ARTICLESNovember/02/2013

Featured | Artist File 4 : The Wedding Mistakes

13110206

 1993年1月生まれのLASTorderと1992年生まれのMiiiによる新ユニット、The Wedding Mistakes。The Wedding Mistakes名義では、現時点(2013年11月2日)でSoundCloudでの音源以外公開されている音源はない。しかし、例えば、LASTorderは、今年2月に、11曲入り(内1曲はMadeggによるリミックス)のアルバム『Bliss in the loss』を〈Wonder light〉よりリリースしており、Miiiは、2012年5月に〈Maltine Records〉よりEP『Rabbitbass EP』をリリースするなど、各々が新世代のプロデューサーとして活動を重ね、実績を積み上げることで注目を集めてきた。そして今年に入り、二人は、The Wedding Mistakesを結成。「ポストロック・プロジェクト」と銘打ち、現在「Preface」「So Hot」「Her Mistakes」「Though All Eternity?」の4曲を公開している。

 今回のArtist Fileでは、<UNCANNY LIVE SHOW 2013>の出演にあたり、両氏に同一の質問項目にてインタビューを敢行。それぞれのバックグラウンドについて、そして、スタートしたばかりでまだ謎の多いプロジェクト、The Wedding Mistakesについて語ってもらった。



Interview with LASTorder:

_音楽制作をはじめたきっかけを教えてください。

Audacityというフリーのオーディオ編集ソフトを使って、家にあった古いシンセの音を多重録音して遊んでました。それがきっかけです。

_現時点での自身のソロでのキャリアの中、重要な作品を選ぶとしたらどの作品でしょうか?

Shing02さんの「Parallel Universe」のRemixです。

_同じく、周りの反応がよかったのはその作品でしょうか?

恐らくそうだと思います。

_制作過程の中で特に影響を受けるもの、あるいは、インスピレーションの元になるものがあれば(音楽に関わらず何でも)教えてください。

女性シンガー。その人が悲しい歌を歌ってるから悲しい感じの曲を作ってみよう、みたいなのはよくあります。歌い回しとか旋律に惹かれます。ケイトブッシュリンダパーハクス、ヴァシュティバニヤン、スザンヌヴェガなどを制作途中で聴いたりしています。

_(The Wedding Mistakesのふたりは)プロデューサーとして、トラックメイカーとしてそれぞれ独特のサウンドを持っていると思います。お話できる範囲で、制作過程で特に意識していることはありますか?

歌ものじゃないけど歌心があるようなメロディーみたいなものを意識しています。

_ホームグラウンドとしているパーティー、クラブなどがあれば教えてください。または、これまでのベストアクトをあげるとしたら、どのライブになるでしょうか?

今年5月SuperDeluxeでMetomeさんのリリースパーティーに出演させて頂いた時のライブとか。1曲ちょっとがっつりピアノを弾いてみたりしました。

_敢えて言うなら、それぞれがソロで制作する場合のジャンル、いわゆる「タグ」は、何になりますか。

一応エレクトロニカやポップという事にしています。

_また、愚問ですが、若手のトラックメイカーには特に、「インターネットからの〜」という枕詞は、必ずついてまわると思います。実際、ネットから受けた影響、あるいは、ネットと音楽制作の関係性について、どのように考えていますか?

高校生の時に、下北の箱でかかってた曲が凄く気になっててそれがtofubeatsさんだったり、あと銀座のアップルストアでやってたマルチネのフリーイベントに行ったことがあって、そういう所から様々なトラックメーカー達のインターネットを通しての活躍を知ったんです。今でも格好良い曲をつくる同年代が居るという情報を得ることが出来て非常に刺激になっています。ただ今でもなんとなくインターネットと密接した音楽や文化は、受け手側である意識が強いです。様々なネットレーベルがあるけど、僕自身はあんまり関わったことが無くて…それでも2回ほど過去作ってきたものをアルバム単位にして1人で勝手に配信したことがあったんですがその時に作品に反応してくれる人が結構居たりして、嬉しかったですね。

_制作、ライブ含め、音楽活動全般におけるテーマ、また、発信したいことは何でしょうか?

ライブのやり方は模索中ですが、写真とか映像と一緒に楽しめるような音楽にしたいと思っています。なので曲単体ではなく、デザインや映像ありきの作品を発信出来たらなと思っています。来月までにはLASTorderとしてそういったものを発信する予定です。

_The Wedding Mistakesについてお聞きします。まず結成のきっかけを教えてください。

Miii君と初めて会った日にもう共作しようよみたいな話をしていたんですが、その後またゆっくり話す機会があって、その時にいきなりバンド組もうって言われました。

_The Wedding Mistakesというネーミングの由来を教えてください。

由来というかただ二人で「ぽい」名前を出し合ってて(笑)。The Wedding Mistakesは僕が提案してみたんですけど彼も気に入ってくれました。

_The Wedding Mistakesは、「ポストロック・プロジェクト」という紹介がされていますが、お二人にとって、ポストロックとはどのようなものでしょうか? また、具体的にはどのようなサウンドを目指していますか?

一つ一つの音や楽器の重なりやリズムを、聞かせるという事に特化した音楽、みたいなふわっとした印象で…。The Wedding Mistakesを、僕はそもそもポストロックバンドとしてやってるつもりは無いかもしれません。ただMiii君が「ポストロック・プロジェクト」と銘打っています。はっきりと目指しているサウンドはまだ分からないですが、僕はLaikaとかが好きなので、そういうダウンテンポなものも作ってみたいですね。

_ユニットの中で、制作における役割分担はありますか?

僕が何か1曲作って、デモみたいな形で渡してから制作が始まることが多いです。なので大体ビートと全体を固めるのはMiii君で、ウワモノや素材は僕、といった感じです。

_はじめに公開された「Preface」含め、現在公開されている「So Hot」「her Mistakes」「Though All Eternity?」共に、メロディとしても広く聴きやすいながらも、ビートのパターンが複雑に展開していきます。特に制作の過程で、注意しているところはどういった点ですか?

「So Hot」なんかは彼の烈しいビートが入る事を意識して少ない素材を送りましたが、基本はデモを渡してから大体任せっきりです。

_直近の活動、リリースの予定を教えてください。

11/24、<UNCANNY LIVE SHOW 2013>@恵比寿KATA+Time Out Cafe & Dinerにて、ライブ出演させて頂きます。ありがとうございます。あとはリリース日は未定ですがEPを近々出します。

_今後、The Wedding Mistakesとして、どのような方向に進んで行きたいか、現時点での目標を教えてください。

バンドをやっている方々にも響けばいいなとは思っています。お互い「飽きたらその時はその時でやめよう」という心持ちで、今のところは明確な目標は無いままですが、彼から送られてくる完成した音源が毎回僕にとって新しい音楽体験なので、面白いから続けていく所存です。



Interview with Miii:

_音楽制作をはじめたきっかけを教えてください。

幼少期から家にパソコンが置いてあって、それを昔からずっといじっていたのですが、ある時パソコンでできる音楽ゲームがあって、しかもそれは自分でデータを作って遊ぶことも出来る、というものを知り、「自分でも作ってみよう」と作り始めたのがきっかけです。大体12歳くらいの時だったと思います。それから高校に入るくらいまでは色々なものを作って遊んでいたのですが、高校入学とともにMacを買い、本格的な作曲を始めました。宅録とかも経験して、今に至りました。

_現時点での自身のソロでのキャリアの中、重要な作品を選ぶとしたらどの作品でしょうか?

ここ数年の話だと、2012年5月に〈Maltine Records〉からリリースさせていただいた『Rabbitbass EP』と、同年10月に〈TREKKIE TRAX〉からリリースされたコンピレーション『XYZ EP』に収録させてもらった「Far Away」です。前者は、純粋に、今の活動の土台になるフィールドでやっとリリースできた作品だったので、色々なきっかけに繋がった最初の作品だったと考えます。後者は、自分の中で代表作の立ち位置で、自分自身の音楽に対する自信が芽生え始めたきっかけの作品だったので、今でも非常に思い入れ深い作品です。

_同じく、周りの反応がよかったのは、その作品でしょうか?

『Rabbitbass EP』は色々な人に聞いて戴けて、評判も良かったです。「Far Away」は、僕を良く知ってくれている方々や、周りにいる友達にとっても評判が良かったです。今現在もEP制作に向けて楽曲制作を行なっている最中なので、今現在の僕のサウンドをお届けできたらと思います。

_制作過程の中で特に影響を受けるもの、あるいは、インスピレーションの元になるものがあれば(音楽に関わらず何でも)教えてください。

イメージや風景、別メディアの作品から昇華させてサウンドを作り上げていくという行為が苦手というかピンと来ないので、基本的に色々なアーティストの音楽や、適当に鳴らしてみた音やリズムから発想を膨らませていくことが多いです。その代わり、音的に良いな、と思ったアーティストや楽曲についてはなるべく自分の中にとりこむ努力をしています。

_(The Wedding Mistakesのふたりは)プロデューサーとして、トラックメイカーとしてそれぞれ独特のサウンドを持っていると思います。お話できる範囲で、制作過程で特に意識していることはありますか?

同じようなものを2つと作らないようにしています。同じ傾向のサウンドでも、それぞれどこにポイントを置いているのか、ということについてはバラバラになるように気をつけています。なるべく個性を殺そうとするレベルで作り分けをしているので、むしろ独特のサウンドと言われてもピンと来ないです…w。例えば、以下の2つは同時期に作った同じ「ベース・ミュージック」の分類の楽曲ですが、結果的に両極端なサウンドになっています。

_ホームグラウンドとしているパーティー、クラブなどがあれば教えてください。または、これまでのベストアクトをあげるとしたら、どのライブになるでしょうか?

ホームのパーティーやレギュラーのイベントが特別あるわけではありませんが、今年10月にファイナルを向かえたFeet Off The Floorや、〈TREKKIE TRAX〉主催のイベントにはよく出演させていただいています。基本的にオファーを戴いて出演なりする形式なのですが、最近はどのパーティーにも一定数友達や知り合いがいるので、良くも悪くも楽しくやっている感じです。今までで一番楽しかったアクトは2012年6月に行われた「歌舞伎町マルチネフューチャーパーク」でのライブです。現金な人なので、純粋に多くの人が楽しんでくれて最高だなと思いましたw。

_敢えて言うなら、それぞれがソロで制作する場合のジャンル、いわゆる「タグ」は、何になりますか。

恐らく「ベース・ミュージック」が一番近いと思うのですが、基本的にどういう形でカテゴライズされてもピンと来ない感じがあります。常に作りたいものを消化している感覚なので、どんなジャンルであっても刺激を受けたりしたものに関しては徹底的に表現していきたいです。

_また、愚問ですが、若手のトラックメイカーには特に、「インターネットからの〜」という枕詞は、必ずついてまわると思います。実際、ネットから受けた影響、あるいは、ネットと音楽制作の関係性について、どのように考えていますか?

僕が中学生くらいの頃は「音楽をインターネットで配信する」という行為がまだマイナーだったのと、純粋にかなりニッチな音楽ばかり聞いていた時代で、渋谷にあったWarszawaというレコードショップや、その他エクストリームなレコードショップに通っていたような頃だったので、恐らくその頃は少なくとも「インターネット的な」生活とは違った生き方をしていたかな、と思うのですが、そうすると純粋に聞ける曲の数が減るので、自分の「妄想」で自分の好きなアーティストの音に近づこうとしていました。音楽的な意味ではすごく遠回りをしていたと思います。そう考えると、今のインターネットシーンは好きなアーティストの作品に即座にアクセスできるインフラが整っているので、多くの楽曲をリファレンスに使用することが出来るという点で大きく異なっていると思います。リファレンスとしての音楽にアクセスしやすくなったということは、それだけアーティストのクローン化というか、それぞれの人間独特のサウンド感覚が抑圧されがちになるのかもしれない、とも思うのですが、そんな便利な世の中になっても、Madeggや、一緒にユニットを組ませてもらっているLASTorderみたいな才能が現れる現状は本当に面白いと思います。

_制作、ライブ含め、音楽活動全般におけるテーマ、また、発信したいことは何でしょうか?

凄く大雑把なテーマなのですが、音楽活動を含む全般の活動は「自分が社会に認められるためのアクション」だと思っていて、作品制作やライブなどと言ったコミュニケーション的な活動に関しては「如何に自分が社会に認められているのか」という部分がどうしても気になってしまうきらいが有ります。テーマというより、もはや別の歪んだ何かだとも思いますw。音楽に限らず、自分の全般的な活動で社会的な存在権を得て、自分の満足の行く環境の中で楽しく、刺激的に暮らしたいです。

_The Wedding Mistakesについてお聞きします。まず結成のきっかけを教えてください。

僕がしばらく前にLASTorder君の事を知って、同年代だということもあって注視していたのですが、ある時に僕が働いているMOGRAというDJスペースでLASTorder君がライブをする機会があって、その時初めて話をしました。それから何度かクラブとかでも会うようになって、ある時、居酒屋で飲んでいた時に唐突に「ユニットを組まないか」と打診しました。

_The Wedding Mistakesというネーミングの由来を教えてください。

MiiiとLASTorderから文字をいくつか取ってきた”Mist”という単語から発想しました。深い意味は無いですが、音楽の方向性としては結果的に色々と影響を受けています。元気でありながら、どこか哀愁のあるムードとか。

_The Wedding Mistakesは、「ポストロック・プロジェクト」という紹介がされていますが、お二人にとって、ポストロックとはどのようなものでしょうか? また、具体的にはどのようなサウンドを目指していますか?

ポストロックはいわゆる言葉遊び的なもので、「ロック通過後の何かである」という事以外厳密には考えていません。敢えて言うなら、ロックという言葉を付けることで、クラブ的なアプローチからの脱却というか、アーティスティックな要素を強調したいな、とは個人的に考えています。基本的に自由にやりたいです。

_ユニットの中で、制作における役割分担はありますか?

特に決めていないですが、大体の場合はLASTorderが元となるデータを作り、それを元に僕がトラックを構成していくパターンです。逆のパターンもたまにあります。彼がサンプリングとメロディに長けているので、それを生かしつつも、なるべくドラスティックに音の要素を足したり引いたり、元素材を刻んだりするようにしています。

_はじめに公開された「Preface」含め、現在公開されている「So Hot」「her Mistakes」「Though All Eternity?」共に、メロディとしても広く聴きやすいながらも、ビートのパターンが複雑に展開していきます。特に制作の過程で、注意しているところはどういった点ですか?

僕が「The Wedding Mistakes」の楽曲において、特にポイントとしているのは「驚き」の部分です。僕が初めてWorld’s End Girlfriendを聞いた時、とにかくそのサウンドプログラミングの緻密さと構成や展開の破天荒さに驚き、感動したのですが、そういった「驚き」からの「感動」や「カタルシス」の側面を大事にしたいと考えています。なので、なるべく突拍子もない要素や、ある意味お約束みたいなノイズを足したりすることにはなるべく注力しています。

_直近の活動、リリースの予定を教えてください。

「The Wedding Mistakes」としては、なるべくブッキングは少なくしようと考えています。アーティスト的でありたいとか、ライブのプレミアム性を残したいとかそういう考えはあるのですが、単純に月1ペースでライブをしていると息切れを起こしてしまうのでw。リリースも、慎重に考えながらですが行っていきたいと思っています。むしろ、アルバム等の形態で作品を提供することが「The Wedding Mistakes」の真骨頂かな、と考えているので。

_今後、The Wedding Mistakesとして、どのような方向に進んで行きたいか、現時点での目標を教えてください。

「ロック以降のサウンド」を提供するユニットとして、更に多くの人々に楽曲を聴いていただけたらな、と思います。具体的にはフィジカルなリリースが出来たらよいです。2人共まだ学生であることを考えると、来年中に多分タイムリミットが来てしまうと思うので、なるべく早くのうちに。あと、バンドっぽく「対バン企画」を一度やってみたいですw。

インタビュー・文:T_L
UNCANNY編集部所属。プルーフリーディング担当。


■イベント情報
Title: UNCANNY LIVE SHOW 2013
Date: 2013/11/24(Sun)
Open/Start: 4pm (-10pm)
Place: KATA + Time Out Cafe & Diner[LIQUIDROOM 2F]
Price: 3,000yen(Adv)* | 3,500yen(Door) | 3,000yen(Door/Student discount)**

*LAWSON(Lコード:77852)、イープラス、DISK UNION(SHIBUYA CLUB MUSIC SHOP/SHINJUKU CLUB MUSIC SHOP/SHIMOKITAZAWA CLUB MUSIC SHOP)、JET SET TOKYO、PLANCHA、LIQUIDROOM

前売りチケットご購入の方には、イベント記念ステッカー+スペシャル音源ダウンロードコードを当日プレゼント!

**学生の方は、受付で学生証の提示で特別料金当日券3000円となります。ただし、前売りチケット購入のお客様の入場を優先しますので、会場のキャパシティ上、当日ご入場出来ない場合があります。当日は、事前に公式Twitter等でご確認ください。

*イベント特設サイトはこちら

Live Act:
Teen Daze
tofubeats
Madegg
The Wedding Mistakes
Carpainter

Opening DJ:
Toyo D(MAC)
Funky Fresh Watanabe(MAC)

Artwork by buna

Special PR site design by ARK TYO

主催:UNCANNY
企画制作:UNCANNY/LIQUIDROOM
お問い合わせ:UNCANNY, LIQUIDROOM(03-5464-0800)