EVENT REPORTSApril/25/2014

【Live Report】CHVRCHES – Hostess Club Weekender 2014.FEB

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 CHVRCHESは2011年に結成されたローレン・ベイリー、イアン・クック、マーティン・ドハーティの3名から成るグラスゴー出身のバンド。レーベル契約前からネットにあげられた音源が話題となっていた彼らであったが、昨年の7月には日本限定盤『EP』をリリースして日本デビューを果たした。8月には「SUMMER SONIC 2013」にて初来日公演も行い、そのキャッチーなビートやガーリーで力強い歌声により着実に日本でも知名度を上げてきた。そして9月には、その完璧なタイミングで彼らのデビューアルバムである『The Bones Of What You Believe』がリリース。今作はインディながら全英チャートでトップ10入りを果たすなどの快挙を成し遂げた。このように世界中での人気をますます強大なものにしてきた彼らは、早くも今回(2014年2月)の「Hostess Club Weekender」にてファン待望の再来日を果たしたのだ。

 ライブは一気に突き抜けるようなセットだった。透明感のあるシンセのサウンドとメランコリックなヴォーカルが調和する「We Sink」から始まり、激しいビートと力強いヴォーカルの「Lies」やポップなメロディラインとキャッチーなシンセの音が特徴的な「Gun」で一気に会場を盛り上げると、今度は、それとは真逆のシリアスな「Strong Hand」やミステリアスな「Science」で聴かせるステージを行い、そして最後は彼らの原点といえる代表曲「The Mother We Share」でその幕を閉じた。

 そんな彼らのライブをみて驚いたことはバンドとしての完成度も然ることながら、ローレン個人のパワフルさが以前にも増していたことだ。端的に言って、今回のライブでは全体を通して彼女のヴォーカリストの面よりもアーティストとしての面が際立っているように感じた。彼女の今までのライブ映像をみると、ヴォーカルに神経を集中させてライブを行っているように感じたが、今回のライブでは、音楽に身を任せて激しく首を振る動作やステージ上を動き回るなど、以前よりも楽曲を楽曲として自分の中に取り込み、体全体で音楽を表現している場面が多く見られた。そこから、シンガーとしての表現力の広がりがみえ、彼女は新たな新境地へと進化を遂げようとしていることがわかった。

 また、ローレンを後ろで支える二人のパワフルさも彼女に負けていなかった。イアン・クックとマーティン・ドハーティもそれぞれ身体全体で音楽を感じ、安定したリズムを刻みながらも激しいダンスミュージックを披露してくれた。彼ら全員が思い思いにダンス=躍動することにより、よりアグレッシブルな演奏になり、表現力の幅に広がりができていたように感じた。

 さらに最後の曲「The Mother We Share」では、観客が手拍子をするなど、完全に会場は一体化していた。ローレンは叫ぶように歌い、イアンは踊りながらキーボードを叩き、マーティンは体全体でリズムをとっていた。聴くものの生きる欲動を支える音楽を奏でるバンドの姿とは、こうあるべきなのかもしれない。私は以前、『The Bones Of What You Believe』のレビューで「CHVRCHESの最大の魅力は、そのポップさの裏側に存在する、突き刺すような欲動の表象にあるのではないだろうか」と書いた。彼らが表現するその欲動は、まさにすべての観客を串刺しにするほどのエネルギーであり、それは私の推測を確信に変える程の力強さを持ったライブだった。

文:永田夏帆



1992年生まれ。UNCANNY編集部員。趣味はベースと90年代アメリカのポップカルチャー。青山学院大学在籍の現役大学生。

写真:古溪 一道

■ライブ情報
Hostess Club Weekender
出演: HIGHASAKITE / THE BOHICAS / SOHN / JOAN AS POLICE WOMAN / CLOUD
NOTHINGS / PERFUME GENIUS / SIMIAN MOBILE DISCO performing WHORL / BLONDE REDHEAD and more…! 
日程: 2014/6/21(土)&22(日)
場所: 新木場スタジオコースト
オフィシャルサイト: www.ynos.tv/hostessclub
チケット:
特典付2日通し券 13,900円(税込/各日1ドリンク別)
※1日券他詳細、近日発表予定