INTERVIEWSMarch/11/2016

[Interview]Cuushe – “Night Lines”

__『Butterfly Case』や『Night Lines』のジャケットに使用されている久野遥子さんのイラスト・キャラクターについてお聞きします。あれはなにをイメージされているものなのでしょうか?

あれはもともと「Airy Me」のアニメーションを久野さんが卒業製作として作りたいと言ってきてくれて、そこから映像をいただきました。その少し後に『Butterfly Case』のリリースが決まって、「Airy Me」の映像を見てとても感動したので、アルバムのアートワークを久野さんに依頼しました。当時彼女が就職して時間が取れなかったので、もともと彼女が色んなイラストを載せていたブログから1番好きなのを選んで、編集したり、書き下ろしをしてもらったり、という流れでした。彼女の作るキャラクターはかわいいけどすごく変わっていて、私はパッと見てかわいいけどなんか変だぞ、ていうのが好きなんです。もともとCuusheの名前もいしいしんじさんという小説家の『麦ふみクーツェ』からつけていて、本当はクーツェって読むんですけど、私がクーシェって読み間違えていたんです(笑)。そのストーリーのなかで、クーツェには「へんてこ」とか「変わり者」っていう意味があって、そういうのにぐっときちゃうんです。それで久野さんのキャラクターもそういう、かわいいのに生気がない、みたいなへんてこな感じが好きだと思って依頼させていただきました。

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__『Night Lines』ではリミキサーにNite Jewelさん、Populousさん、Dntelさんなどのプロデューサーが起用されていますがどのような理由でそれぞれに依頼したのでしょうか?

Populousは以前、彼の新しいアルバム『Night Safari』に歌で参加させてもらっていて、彼の楽曲がとても好きになったので絶対頼みたいなと思っていました。Nite JewelはもともとJulia Holterと凄く仲が良くて、二人の楽曲が好きで、ファーストEPでJulia Holterに頼んでいたので、次はNite Jewelさんに頼んでみたいなと思っていました。Dntelはもともとオーナーに教えてもらった方で曲を聞いたらとてもかっこよかったので即メッセージを送ったんですけど、「OK」の返事をもらう前にもう作品が出来上がってきて(笑)。そんな感じで実現しました。

__『Night Lines』は〈Cascine〉と〈flau〉からのリリースとなっていましたが、今回〈Cascine〉からのリリースにはどのような経緯があったのでしょうか?

ファーストEP『Girl you know that I am here but the dream』リリース後から〈Cascine〉からCuusheのアルバムをリリースしたいというオファーをいただいていて。ロンドンでライブをしたときにも〈Cascine〉のスタッフの方が見に来てくれたり、YoursTrulyというサイト経由でラブレターなんかももらったりして(笑)。その後東京に戻った際にオーナーのJeffがたまたま東京に来ていたので、彼と直接話すことで共同リリースの話が進んでいきました。

__その後〈Cascine〉の5周年のイベントにも出演されていますがブルックリンの観客の反応はいかがでしたか?

ブルックリンでは毎日どこかしらでパーティがあって、アメリカの人たちはパーティ好きなひとが多いなという印象を受けました。好きというかパーティがもう日常なのかなと。というのも1度サンフランシスコでプライベートパーティに呼んでいただいたことがあるんですが、自宅にプロのPAさんを呼んだりライブハウスに置いてあるような機材を借りたりと、パーティへの本気度がすごいんです。楽しいことに本気で、楽しむことが上手なんですよね。私もそうなんですけど、日本だとわりとみなんさんじっくり真面目に聞いてくれているんですけど、アメリカでやった時はみなさんすごくフランクに踊ってくれたりして、そういうみんなが自然体で楽しんでいる感じがとてもいいなぁ、好きだなぁと思いました。

__『Night Lines』のリリース時に『The FADER』にて日本の曲をカラオケスタイルでミックスされていましたが、収録曲はどのような基準で選曲されましたか?

このミックスは友達と日本の曲縛りのカラオケに行った後に作ったもので、その流れでFADERは海外のウェブジンなので、日本の曲縛りだとおもしろいし、日本の音楽の紹介になっていいなあと思って作りました。曲はみんな昔から好きな曲です。色々と自分が持っているCDから選んだり、あと友達に教えてもらった曲も少し使ったりしました。FADERミックスの中ではカラオケの要素もとりいれて、自分も結構歌っています。

__最近の日本の歌モノやポップスなどで特に気に入っている曲がありましたら教えてください。

最近だとsatomimagaeさんという方です。女の人なんですけど中性的な声で、最近FOUNDLANDというイベントでライブを見て、すごくいいなと思って。アルバムもライブ直後に即買っちゃいました。

__Iglooghostさんとのコラボレーションについてお伺いします。CuusheさんはIglooghostさんが昨年秋にリリースされた「Gold Coat」に参加していますが、どのような経緯があって今回のコラボが実現したのでしょうか?

レーベルメイトのKidkanevilくんというイギリスのアーティストがいるんですけど、彼からIglooghostっていうすごくcoolな奴がいて、Cuusheに歌ってほしいって言ってるんだけど、って連絡がきて、曲を聞いたらぶっとんでてかっこいいなあと思ったのが始まりでした。まず曲が送られてきて、「こういうイメージで、日本語で歌って欲しいんだ」というリクエストが来て。J-POPをイメージして歌ったんですけど、曲自体がとても新鮮なスタイルで良いマッチの仕方をしているなと感じました。

__Iglooghostさんとの作品制作の中で自身の楽曲と比較して変えたところなど、特に意識したことはありますか?

誰かとコラボする際に何かを変えるとかっていうのは意識していないです。ただCuusheだと自分の中でアリとかナシとかを判断してやってしまうところがあるけれど、コラボレーションだともっと自由にやれることは多いですね。今回も最近の自分の曲では日本語を使っていなかったんですけど、日本語のリクエストがあったので新しい気持ちで歌うことができました。そういうのがあるからCuusheとはちょっと違う表情が出ているのかなという気がします。

__自分自身でも新しい表情を発見できた一面もあったと。

そうですね。「これCuusheではあまりない感じだよね」っていう話を音楽仲間としていました。

__では、今後についてお聞きしたいと思います。海外での反響や海外のレーベルからのリリースことなど、それらを踏まえて今後海外での公演や活動に関してはどのように考えていますか?

具体的に特にプランはないですが、音楽を通していろんな場所でライブができたら幸せだなと思います。特にここに住んでみたいな、とか、ここで作りたいな、というのはあまり考えていないんですけど、元々いろんな場所に行くことが好きなので、今まで行ったことがある国もない国も、音楽で行くことができたら本当に幸せなことだなと思います。

__最後に、今後のリリース情報や活動予定などがありましたら教えてください。

今は新しいアルバムの制作を始めていて、まだ全体像は見えていていないんですけど、今年の終わりくらいにリリースできたらいいなと思っています。

__ありがとうございました。

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Photo(of flau night) by Ryo Mitamura

インタビュー・文:池田礼
1996年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部在籍。電子音楽を中心に幅広い領域で音楽を楽しむ。