のMCであるPetz (YENTOWN)もアルバム収録曲「Pinku」においてフィーチャーされている。都会の賑やかさとそれ故に増幅される儚さ、そしてその反復の中でいつの間にか深淵に連れて行かれてしまうようなイメージは、(日本語としてそれらが認識できてしまうがために)もはや空恐ろしさすらある。

__「Pinku」で共作を行ったPetzを知ったきっかけは?

「渋谷のジャンクマニアって店で彼に会ったんだ。ただ店に立ち寄っただけだったんだけど、たまたま会って、それがきっかけで彼らの作品をチェックしたら、それがすごく良くてさ。だからPetzに”君の作品すごく気に入ったよ。一緒に何かやらない?”ってメッセージを送ったんだ」

彼は、2016年のフジロックに出演し、出演後には、都内某所でのイベントにシークレットゲストとして登場している。そこで聴いた彼のDJは、フロアをしっかりと加熱する勢いのあるものでありながら、よりルーツに根付くようなヒップホップを中心に、トラップ、EDM、Bass Houseと様々な垣根を飛び越え選曲をしているように思えた。そしてその軽やかさこそが、Baauerの本質なのである。

__今現在、EDMのようなメインシーンについてどう思っていますか?

「俺は好きだよ。クールだとは思う。EDMの中にはインスピレーションを受けるものもあるしね。今はダンスミュージックを作るアーティストが沢山いるから、人と違うことをやって目立つことが求められている。それはクールだと思うね。Flumeは複雑で面白いものを作っているし、カッコいいよね」

__トラップ・ミュージックのシーンについては何か考えていることはありますか?

「クールなものもあるし、俺が好きな作品もいくつかある。でも同時にクールと思わないものもあるし、一概には言えないよ。全てが違うからね。クールなものもあれば退屈なものもあるしさ」

__あなたはどのシーンに属していると考えていますか?

「自分でもそれたまに考えるんだよね。でもわからないんだ。どこにも属さないんじゃなくて、全てのジャンルに属していたい。どこにでも属さないってのはちょっとね(笑)」

__DJプレイを行う時に、意識をしていることは?

「皆がクレイジーになるようなセットにすること。なるだけ早いトラックを選ぶね。でも音楽を作る時と同じように、DJをする時も様々な音楽を混ぜ合わせる。色々なタイプのものをね」

Baauerというアーティストが求めているものは、「人と違うこと」という強い刺激である。そもそも、既にテンプレートとして機能しつつある「Harlem Shake」であっても、その緊張と弛緩の究極のような展開そのものが並一通りのものではない。むしろ、そういったテンプレートが彼の音楽によって構成されている最近の状況こそが、彼の先見性と鋭さの何よりの証明では無いのだろうか。

__自分をアーティストとしてブランディングしていく上で、意識をしていることはありますか?

「考えた事ないな…あまり意識はしていない。もっとやったほうがいいとは思うけど、やり方がわからないんだ(笑)。自分の音楽を説明しろと言われたら、”全ての音楽が一つになった音楽”とは説明するだろうけどね。それが俺の音楽の定義と言えるんじゃないかな」

Baauerは一躍表舞台に飛び出してきたスターであるが、それと同時に、自らの探究心と好奇心を正しい形で理解しているアーティストでもある。彼の音楽性は、彼のアーティスト的な目線と探求により、今後もより幅広く変化していくのだろう。

__今後はどういう形で活動を行っていく予定ですか?

「沢山の色々なアーティストたちとコラボする予定なんだ。とにかく出来るだけ沢山の曲を作り続けて、様々なタイプの人たちとコラボすること。それが今決まっていることだよ」

質問・文: 和田瑞生


1992年生まれ。UNCANNY編集部員。ネットレーベル中心のカルチャーの中で育ち、自身でも楽曲制作/DJ活動を行なっている。青山学院大学総合文化政策学部在籍。

取材協力: Beatink

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Aa:
1. Church
2. GoGo!
3. Body
4. Pinku
5. Sow
6. Day Ones feat. Novelist & Leikeli47
7. Good & Bad
8. Way from Me feat. Tirzah
9. Temple feat. M.I.A & G-Dragon
10. Make It Bang feat. TT the Artist
11. Kung Fu feat. Pusha T & Future
12. Church Reprise feat. Rustie
13. Aa