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INTERVIEWSSeptember/15/2015
[Interview]tofubeats – “POSITIVE”
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 『POSITIVE』というアルバム・タイトルが発表された時、僕はtofubeatsというアーティストがまた一つ新たなステージに辿り着いたことを確信した。勿論、前向きな気持ちになった、ということ以上の意味で。

 ネットレーベル時代(dj newtown時代)の彼を知っている人々からすれば、小室哲哉、Dream Ami、玉城ティナ、KREVA、岸田繁(くるり)、中納良恵(EGO-WRAPPIN’)、Skylar Spence、そしてokadadaといった客演の多彩さ、豪華さ、そして、J-POP的純度が高まった今アルバムの精度の高さに驚くことだろう。全体としてポップで前向きな雰囲気が漂い、ストレートに僕らの胸に響いてくる。とはいえ、彼が別の方向に向かって歩み始めたのでは決してないということが、今までにも増してパワフルになったトラック、そして最後に待ち構える壮大なインスト曲「I Believe In You」の存在からも窺える。

 UNCANNYでは、今回も綿密なインタビューを行った。アルバムに込められた『POSITIVE』の意味から、楽曲制作秘話、様々な現場を経験したtofubeatsの思想まで、是非とも味わっていただければと思う。

__今回のアルバムは『POSITIVE』ということで、そもそもどういうきっかけでこのタイトルに辿り着いたのですか。

結構最初の方に玉城さんの曲がタイアップの曲だったんですけど、ちょっとその、お題通りの曲ができなくて、完全に袋小路の状態に入ってしまっていて。その時、A&Rの方に「トーフくんネガティブ過ぎるよ、ポジティブに頑張ったほうがいいよ」って言われて。「そうは言っても無理なもんは無理ですよ」って言ってたんですけど、その後タミオさんとの2ndアルバムのジャケット用のデザイン会議を入れてくれていて。そのタイミングで、さっきそういうこと言われてたんですよって話したら、「POSITIVEって意外に字面良いね」ってなって仮題がPOSITIVEになって、これに至ると。

__指摘された事をタイトルにしたんですね。

まあ元々会社にも言われてたんですよ。もっとポジティブになった方が良いよって再三言われ続けていて。でも、タイトルになったことで、「(ゲストボーカルに)Amiさんにお願いしてみよう」となったし、それはそれでよかったかなって。意外と今までテーマが決まってたことは無かったので。

__今回はある種、初めてのコンセプト・アルバムというか。

『STAKEHOLDER』でああいう面を出し切ったから、ああいった曲を入れなくていいやってなったんですよ。スッキリまとめることを意識することになったんでそれはよかったですね。

__今までは、『First Album』とかもそうだったと思うんですけど、tofubeatsさんの様々な側面をCDの容量を潤沢に使って出しているというイメージがあったんですけれど、今回はとてもスッキリした仕上がりですよね。

そうですね、むちゃくちゃカラッととしててびっくりしてる。『STAKEHOLDER』と合わせてこれまでのアルバム一枚分くらいの気分みたいな感じですかね。

__『STAKEHOLDER』と『POSITIVE』、それぞれ別の側面を描き上げている感じがしていてとても頷けます。今作は制作期間はどれくらいでしたか。

タイトルを決めた話が『STAKEHOLDER』を作って一ヶ月後くらいの話なんで、取り組んでいたのは3ヶ月ぐらいですかね。ただ、去年は森高さんのリアレンジのアルバムを手掛けたりとかでバタバタしていたけど、今回はそういうのが無かったんで、精神的にはバタバタはしてたんですけど、去年に比べたら全然とか思いながらできたんで、それはすごいよかったですね。

__じゃあ、集中して作った感じですか。

そうですね、今年はリミックス仕事がめちゃくちゃ多かったので、それは結構ありましたけど。

__歌モノの比重が多くなっていますが、これも最初から方針として決めていたことなのですか。

インスト入れたかったんですけど、気づいたらこうなってて。(『POSITIVE』では)ちょっと作ってみたインストの曲とかを入れなかったんですよね。「なんか違うな」、ってなって…。それが今回の変化かなって思いますね。今回はピュアなインストはskit除いたら一曲しか入ってないんですよね。

__でも、一番最後に「I Believe In You」が来てるのもアツいというか。

まあ、でもこれは半分歌モノっていう気分で作ってるんで、これはこれでって感じですけどね。マルチネ10周年(『MaltineBook』)用って決まって書き下ろした曲なんで、だいぶ気持ちはそっち寄りですけどね。

__なるほど。tofubeatsさんの最近の一番大きい出来事といえば、Apple MusicのWebへの登場、あと看板ですね。とても驚きました。注目されているのかなとも思います。

されてたらいいなって思いますね、その評価が返って来ればなと思います。

__さっき玉城ティナさんの話もあったと思うんですけど、「すてきなメゾン feat.玉城ティナ」(M-9)がアルバムの中では一番最初に出来てたんですか?

そうですね、あと中納良恵さんの曲(M-12「別の人間 feat. 中納良恵」)ですかね。中納さんの曲はSTAKEHOLDERの時に作ってたんですけど、完成させずに置いてあったんですよね。

__「別の人間」は、今までのtofubeatsさんの歌詞の中でもかなりあけすけとしている印象があって、なんというか、刺さりました。

でも、結構歌詞は変えたんですよね。”解り合えないし、一生解る事もない”っていう歌だったんですけど『POSITIVE』だから一応そこは変えとこう、みたいな。

__tofubeatsさんとしては、この歌詞の内容についてはどういう考えですか。

でも、わからないっていうのを寄せようとするのが良いよね、みたいな。この曲、プラグインのピアノなんですよ。宇多田ヒカルさんがIvory(ソフトウェア型のピアノ音源)を使ってるというのを当時のディレクターさんから聞いて、Ivoryを買って。今作はピアノが多かったんですけど、それはIvoryを買って嬉しかったからなんですよ(笑)。グランドピアノとアップライト両方買って、ほんとに良かったからピアノ曲作ろうっていって。でもピアノが弾けなさすぎるから、半月くらい打ち込むのにかかっちゃったんですけど。仮のピアノと本当の声が合うのがイイな、とかそういったテーマがあって。「ウソの弾き語りと、本当の弾き語りする人のうまい歌」っていうのが面白いな、みたいな。

__この楽曲もなんですけれど、アルバム全体を通して、とてもJ-POP感が強化されてきているように思いました。

学習が反映されてきたっていうのもあります。『POSITIVE』でいうと、すごいJ-POPっぽいトラックダウンを習得したっていうのはあるかもしれないですね」

__音も全体的にカラッとしてて。「POSITIVE」(M-2)のギターのカッティングもすごく綺麗ですよね。

でも実はものすごいヘビメタみたいなヘッドアンプを通してる、みたいな。

__音の面とかでのポジティブ感もありますよね。陰の部分が薄くなったというか。

意図的に削っていきましたね、歌詞とかでも。

__特に、実直なポップスさを感じた曲は「POSITIVE」と「すてきなメゾンfeat.玉城ティナ」です。

あとは、「Too Many Girls feat. KREVA」(M-4)とかも実直っちゃ実直な感じがしますね。あとは「T.D.M. feat. okadada」(M-3)とかも結構そう思うんですよね、あんまりウソがないというか、ウソっぽいというか。

__「Too Many Girls feat. KREVA」は、前半のラップはリリックも含めて提供していただいたのですか。

そうですね、前半のラップの部分は全部書いてもらっていて。最初にトラック作って、“Too Many Girls”ってとこだけ自分が歌ったのを入れたんですよ。そしたらちょっとした歌詞のところはKREVAさんが書いてくれました。

__前半のKREVAさんのカラッとしたラップからの、tofubeatsさんのいつもの感じが凄く対照的でした。

これは「Les Aventuriers feat.PUNPEE」(『lost decade』収録)でやった時みたいっていうか、イケメンとやって対比させるというか。でも俺は負けてないぞっていう所もあるんですよ、イーモバ3台持ってねえだろみたいな所とか(笑)。戦っているというか、ちゃんと自分の土俵を代表するっていうのがラップの基本なんでその辺は頑張りました。

__なるほど、この辺りに関してはルールを守っているんですね(笑)。

ラップはその時ウソをつかないのって結構大事じゃないですか(笑)。KREVAさんも嫁がいるから、ハベらす歌詞を書いてないっていうのはコレすごいなって思って。モテてはいるけど俺はハベらかしてないよっていう歌詞なんですよねこれ。ウソつかないのがいいなって(笑)。

__一緒にスタジオに入って作ったんですか?

いや、これは家でお互いやりとりしてて、しかもやりとりが凄く速くて。ここ「Yeah」って録ってくださいってお願いすると2時間後くらいにはもう返ってくるみたいな(笑)。お互い自宅スタジオだったんで、2日間くらいでパパパっとメールのやりとりしたら出来上がっちゃって。出来上がってから、ご挨拶しましたね。タイミングが合わなくて。今回こんなメジャーでこんなコラボできたのが嬉しかったですね、会わずにネットでデータだけで。

__それに併せてお聞きしたいんですけど、一番印象的だったコラボってどのコラボですか?

今回のコラボで一番印象的だったのは……、まあ今回に関してはどれも印象的だったんですけど、結構多重的に思い出に残ってるのは玉城さんとコラボした曲ですかね。玉城さんの曲も作る時は難産で、実際出来上がってみたら音数が一番少ないのがこの曲なんですよ。コーラスに大比良瑞希さんという新人の方を起用してて、この人がめちゃくちゃ良くて大比良さんにお願いしたいと思ってて、それが両方叶えられたし、玉城さんの歌も想像以上の仕上がりで。

__声が大人っぽいですよね。

大人っぽいっていうのか何て言うのかな、なんかキリッとした声なんですよね。

__この曲も、歌詞がすんなりと入ってくるような印象があります。

そうですね、これもお題がタイアップだったので(「モチイエ女子project」)、それもある程度時間がかかった分どうにか出来て良かったなって感じです。

__個人的には、やはり小室哲哉さんとの楽曲(M-6「Throw your laptop on the fire feat. 小室哲哉」)が一番……(笑)。

一番面白いですね!

__前半が小室さんメイン、後半がtofubeatsさんメインという感じで制作されたのですか?

カットアップのパートが僕ってことなんですけど、書いてないですけど、途中で叫んでるのokadadaさんなんですよ(笑)。一番最初のメガフォンっぽい歌は僕が歌ってて。去年の年末に小室さんとロック・イン・ジャパンで対談したんですよ。それは全然コラボするとかなくて、その日出てた男性プロデューサーが自分だけやったから、たまたまタイミングがあって対談の仕事を入れさせてもらったと思うんですけど、その時、小室さんのことみんなビビってて(笑)。でもいざ喋ってみると「2、3曲聞いてきたよ〜」みたいな。しかも、それだけで「J-POPとクラブミュージックをちゃんと合わせようとしてるね」みたいに、僕のやりたいことスパーンと言い当てられて(笑)。なんていうんですかね、なんか小室さん自身も手グセがある人じゃないですか。それを世間と合わせてきた人だから、やっぱり凄い含蓄があって。この人ほんとに凄いなって思って。それで今回コラボさせていただいた感じですね。今回(やりとりは)一往復で、自分が最初に作ろうと思っていたのに、「これトーフくんに合うと思うんだよね」って先にデータをいただいちゃって。そのパラデータを使って、カットアップパート用にトラックダウンも自分でして、その2つを使って曲を作った感じです。だいぶ最初のデモとは違うんですけど、小室さんは結構、「アレくらいやってくれた方がいいよ!」みたいに喜んでくださって。嬉しかったです。

__実際、とっても良かったです(笑)。

今まで聞いたことない感じで良かった(笑)。なんかコラボっぽい曲にしたい!っていう気持ちもあって。どっちがどっちだかわかるっていうのもイイなと思ってたんで。そういう意味ではこれは成功例かなと思います。Ryan Hemsworthともそれが出来たなと思うんですよね。どっちがやったかってのが分かってて、かつそれが一曲になっているというのはビートもののコラボとしては良かったと思います。

__ちなみに、「Without U feat. Skylar Spence」はどういう振り分けだったんですか?

これに関してはオケは俺が全部作ってて、ペプシ(Skylar Spence)がギターと歌だけのせてるんですよ。これは元々オケがあって、歌をずっとのせたいなと思ってたけど、英語じゃなきゃ無理だなと思ってて。それをペプシに送って。合わせて4曲くらい書き下ろしたのも含めて送ったんですけど、これがイイって言ってギターとか歌をのせてくれたんで。

__今回のアルバムのイントロである「DANCE&DANCE」(M-1)の導入の音声は、いつ収録したものですか?

『天』で、dust.cが地下(SALOON)でLIVEやった時のやつですね。実は、最初から『』の時の音声を使うことにしてたんです。そしたら、(会場の)Wi-Fiが干渉してるからちゃんとマイク音拾えてなくて。でもまあ、これは自分用というか思い出用に録ったやつですね。これ聞いたら、ああ『天』とかでやってたなとか思えるように。こういうことやると3年後とかにイイ感じになるんですよね。やってたなあみたいになるんですよね。

__この歌詞も曲合わせで作ったものですか?

歌詞に関しては、「音力-ONCHIKA-」っていう関西の音楽テレビがあって、それのテーマっていう、タイアップが最初にありきで。だから音楽の力っていう曲になったんですけど。でも、Aメロ、Bメロはこの歌詞が一番好きですね。一番俺の思ってるベストに近いというか。どっちかあんまりわかんないっていうのが。どっちにもとれるっていうのが今回一番この曲の歌詞が好きですね。

__最初のサビで音楽の力って言っておきながら、心の内は見ないでよって言い切っちゃうのがいいですね(笑)。

どっちやねん!みたいな(笑)。最初サビだけあったんですよ。20秒とかだったんで、そのオープニングが。この曲はもうアルバムが結構できてる時に、この曲だけ2分くらいにしなきゃいけないの面倒くさいなあとか思いながら、さらっと作ったら意外によくて。言い方悪いけど(笑)。Aメロ、Bメロどうしよっかなあみたいな感じでやってたら意外とよくなったみたいな(笑)。ほんと最後の2日くらいでバーッと作った曲なんで。『天』の前日とかに出来たのかな、曲自体は。それで『天』の音だけ足して。

__「POSITIVE」の歌詞は、そのままポジティブさを表しているイメージがありますね。

でもこの歌詞も途中色々あって書き直しになりまして。まあでも逆にこれでポジティブというか、変更になってもOKみたいな(笑)。そういうのもアリで面白いなって。ただ、今回の「POSITIVE」で一番面白いのが、この曲がDream Amiさんとやってるのもそうだし、今回のアルバムでDream Amiさんの参加は、なんか自分でも面白いみたいな。デザインもそうだし、PVとかもそうだし、いつものtofubeatsチームが全員ちょっといつもと違う、外様に向けてやってるのが面白いっていうのがあって。「スケブリさん大人になったなあ」みたいな(笑)。十分フェチはフェチなんですけど。

__MVのテーマとかは決めてたりしてたんですか?

Amiさんが登場できないって話が最初からあって、それで今回ビデオやるにあたって第三者の女優さんの顔とか出ちゃうとAmiさんじゃない感が高いと。どう解決しようかってなったらああいうビデオになったと。TigaのPVみたいにリズムだけでグイグイいけるようなイメージにしたくて。かつ、もうちょっとJ-POPっぽくいけないか、ってことで「足」みたいな(笑)。

__なんで足にいったんですか(笑)。

僕もわからないです。

__足でリズム刻むっていうイメージはあるかもしれないですね。

タン!タン!と刻む曲だから尚更あれだけどね。

__好きなシーンが2つあって、ひとつはボールが階段から落ちてくるのと、もうひとつは一瞬だけ映る、画鋲が撒き散らされた中でステップを踏むシーン。

あれはね、スケブリさんのいいところと悪いところが出てるね(笑)。ああいうのやらないと気が済まない人ですからね。

__他に今回併せでMVを制作する予定はありますか?

まだわかんないですけど、まあ何本か作れればいいなって感じですね。僕は少なくとも「I Believe In You」のPVは作りたいです。夜景の見えるビルの屋上で俺がただ笛を吹いてるだけの8分やりたいなって。

__いいですね(笑)。あと今回はDVDが初回限定で出るということで。特に「朝が来るまで終わることのないダンスを」は新録ということなんですが、これはもう完成したんですか?

完成しましたね。去年、森高千里さんと一緒にサマソニ公演のイベントやったときにVJチームに入っていただいたんですよね。その時に「朝が来るまで終わることのないダンスを」のビデオを作ってくれていて。それがすごいよかったんですよね。なので、それをフル尺にしましょうということになって。だから、僕らからしたら去年から使ってたビデオではあるんですけど、それをちゃんと製品にしようってことになって、こうなりました。

__じゃあテイスト的には映像作品みたいな感じですか?

そうですね、街の映像がずっと流れるんですけど、Todd Terje「Inspector Norse」のPVにあるような、遠ざかってるんだけど近づいて見える面白い加工みたいな、カメラ自体は遠ざかっていくんだけどトリミングで拡大していくと同じ画角だけど遠近感だけがおかしくなるっていう加工があって。そういう感じで4K画質で色々な東京の街を撮って、トリミングして行って、なんか気持ち悪い街が流れていくみたいな。しかも夜中に無人の東京ばっかを撮ってて、結構気持ち悪いんだけど面白いみたいな。

__くるりの岸田繁さんの楽曲(M-10「くりかえしのMUSIC feat. 岸田繁」についてですが、これは世界観的にくるりリスペクトみたいなところがありますよね。

そうですね。くるりさんとは、「ロックンロールハネムーン」っていう曲があって、それのリミックスをオファー頂いたのが最初で。僕が特段ラブコールを送ってたわけじゃなくて、ある日突然来て。それでハウスっぽいリミックスを作ったら喜んで頂いたんで、その先にあるものを作りたいなっていうのもあって。それに加えて、くるりっぽさもあるっていうのをやれたらいいなって思いました。

__2番の最初に、ドラムマシーンのハネた音が入ってくるのが面白かったです。

繰り返してない。みたいなね(笑)。展開変わるみたいな。でもなんかそういうのは意識してるというか、「Don’t Stop Music」とかは似てるかも。頭拍の曲ってあまりないから。それを作るとちょっと珍しい感じになるというか。でもこの曲めちゃくちゃ好きで、岸田さんが4回くらい歌うごとに「ええ曲やなー!!」ってブースで言ってくれてすごい嬉しかったです。あとは(歌詞が)関西人っぽい譜割りらしくて。あの、「ドラムマシーン」って部分の譜割りが関西人らしいんですって。くるりも「薔薇の花」を出した時に”雨”って歌い出しの”あ”を言わずに、「メェ〜」っていう歌い出しをしたんですけど、矢野顕子さんに、こういうメロが書けるのは関西の人だよって言われたらしくて。その話を聞いて、岸田さんがこの曲を聞いた時、めっちゃ関西人って言われて。それがでもええなって思って。土着の感覚が出たんですね。

__合うフィーリングがあったんでしょうね。

岸田さんはあまり付き合いはないんですけど、折に触れて褒めてくださっていて。ありがたいことに。なので今回オファーをしたのもあるんですよね。

__この曲は、イメージ的に寂寥感があるというか。

確かにそうかもしれないっすね。あとは海の家っぽい、センチメンタルな感じ? 薄っぺらいけど(笑)。波の音入ってますからね。エンジニアの人に「波の音入れちゃえばいいでしょ」って言われて、家帰った後に入れたら面白くって(笑)。

__直接的すぎていいですね。でも、そういう物寂しさがくるりのイメージと合致しているんじゃないかと思いました。

まあでもそういうところがくるりさんのいいところだなって感じるんで、それが一緒にできたらなって。

__これだけ歌ものに注力しておいて、一番最後に「I Believe In You」(M-13)が来るのが凄くいい、っていう(笑)。

大満足(笑)。これが一番好き(笑)。マルチネ10周年記念で書き下ろしたのもあって。10周年に合わせて何をやればいいんやろってなって、スケブリさんと、(好きな人とは)死ぬまで会えないかもねって話になって。藤井美菜さんの劇を観に行こうってなって、横浜まで行って(笑)。その後に仕上げました。なんか、仕事でも好きな人に会うのは難しいですねってのと、ファンとしてい続けるのもこういう仕事してたら難しいと。良くも悪くも仕事として会うという力学が働いてしまう。それはそれで嬉しいけど、普通にお客さんとしてみれるうちに観ておこうってなって、それを照準に作ったんですよ。

__これは主題のフレーズがとても良いですよね。

Cherryboy Functionみたいな。ああいう曲を作っておきたいし、アルバムに入れておきたいみたいな。だから、今作ではあんまりやってないけど、Dream Amiさんが好きな人が、何かのきっかけでこういうのが好きになって欲しいなっていうのはありますね。EDM好きな人が、あんまわかんないけれどこういうのを聞いて、こういう肌触りのものも好きだなって思って欲しいみたいな。Cherryboy Functionを幕張メッセで聞くまで死ねないわけじゃないですか(笑)。「The Endless Lovers」聞くまでは死ねないってのはあるから。そういう自分の好きなものをみんなに聞いて欲しいみたいなってのが今回一番こもってますね。あとはライブで笛吹けたらいいなって思って作りましたね。

__この楽曲は、tofubeatsさんの中でもかなり長尺な感じがしますね。

まあ実はこういうのがやりたいというか、ライブをやってる場所とか来てるお客さんの関係上やっぱりあんまりこういうことやらさせてもらえないというか、自分の中でもお客さんに悪いなって気持ちがあって、『天』の日だけフルでやったんですよ。ロック・イン・ジャパンの時もやったけど4分で切って。でも、8分聞かないと気持ちよくなれないんですよね。でも、8分くらい聞かないと気持ちよくなれないってのを忘れてたなあってのを今年思って、ハウスのレコードばっかり買うようになって。昨年末に寺田創一さんを観に行ったのが決定打で、昔から大ファンだったけどハウスのやばさみたいなのを改めて感じて。僕がDJを始めたのはハウスが最初で、もともとビートダウンみたいなBPM105〜110とかのハウスから、120くらいのシカゴハウスいっておしまいっていうのをやっていて。それでも90分ずっとぶち上がってたなって思ってて。でも今はBPM130から始まって140とかで決着するところ多くて、それで自分も慣れちゃってたけど、今年になって忙しさもひと段落してレコード買って家で聞いてると、ディスコの長尺のエディットとかいいなってなって。そのなかでこうハウスっていうかこういうのやりたいってなって。

__これは8分聞いてもまだいけるなって思いました。12分とかいけますよね。

なんなら岸田さんのやつとかも10分ぐらいのやつ作ろうとか思ってて。最初から7分くらいで作ろうとか思ってたけど、一応曲としては5分で出しとこうってなって。後々ロングエディット作るつもりで作ったんですよね。J-POPでいちばん好きなリミックスが、小泉今日子さんの「Process」のDub Master Xリミックスというのがあって、これはレコードしか無いんですけど。ほんま凄くて、11、2分くらいのやつなんだけど、8分歌が入らなくて、「貴方に会うためのプロセスね〜」っていう歌詞から入るんですよ。そっからドラムが抜けてブレイクに入るっていう、もう「ハーッ?!」みたいな(笑)。8分プロセスやったんかぁ!!、みたいな(笑)。わかってても何回もそうなるみたいな。まあその8分がしっかり良いから興奮できるんだろうし、音楽って時間も使うもんだからっていうのも改めて考える機会のきっかけになって。Future Bassみたいな音楽もよりエクステンドな楽しみ方はあるんだろうけど、どうしてもJersey Clubとかから来てるもんだから、クイックのミックスが基本だし、適材適所って感じで良いとは思うんですけど。

__DJとかを長い時間みて、良さを感じるみたいなところですよね。

あとはなんかマシーンセットみたいな感じ、テクノとかのマシーンでやるライブとか見てたらさ、突然アッってのがあるみたいな感じで。

__僕、意外とEDMとかもそういうのを感じるんですよね。DJを長い時間観て、だんだん気持ちよくなってくるみたいな。

EDMは上手い人もいるけど、なんにせよ平坦なイメージが強くなっちゃってるからね。ロックっぽいねんな。でも、Dream Amiさんからピュアテクノまでいけたのは(アルバムとして)良かったなと。

__やっぱりアルバムとして、聴きやすさ含めてとても良いですよね。

今回それは出来上がって思いました。「短っ!!」みたいな。57分とかなんですけど、「これで!?」みたいな、今まではもっと長かったよねって。まあこれくらいがちょうどいいな、ってのもありましたね。

__あとはスキット2曲の入り方とかもなんかも良かったですね。曲順も結構悩んだりしましたか?

「I Know You」のあとに「Without You」くるとオシャレだよ、とかはあったけど、基本的にはサラッと。あとは並べ替えようがなくて。「I Believe In You」のイントロだけはつながりが悪いんで作り変えたりしたんですけど。

__フェードインで入ってくる感じがまた最高でした。

リバーブ100%からもどしてくるっていう手法を覚えたというか。あの手法あんまり使った事なかったんですけど。

__あれ聞いちゃうと(曲尺)20分くらいいけるなってなっちゃうんですよね。

あれはイントロがイイよね。あのまんま始まんないでもいいもんね。ライブとかではやりたいですけど。

__というわけで今回インタビューさせていただいたんですが、『POSITIVE』にはセルフライナーノーツが同梱されているという。

そうなんです。しかも今回1万字!

__セルフライナーノーツをアルバムに入れるっていうのは、言っちゃえば裏の文脈を尊重するみたいなところがあるじゃないですか。どういう風に聞いてもらいたい、等ありますか?

僕からしたら、特段意図があるわけじゃないんですけど、聞く時に資料があったほうがいいなってのがもちろんあって。冊子にして入れようってのはみなさんがアイデア出してくださって。僕は抵抗も無いし、基本的には聞きながら何かがあるといいじゃないですか。今回はちょっとしたことなんですけど、クレジットをそれぞれの曲と同じページに載せて欲しいってのをお願いして。そうすれば曲を聴いてる時に関わっている人が見れるんで。それがわかると面白いなと思ったんですよね。

__tofubeatsさん自身、凄く考えを持っているタイプですし、一辺倒にポジティブに生きていくのは大変だろうと思いますが、どうなりたいと考えていますか。

多少はポジティブに(笑)。ポジティブにならなきゃいけない時になれるようにしたいなとは思いますね。「期待したいし」ってことですよ(笑)。「期待が」したいみたいな。まだまだポジティブ初心者なんで……。

__前向きって、別に何も考えていないということじゃないから、考えながらやっていくのが一番いいのかなって思いますね。

考えた結果、ポジティブの方がいいらしいぞ、みたいな感じですね。

__『POSITIVE』リリース以降の予定は?

相変わらず何も決まってないんで(笑)。でもプロデュースとかはちょいちょい出るのでそれを楽しみにしていただければなって感じです。ライブも、ある程度やる予定はあるので是非楽しみにしていただければなと思います。

__客演の方も結構いるから、何か期待しちゃっていいのかなって感じですけど(笑)。

できたらいいですね。調整は頑張っていただいてます。

__また今後、ソロでの制作を突き詰めた作品が出たりもしますかね?

一応これがソロワークなんで(笑)。こういう感じでできたらなと思いますね。ただティナさんとかAmiさんとか意識して若い人を起用したのはありますね。メインの年齢を下げるというのはあったんで。だから今度は僕が誰かを引き上げられるようになればなと思いますね。頑張ります。

(2015年8月18日、ワーナーミュージック・ジャパンにて)

インタビュー・文:和田瑞生
1992年生まれ。UNCANNY編集部員。ネットレーベル中心のカルチャーの中で育ち、自身でも楽曲制作/DJ活動を行っている。青山学院大学総合文化政策学部在籍。

構成・アシスタント:竹村洸介
1995年生まれ。UNCANNY編集部員。青山学院大学総合文化政策学部在籍、音楽藝術研究部に所属。

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■リリース情報
Artist: tofubeats
Title: POSITIVE
Release date: 2015年9月16日(水)
Price: 3,600(本体)+税(初回限定盤)、3,000(本体)+税(通常盤)

Disc1
CD ※初回盤・通常盤共通

1. DANCE&DANCE
2. POSITIVE feat. Dream Ami
3. T.D.M. feat. okadada
4. Too Many Girls feat. KREVA
5. STAKEHOLDER
6. Throw your laptop on the fire feat. 小室哲哉
7. I know you
8. Without U feat. Skylar Spence
9. すてきなメゾン feat. 玉城ティナ
10. くりかえしのMUSIC feat. 岸田繁(くるり)
11. 閑話休題
12. 別の人間 feat. 中納良恵(EGO-WRAPPIN’)
13. I Believe In You

Disc2
DVD ※初回限定盤のみ付属。過去全てのミュージック・ビデオを収録

1. 水星 feat. オノマトペ大臣
2. No.1 feat. G.RINA
3. Don’t stop the music feat. 森高千里
4. おしえて検索 feat. の子(神聖かまってちゃん)
5. ディスコの神様 feat. 藤井隆
6. Her Favorite & 衣替え
7. Come On Honey!feat. 新井ひとみ(東京女子流)
8. poolside feat. PES(RIP SLYME)
9. 20140803
10. 衣替え feat. BONNIE PINK
11. STAKEHOLDER
12. 朝が来るまで終わることのないダンスを

More Info: tofubeats