INTERVIEWSMarch/12/2016

[Interview]Blackbird Blackbird – “Strawberry Light”

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 2010年に活動を開始したMikey Maramagによるソロプロジェクト、Blackbird Blackbird。自身の音楽性を”no genre”(ノージャンル)とカテゴライズする彼が作り出す作品群は、まさにスタイルにとらわれない変幻自在の音楽である。2010年にリリースされた、チルウェイヴ・クラシック「Pure」を収録した『Summer Heart』で大きな注目を集める中、2014年にはセカンドアルバムとなる『Tangerine Sky』をリリースし、同年11月には初来日公演を行っている。

 カラフルな煌めきの中に見え隠れる切なさ、そんなサウンドを作り出すBlackbird Blackbirdの核心を探るため、今回3月14日にTSUTAYA O-nestにて開催される来日公演を控えた彼に、メールインタビューを行った。

__前回2012年に来日された際は、クラウドファンディングの結果、公演が実現しましたが、今回の公演が実現した経緯を教えてください。

日本を好きなことはもちろん、その中でも特に東京を気に入っているから、これはとても自然な流れだよ。もっと早く戻ってこようとは思っていたんだけど、それでも今回東京での公演を再び実現することができてとても嬉しく思う。前回の公演はとても素晴らしいものだったよ!

__約1年4ヶ月ぶりとなる来日公演で、共演に日本人アーティストCuusheさんとAvec Avecさんにオファーした理由はなんですか?

僕はCuusheAvec Avecも共に大ファンで、だから彼らと今回の公演を共にできるのはとても嬉しいよ。Avec Avecは特に「Day by Day」という曲が好きで、彼は過去に〈Maltine Records〉から曲をリリースしている。僕は〈Maltine Records〉のファンでもあるから、そんな彼と共演できるのは素晴らしいことだと思っているよ。

__今回共演するCuusheさんが、2012年にリリースした『Girl You Know That I Am Here But The Dream』では、「9125days of Sleep Waves」のリミックスに参加するなど以前から交流があったようですが、Blackbird Blackbirdさんにとって、彼女はどのようなアーティストですか?

Cuusheはとにかく素晴らしいアーティストで、リミックスを作った時も彼女のオリジナルサウンドがとても気に入ったよ。

__現在はロサンジェルスを拠点に活動しているようですが『Strawberry Light』では「Waikiki」、『Summer Heart』では「Hawaii」といった曲を制作するなど、やはりハワイには何か強い思いはあるのでしょうか?

もちろん。僕はハワイのホノルルで生まれ育ったから、この曲をライブで演奏する時はいつも懐かしさを覚えるんだ。まるで、マラサダっていうハワイのドーナツを食べていた5歳の自分に戻れるような、そんな新鮮な気持ちになれる曲だよ。

__昨年2月に「Sakura」という曲を発表されましたが、タイトル含む制作の経緯を教えてください。また、2013年にツアーでヨーロッパの国々を回るなど多くの国を訪れていますが日本含むそれぞれのカルチャーからインスパイアを受けることはありますか?

「Sakura」という曲は僕にとってとても“視覚的”な曲なんだ。作曲中に桜の花が咲き誇る様子を思い浮かべていたし、曲のアートワークも花とか空気を感じさせるようなビジュアルになっているよ。音楽家である限り、多様な文化を体験するということはとても貴重な経験だ。旅行中に世界を見て回り、多くの人が経験できないような何かを経験するということは、とても心が暖かくなることだよ。

__タイトルはその楽曲の第一印象であり、タイトルによってイメージの内容は変化するものだと思います。歌詞のない曲にタイトルをつける際にどのようなことに気をつけているのか、またその手法はどのようなものですか?

それは曲やその曲の背景によって変化するけど、曲にタイトルをつける時は雰囲気やイメージ、アートワークのことを考慮するようにしている。それが単純なものであろうが複雑なものであろうが、作品に物語性を持たせることが重要だから。第一印象は知らず知らずのうちに聞き手の潜在意識に刻まれるものであり、それに伴い彼らは彼らの好きなように想像することができるんだ。だけどそれでも、人が初めてその曲を聴いた時に感じる曲やその作品のイメージが伝えるエネルギーの衝動に、聞き手は影響されるものだと思うよ。

__活動開始から6年経った現在でも日常的にインスパイアされるアーティスト、また“もの”はありますか?

Blackbird Blackbirdというアーティストが作る作品のメインテーマは“愛”だ。何があろうとも、最後は愛に終着するんだ。これまで愛というコンセプトに対して悩んだ時期もあったことは認める。恋に落ちやすいという性格はもう変えられないからこそ、自身の人生だけでなく他者の人生に混乱を引き起こす原因となってしまうんだ。僕は、自分自身をあまり現実的でないことや真実味のないことを信じたりする方向に仕向けるせいで、人を傷つけてしまう傾向にある。だからこそ、僕の作品はそんな経験から成る自身の闇に向き合って作ることにしているんだ。

__『Boracay Planet』、『Summer Heart』のアナログ盤が発売されています。オンライン配信が主流となりつつある現在、アナログ盤を発売するのにはどんな思いがあるのでしょうか?

レコードは物理的で目に見える。そして、レコードからはそれぞれのユニークでクラシックな温もりを感じることができるんだ。あとは、自分の音楽がこの世界に存在しているという証明かな。

__カリフォルニア大学在学時代に音楽活動を始めたとお聞きしました。大学では何を専攻していたのか、また当時影響されたものを教えてください。

大学時代は文学とアメリカ史を専攻していて、とても役に立つ知識ではなかった。それでも現在の自分を形成することになる授業はいくつかあって、世界や自身の人生の見方が変わったんだ。その中の一つが、歴史や技術の考古学として現存している言語について学ぶWordingsと呼ばれる授業で、フィリップ・K・ディックからジャン・ボードリヤール、ジル・ドゥルーズやフェリックス・ガタリまで色々勉強したよ。この授業を受けることで歴史や技術への考え方が変わったし、自分がどのようにインターネットや集団社会の適応していくべきなのかというのを理解することができたんだ。

__昨年12月30日のツイート“if this gets 500RT me @giraffage & @markredito will start an emo band”が、結果500RTされ、1月には”emo band”を始めるということがアナウンスされました。実際にはどのように進んでいますか?

国内外問わず多くの人々から反響があったよ。文字通りみんながemo bandについて聞いてきて、もちろん、これは実現するつもりさ! チャーリー(Giraffage)、マーク(Mark Redito FKA Spazzkid)そして僕自身このアイディアをとても気に入っていて、もうすでに曲を作り始めているよ。だからおそらくチャーリーがロスに来る頃、数カ月以内には3人で集まって練習を始めると思う。

__最後に、Blackbird Blackbirdという名前の由来を教えてください。

The Beatlesの曲「Blackbird」からとったものだよ。僕は大のビートルズオタクなんだ。

■公演情報
BLACKBIRD BLACKBIRD Japan Show 2016
日程:2016/3/14(月)
会場:渋谷 TSUTAYA O-nest
開場19:00 / 開演19:30

出演:
Blackbird Blackbird
Cuushe
Avec Avec

前売3,500円(+ 1D) / 当日4,000円(+ 1D)
チケット販売:ぴあ / LAWSON / e+ / O-nest店頭 ※2/5(土)より発売開始!

企画・制作:PLANCHA

インタビュー・文:池田礼
1996年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。電子音楽を中心に幅広い領域で音楽を楽しむ。